アストリッドとラファエル Astrid et Raphaëlle 第8話 存在しない男 L’Homme qui n’existait pas

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アストリッドとラファエル 文書係の事件録
(Astrid et Raphaëlle) 2020 , FRANCE

制作/FRANCE TÉLÉVISIONS、JLA PRODUCTIONS
、Be-FILMS
、RTBF (Télévision belge)
原作/
制作/Alexandre de Seguins、Laurent Burtin
プロデュース/Jean-Luc Azoulay、Jean-Sébastien Bouilloux

https://www.nhk.jp/p/astridetraphaelle/ts/PG1M4JJQQV/

第8話 存在しない男 L’Homme qui n’existait pas

脚本/Alexandre de Seguins、Laurent Burtin
監督/Frédéric Berthe

【STORY】

■それぞれの朝

・通勤時間

バスに乗って通勤する人たち。
禁煙車両にも関わらず男性が電子タバコを吸っているのを見て
女性乗客(Laure Sagols)は注意する。女性に怒った男が立ち上がり
暴行するかにも思えたが、男はその場に倒れる。すぐに一人の男
シモン・フランジュ(Louis de Villers)が駆け寄ると倒れた男は
蘇生を試みようとしてシャツを開けようとするが、血を流して息が
無かった。

・捜査関係者

アストリッドは自宅でお茶を入れる。

ニコラはフルカネリ事件の報告書について迷っていた。
「錬金術」にするか「解釈学」にするか。
ラファエルに相談すると、みんなに分かる様に書いてという。
あなたのは文学だが、私のは子供の作文なのであなたにアドバイス
出来る立場ではないという。
ラファエルはバスの乗客が血まみれで死んだので現場に行ってくる
という。ニコラも一緒に行く事を告げるが、彼女はアストリッドと
行くのであなたは報告書を仕上げてくれという。

『相棒交代か・・』

そう呟くニコラに「焼き餅なのか」とラファエル。
彼はホントのことだとし、最近は組んでいないことを指摘。
それを聞いたラファエルは笑えるのか情けないのか分からないと
告げる。

・アストリッドのアパート

ラファエルは車で彼女を迎えに行く。
「家にあげるのが礼儀だが私の部屋は特別な場所・・それが例え
友達でも・・」
それを聞いたラファエルは彼女の事を理解して、「秘密の庭は誰
もがある」事を告げる。

「家は私にとって安らぎの場、極めて秩序正しく生前とした世界
なので・・」

そう告げるアストリッドの発言を察したラファエル。

「私のがさつさと相容れないのでしょ」

■事件発生現場

41番バス・・ポルト・デ・リラやモンパルナスを通るバスで
起きた事だった。

アルチュールはラファエルが来るとこれまで分かっている事を
報告する。
被害者は身元不明。IDは無く、スマホは倒れた衝撃で破損している。

・フルニエ

遺体を調べていたフルニエはラファエルたちをバスの中に通す。
一緒に居たジュリアン・フレデリック(Bruce Tessore)の事を
紹介する。科学捜査班・主任技師。

フルニエは不可解な遺体にはもうウンザリだと語る。
単純な刺殺や絞殺なら大歓迎だが、これもまた矛盾だらけ。
目立った外傷や内出血も無い。あるのは【縦隔リンパ腫脹】。
縦隔が腫れても出血は無い。
それなら縦隔炎かも知れないというアストリッド。
フルニエはそれも考えたがリンパ節が10ヶ所以上腫れて
いるので、何日も苦痛が有った筈。突発的な症状で無い限りは・・

しかしフルニエはあることに気がつく。
すぐにニコラに対してドアを封鎖するよう命じると死因は間違い
なく【炭疽病/anthrax】の感染。突然発症して亡くなる。
すぐに保険庁に報告させる。
アストリッドは炭疽病はこの場合誤用だという。2001年に発生した
テロ事件で記者が誤って用いたせいだという。
フルニエは改めて言う。

「被害者の死因は炭疽菌の感染症で突然発症して死に至る。」

保険庁からは安全対策として全員隔離となる。
アストリッドはそろそろ犯罪資料局に行かねばならないとし、閉じ
込められると遅刻するという。

女性乗客の一人は深刻な状況なのかを尋ねてくる。
アストリッドは念のための隔離で、炭疽菌自体はそれ程感染力が強く
なくブドウ球菌(staphylococci)と変わらないという。
早めに抗生物質(Antibiotics)を投与すれば感染しても死に至るのは
50%程度であると語る。

