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2021年11月24日
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伊吹山の狐に従七位の官位 狐の嫁入り 伏見稲荷大社の物語 88話

 近江の国の伊吹山には植物の宝庫で約1300種類の草花があるとされるが、その中でも漢方薬の原料となる薬草は280種類もあり主なものはイブキオオヨモギ、オウレン、センキュウ、センブリ、ゲンノショウコ等などがある。そしてここには朝廷の薬草園があるが、この山は雪が多くて冬場の約5ヶ月はここを管理する役所は閉鎖される。

 しかしながら薬草を十分朝廷に保存していても冬場に多いインフルエンザやコロナ菌が都で大流行すればたちまち漢方薬は底をつく。そこで嵯峨天皇は稲荷神社の2代目宮司の伊蔵を六条河原離宮に呼んで策を練っていた。嵯峨天皇は、
「もう洛中の人口は15万人を超えているが、洛外まで入れると20万都市でこれは世界でも一番多い都市になったが、なにせ都は盆地で新型ウイルス性の病気が流行るとひとたまりもない」
「そうですね、なにせ元々都は京都盆地の湿地帯ですので湿気が多いので伊吹山から薬草を運んで来ても乾燥に時間がかかりどうしても20万人分の漢方薬はできません」
「おいおい、伊蔵、出来ないではいつまで経っても出来ない。もしこの冬に新型コロナが大流行しても伊吹山の雪解けを待っていては都は全滅する」
「そうですね、それなら伊吹山の狐に官営の薬草園を冬場は管理させればいかがか?狐の嗅覚は人間の千倍ともいいます、その嗅覚で雪の中の植物の根を探して食べるといいますから雪に埋まっている薬草の根、茎、葉を掘り出して都に運んでもらいましょう」
「そか、わかった、伊吹山の狐に薬草園を管理させその狐の代表に従七位の官位と伊吹の姓を与える」

 伊吹山には全国狐連合会の近江伊吹山支部があり、その連合会は稲荷神社に本部を置き会長は第二十六代目の白女狐の白藤になる。伊蔵はこの白菊に嵯峨天皇の命令を伝えていた。白藤は、
「それはありがたいお話しになります。早速、伊吹山支部に命令して現在都に不足している薬草のリストとその薬草の見本を送り運ばせます。伊吹山から都までは約26里(105㌔)で狐が走れば都まで約12時間で着きます」

 伊吹山の狐は約300匹でその代表は43代目の源八だが連合会本部からの命令書の宛名には「宮内庁医学部漢方薬課伊吹山薬草園長従七位伊吹源八殿」と長い名前がありその意味が源八には理解出来なかったが、取り敢えず送られてきた薬草の見本の臭いを嗅ぎに来いと300匹の狐に命令していた。

 時は伊吹山の初冠雪になったばかりの11月4日で薬草の葉はまだ枯れ切ってはいなかったので目視でも容易に見つけられてその日の内に指定された5種類の薬草約20㌔を採取していた。その薬草を5匹の狐の背中に背負わして伊吹山を出発していた。この第一便のリーダーには源八自らが参加していた。これは本部から送られて着た命令書にある従七位伊吹源八の意味を知りたかったからだ。

 源八らの一行は伊吹山を夕刻の6時に出発して中山道から東海道へ、山科からは渋谷峠から大和大路を南下して稲荷神社の一の鳥居に到着したのが朝の6時で12時間走り続けてきた。源八らは待ち受けていた稲荷山の狐の案内で全国狐連合会の事務所に案内されて会長の白藤に挨拶をしていた。白藤会長は、
「遠いところを有難うございます。しかも、従七位伊吹源八様直々とは恐れ入ります」
「いゃいゃ、ところでその従なんとはなんですの?」
「それはこの度の薬草探しを引き受けてくれた伊吹山支部の代表に嵯峨天皇からのお礼です。この従七位というのは比叡山の最澄さま、東寺の官主空海さまと同じ位の貴族になります。もちろん動物に与えられられたのはギネス級の出来事になります」

 こうして源八らは本部の貴賓室に案内されて稲荷寿司や鶏の唐揚げ、それに白酒などのご馳走を出されていた。そしてその食事の接待をしていたのが白藤の二女の白雪になるが、その白雪は白狐で色が白いのは当然だが、これまた飛び切りの美人で源八は一目惚れをしていた。その熱い視線を感じた白雪も顔を赤く染めていたのを白藤は見逃さなかった。

