風呂
「脚の付け根が痛くて歩けない」
そう言って、中一の娘は学校を休んだ。
病院に連れて行ったが、
異常は見当たらない。
成長的なものか、血行が悪いのか?
勝手に推測。
―風呂に長めに浸かったら治るかもよ
と提案したら
「ヤダ!」
と返してきた。
◆◇◆
父は
スーパー銭湯にもよく行く
出張先では名湯を探して入っていく
これぞ基本姿勢。
そんな遺伝子を継いでいるはずなのに。
中一の娘は湯船に入らない。
なんで?
「死にそうになる」
◆◇◆
小学5年までは、
父と一緒に風呂に入ったものだ。
長めに湯船に入り、
話をしたり、
クイズを出したり、
貼ってあった日本地図をみながら、
妄想。
「都道府県対決」
「北海道は下のところ(函館か)から吸い込むから強いの」
「岩手県はギザギザのところで(リアス式海岸か)攻撃するから強いの」
「新潟県は手裏剣が武器(佐渡島か)」
などと独創的な話をしてくれた。
温泉旅行では、
「パパと入りたい。ママ(長風呂しないタイプ)はすぐに出ちゃうから」
と言うのを、
男風呂に入れるのはなあと思い、
必死になだめたこともあったほど。
それなのに…
◆◇◆
―肌も綺麗になるよ
―ダイエット効果もあるよ
入浴のメリットも説明。
治療を兼ねて
10分間入浴を勧められたが
「8分で死にそうになって出た」
いつの間にか風呂嫌い。
気持ちいいのになあ。
体質って変わるのね。