説明するアストリッドな大してラファエルは情報は慎重に伝えない
といけないので当分は公表しないでおきましょうと語る。

・調査結果

バスの外に居たニコラは判明したことをラファエルに報告する。
被害者の指紋はデータに無いこと。
フルニエはラボから結果が届いたとし、やはり炭疽菌の感染に
よるものだったこと。そしてシャツに付着している血は牛のもの
だった。炭疽菌は牛にもかかる。牛から感染したものなのか。
アストリッドは血中の菌の数値から見て死ぬ直前に大量の胞子を
吸い込んだ筈だという。他の客も同じ空気を吸っていたが幸い
健康に影響は無い。
ラファエルは思い出す。現在ニコラが手にしているものが凶器では
ないかということ。現場に落ちていた『電子タバコ』
検疫措置をして急いでラボに送るというニコラ。

・バシェール警視正が現場へ。

安全が確認されたのでバスから出ても良いという。
電子タバコの結果を尋ねる。
原料のプロピレンングリコールとグリセリンの他に炭疽菌がたっぷり
出たこと。ニコラは的中したなと語る。
胞子が中毒を起こす量の10倍が検出され、そこにはほぼ混じりけの
ないものだというフルニエ。これは自然界には無い純度でラボから
持ち出した菌だというフレデリック。
犯人が病原菌を培養してばらまいたら大変な事になる。そうなる前に
犯人を捕まえろというバシェール。

ニコラはラファエルがバスから降りてくると心配したとしてハグする。

■パリ警察署 / commissariat de Police

今朝、ニコラはラファエルに少し意固地だったことを謝罪する。
ラファエルは本当に焼いているのか?と問う。ニコラは素直にそれを
認めるが負ける気はしないことを語る。

ラファエルは今夜来ないか?と誘う。
「君の料理?」
「大丈夫、注文するから。ワインの方をお願いね」

・回想シーン

二人の関係は警察官採用試験会場(Concours de Police)の場から
始まる。

ニコラが入り口前に座っているのを見てラファエルが声をかける。

「あなたも受験することを迷っているのか?」
「失敗が怖いのか?」

ニコラは失敗には慣れているが、意気地無しで飛び込み台で20分
迷って引き返すタイプの性格だという。
ラファエルは親が反対していて別の道を目指せと言われていること。
反対を押し切ったもののやはり気になっているのだという。

・現実へ

被害者の情報はまだ分からずにいた。
しかしシャツに付着した牛の血を追跡していること。
バスの41番ルートにある精肉店、食肉処理場のリストを片っ端から
連絡しているという。

アルチュールはスマホから動画を見つける。
通話履歴やメールは無かったがこれだけが有ったという。
食肉処理場の動物の扱いを告発する動画(2018年9月6日付け)っぽい
ものだった。
この映像と店舗のリストを付き合わせれば場所を特定出来るという
ニコラ。
そしてその画像に該当する会社を発見する。
恐らく会社の闇を暴かれたと思い怒っていたのではないかという
事だった。社長を呼び出して話を聞くことになる。

【感想】

人生の色んな教訓が込められたエピソード。

前回の姉妹関係に続いて、今回初めてラファエルの父親が登場する。
主人公周りの人物を小出しにしていくのもドラマではよく
あること。キャラクターを掘り下げる為にも、今の地位に至るまでの
生育的環境で有ったり、人間関係を提示していくのはキャラクター
を眺めていく中で興味深いものだ。

人生経験を通して年を重ねていったとしても人として丸くなら
ずに意固地なままで自分を貫き通すことへの難しさ、危うさ、
寂しさなんかも感じるけれど、時としてそれを貫かねばならない
時もあるし、また生きていく上で守るべき必要な心の鎧を外して
行く事で新たな人間関係や人生の方向性が見えてきたりする。

今回はニコラとラファエルの初めての出会いの場が描かれ、
アストリッドに好意を寄せる男性が登場した。
また事件の流れの中でもそんな出会いから派生した物語だった。

ニコラとラファエルは警察官試験で出会い、それ以降はずっと
二人はバディ関係に近いものを築いてきた様だ。
『やる前から諦めるな。自分の将来は自分で決めなきゃダメだ』
(ニコラがラファエルにかけた言葉。今でも15年前の言葉を覚えて
いる)
気になるのは二人がこの絆を築く間に、ラファエルは結婚した
かどうか分からないものの子供が居る。