 そしてその夜は他の狐とは違う穴の部屋を白雪に案内されていた。ベッドはふかふかの寝藁に源八は感動して寝転ぶと同時に白雪もベッドに入ってきた。驚いたのは源八、そして、
「ダメダメ~白雪さんは連合会長の娘さんで…そんなことをしたら私の首が飛びます」
「いぇ、私は母の命令できました。それに源八さんは従七位の貴族ですから私の産んだ子供はすべて源八さんの子息で貴族になります。どうか私を抱いてください」

 狐の発情期は11月~1月で出産は3月~4月で一腹で3匹ほどの子供を産む。白雪と源八はよっぽど肌があったのか初夜の交尾でご懐妊となった。母狐の白藤は喜んで稲荷神社宮司の伊蔵に報告をしていた。伊蔵は、
「ほう、それは目出度い、お腹の赤ちゃんの安定期に婚礼をしなければならない」
「そうなんですが、従七位伊吹源八さまのお住まいの伊吹山はこれから雪が降ります。白雪は全国狐連合会の会長の娘だということで全国の支部からお祝いに駆けつけてくるが、なにせ雪の伊吹山では披露宴も出来ません。しかもお婿さまは従七位の貴族ですからそのお祝いも兼ねていますので少なく見積もっても1000匹以上の大披露宴になります」
「そかそか、それならこの稲荷神社で式と披露宴をしたらいい。披露宴会場は本殿裏の多目的広場がいい」
「ありがとうございます」
「朝廷の決まりでは貴族の本妻は二段階下の官位を、その子供は一段下の官位だから、産まれた子供は正八位になる。それに白雪は従八位の貴族一家になる」

 白雪の出産予定日は3月1日になるが、年末は初詣での用意に忙しい時期になる。この初詣には全国の信者ら約20万に訪れるか、この警備にはフォックス警備保障の狐が人間のガードマンに化けて警備する。2月3日は初午大祭になるので白雪と従七位伊吹源八の結婚式はその間の1月15日と決まった。

 早速、全国狐連合会本部は全国各支部へ案内状を出していた。その返事の集計をしていた白藤はあまりの多さに驚きながらも娘の白雪のために披露宴の料理の献立や引き出物、それに花嫁の婚礼衣装とお色直しの着物を選ぶことを楽しんでいた。ただ、大昔から狐の婚礼には花嫁が行列で歩き各村々に披露する「狐の嫁入り」道中が付き物だが、花嫁は稲荷山に住んでいるのでできなかった。

 そのことを伊蔵に相談すると伊蔵は、
「そか、狐界の文化ではその狐の嫁入りが婚礼の大切な行事になるのなら白雪を藤森神社へ養女として出せばこの藤森神社から稲荷神社への約半里(2キロ)の狐の嫁入り道中ができる。披露宴参加者をまず藤森神社や大和街道の沿道に集結させれば約1000匹の壮大な狐の嫁入り行列が出来る」
「それは素晴らしいことです、伊蔵さま、ありがとうございます」

 1月15日の午前0時に文金高島田の白雪は母親の白藤に手を引かれて藤森神社を出発した。藤森神社や沿道には狐火を咥えた全国の招待客や近郊の狐ら約1500匹が白雪親子か通った後に婚礼道中に加わり長い行列が出来ている。この狐が咥えている狐火は狐が食べ残した野ネズミやうさぎの骨を土に埋める習慣があり、その骨が土の中で腐り燐が発生するが、その燐の青白い光が発生している骨を咥えて提灯代わりにしている。(この燐が空中に漂えば人間界の人魂になる)

 白雪の婚礼道中は大和街道を北へ約1時間で稲荷神社の一の鳥居近くまで来ると淡雪が白雪の婚礼を祝うように降ってきた。この雪と狐火の青い光での幻想的な光景に行列に参加していた狐たちも感動していた。その雪の中には真っ赤で壮大な一の鳥居があるが、その下にはこれまた真っ赤な傘で新婦の従七位伊吹源八が羽織袴姿で白雪を迎えていた。

 結婚式は稲荷神社の本殿で宮司の伊蔵の祝詞とお祓いで無事終わり、招待客の約1200匹の披露宴が始まった。新婦白雪の3度のお色直しの合間には女狐が結成した女狐アイドルグループの「稲荷巫女ダンサーズ46」が人間の狐巫女に化けた歌とダンスで大いに盛り上がるが、この1月15日とは女狐の発情期の真っ盛りになるために披露宴会場で新たなカップルが300組誕生、また夫婦や恋人同士の交尾が盛んに行われて稲荷山はピンク一色に染まった。
             (おわり) 
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最終更新日  2021年11月24日 07時45分29秒
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