偏平足

里山の石神・石仏探訪

石仏番外 大平山(山形)古峰神社

2020年07月10日 | 登山

大平山(だいひらやま) 古峯神社(ふるみねじんじゃ)

【データ】 大平山 714メートル▼最寄駅 JR山形新幹線・かみのやま温泉駅▼登山口 山形県上山市河崎の林道黒森山線の峠▼石仏 大平山の山頂、地図の赤丸印▼地図は国土地理院ホームページより

【独り言】 国土地理院の地図を頼りに山に登ると、ときどき道が消滅していることがあります。大平山もそうでした。林道の途中から入った道は結構はっきりしていたのですが、沢沿いになるとかすかな踏み跡になり、やがて藪のなかに消えていました。それでも別ルートがなければ登るしかないのですが、地図には尾根に林道が記されているので、早々にルート変更してしまいました。しかしこの林道に車で入る勇気はなく、延々と歩く羽目になったものの、山では道を歩くことほど楽なことはありません。

 たどり着いた山頂にあったのは、覆い屋に納められた古峰神社の大きな石祠でした。自然石の屋根が神々しさを引き立てています。台座を含めた高さは約2メートル。納められた古峰神社のお札は、今年栃木県鹿沼市の本山からいただいてきたものです。石祠側面には「明治十一寅年 當村安全 行者福生海」とありました。行者福生海は山麓の上山に住む行者でしょうか。このブログの山形県飯豊町の天狗山では「慶明海」銘の石碑を案内し、湯殿山系の行者と推測しましたが、この福生海も同じ系列の人なのでしょう。
 私の昔の記憶で、湯殿山系の即身仏はみな〝海〟号がついていたことから、湯殿山系の行者は〝海〟がつくという思い込みがありました。湯殿山系の行者とは、出羽三山の南西側山麓の大網口の大日坊、七五三掛口の注連寺、大井沢口の大日寺、本道寺口の本道寺の真言に属した修業をした人・行人です。しかし戸川安章氏は『出羽三山のミイラ仏』(注)で、海号について「真言四カ寺では、湯殿山を開いた弘法大師空海の〝海〟を継ぐ(略)羽黒山では、三山を開き修験の道を後世につたえた能除仙の名が弘海といったところから」と書いています。

 山頂にはもう一つの「古峰神社」銘の石塔が立っていました。こちらには「明治三十年 上山町二日町」とありました。地図で確認すると、二日町にも古峰神社がありました。二日町が里宮で大平山が奥宮という関係なのでしょうか。
(注)戸川安章著『出羽三山のミイラ仏』昭和49年、中央書院


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