異性での関係を維持することの難しさというのは承知しているが、
今回犯罪に関わったものたちは、皆、ミイラ取りがミイラになり、
人生のバディ関係が崩れた構図で、人生の岐路に於いて出会いが
悪い方向に転がっていくパターンでもある。

ドラマは、冒頭から物騒な炭疽菌による感染症の話だった。

● 人生を狂わす幾つかの例。

前回は金銭的理由で人生を狂わす理由が描かれた。

今回のエピソードの被害者の状況は複雑で、既婚の男性が潜入
捜査中に出会った女性との間に恋が芽生えて、正妻との間では
決して求めていなかった子供を持つ家庭というものを作っていた
ことに正妻が激怒し、殺害したというものだった。

「嫉妬」の感情は厄介なもので、個々にそのエネルギー量は変わって
いる。嫉妬心が強いのは即ち相手に対する固執するだけの愛情を
持ち合わせているが、互いに向き合うべき相手との温度差も嫉妬心が
発生する要因の一つ。
片方の感情が強ければ人間のモラルなんかを完全に破壊し凌駕する
だけのパンチ力を発揮してしまう。
実は嫉妬に関してはずっと注視して見ているが、異性の関係も難しい
けれど、出会いのタイミングで有ったり、また相性の問題で有ったり
立場の問題から難易度があがる可能性が有る。

例えば今回の例を見ると・・

ニコラとラファエルはスタートは似ているけれど、実際には階級が
違うんですよね。彼女の方が階級が高い。その上、捜査官ではない
女性によってその座を奪われている。
男女間での社会的地位の差がプライドを刺激して上手くいかないこと
も多いが、この場合、長年の安定した地位が揺るがされたことによる
ものが大きい。

そして今回の被害者・加害者であるカップルも一人は内務省のスタッ
フで、一人はエコテロリストに潜入していた捜査官である。
部署が違うので一概には言えないがやはり両者の間に階級的な差が
障壁としてある。更に本来子供を持つのが最も難しいであろう職業の
二人の中でも旦那側はそもそも子供を持ちたくなかった。
しかしそれでも潜入捜査で接近している間に、仮の自分が子供を持つ
ことによって現実との境界線を見失い、仮の自分が勝ってしまった
格好となる。

そしてエコテロリストのリーダーだったカッサンドル・ジェルマン
(1981年3月5日生まれ<-誰かさんの誕生日か)は元々天体物理学者で
ドイツ人だ。彼女が何故キャリアを捨てなければならなかったのか。

気になるのは、アストリッドを眺める人物2人(正確には3人?)

フレデリックは科学捜査班の主任技師。今回初めての登場で
シーズン2はほぼフル登場に近い。今後もアストリッドの事を見つめ
つつ好意を募らせていくのかも知れない。

また気になっているのは自閉症友の会を主催しているウィリアム
のアストリッドを眺める感情だ。彼には好きな相手が居たとして
いたけれど、その相手は「ベレジン・アンダーバー(仮名)」(28歳)
で、自閉症の人たちのフォーラムで知り合ったという人物。
5年前から付き合っているとするが、その人物は実在するのか?
ハンドル名(berezin_28)だとしていたぞ。

● 振り出し、振り出し、そして振り出しへ。

ドラマとして難しくさせたのは、上層部が情報を出さなかったことも
要因としてあるが、何よりも潜入捜査官故に本来の特定すべき人物
が分かりづらかったこともある。

当初は食肉処理場の流れから【ヴィクトール・オッタン】だと思われ
た。しかし彼は一ヶ月前にパスポートの盗難届けを出している。
処理場でのことを告発するためにヴィクトールからパスポートを
盗んで成りすましていたのではないかということになる。

その後【マキシム・ベルモン】という名前で呼ばれた人物が犯人
ではないかとされる。ボルドー工場火災事件の際に行方不明にな
った人物だ。

【ルイ・ヴァルメラス】ボルドー工場火災事件の一ヶ月前に雇われ
た人物。遺体の一部が火元の近くで発見された。そこの温度は400度
近くて歯も残らない程だ。遺体を識別したのは結婚指輪だった。
焼け残った残骸の中から見付かったもの。チタン製なので1668度の
高温まで耐えられる。

名前が変わる度にその人物周辺の流れを探し直さなければならない。

何度も何度も振り出しに戻る流れをマトリョーシカに例えいた。
少しずつ正体を剥がしていく内に、マシリョーシカも小さくなって
いる様に、実際のエコテロリスト(EDS)たちの活動はそれ程大きな
ものではなく、それを政治運動組織潜入捜査専門部隊警部のポール・
シモニも分かっていたのではないか。

最終的には【ポール・シモニ】が被害者だった。
そして残ったのは彼と逃避行しようとしていたカッサンドルと
小さな息子のマルタンである。

● 使用された凶器

炭疽菌(Bacillus anthracis)が使用された。
バスの中で隔離された時には、「NCIS ネイビー犯罪捜査班」
S2E22を思い出す。ペストに犯されたトニーと両思いだと思われる
ケイトリンが隔離越しに会話するシーンが印象的だった。

炭疽菌は簡単に精製できるのか、そして保管状況などは分からない
けれど、普通の人が容易に扱えるものではない事はすぐに分かる
のではないか。

カッサンドルが3年前にボルドーの工場火災の時に使用した時の
菌が保管されていて、ソレを電子タバコに混ぜたのかな。

●開かない扉

精神論でも語ったけれど、社会を生きて行く上で、心の扉を開ける
か開けないかは難しい選択だ。一つ間違えば人生は台無しになる。
なかなか開けることの出来ない心の扉をアストリッドはパズルを
解くことを通して開けようとしているかにも見える。

また今回は実際に資料局中には開けることの出来ない国防上の機密
を扱う資料保管庫(438号室)が有る。

それを開ける為に必要な措置としてラファエルは迷っていたが、
父親が働く議員オフィスの扉を自ら開ける

アストリッドの心は勿論、彼女は自らのパーソナルスペースに他人
を寄せ付けない。最初は彼女の職場に有ったが、彼女のアパートの
一室もまた誰にも入れない場所となっている。
インターホン越しにアストリッドとラファエルが会話するシーン
が有ったけど、昔の恋愛ドラマを見ているかのような演出だった。

■その他

●ソーマキューブ

1930年デンマークの科学者ピート・ハインが量子力学の講義を受講中
に発明したパズル。
240通りの組み合わせがある。

●EDS (Earth Defense Squad)

地球防衛隊、過激なエコテロリスト。

『地球の誕生が一年前なら恐竜が絶滅したのは5日前。
ホモサピエンスの登場は1分前。人の命なんて使命に比べたら
ちっぽけ』

『権力側で働けばその嘘に加担することになる。結局あなたも権力
に従うよう躾けられた犬に過ぎない』

●フィリップ

新たにレギュラーメンバーとして加わった科学捜査班の人物。
アストリッドに興味を抱いた。

『アストリッド、君を思わずに居られない。君をよく知りたい。
でもどうすればいいか分からない。君のパズルの解き方を教えて
欲しい』

●気候難民

30年後には2億を超える数になる。欧州は最悪の政治危機で1/5にも
対応出来ていない。

●ギリシャ神話

最近ニコラがオペラだのシェークスピアだの例を出してくる。

『神話に出てくるカッサンドラの能力を知っているか?
未来の予言だ。でもアポロンの呪いにより誰も彼女を信じなくなっ
た。能力故にその身を滅ぼした』

●面白いやりとり

自宅でラファエルとニコラが寛いで会話しているシーンがある。
EDS関連の資料が全て内務省の人間によって見られなくなる。

『なんかNY市警の刑事になった気分』
『NY市警のの事件でよくFBIに事件を横取りされる』

【SOUNDTRACKS】

【出演】

アストリッド・ニールセン (Sara Mortensen) 犯罪資料局・文書係
ラファエル・コスタ (Lola Dewaere) 刑事・警視
ニコラ・ペラン (Benoît Michel) 刑事
カール・バシェール (Jean-Louis Garçon) 刑事・警視正
***アラン・ガイヤール (Geoffroy Thiébaut) 犯罪資料局・局長
アンリ・フルニエ (Husky Kihal) 監察医
アルチュール・オンギャン (Meledeen Yacoubi) 警部補
***アンギュス・ニールセン (Aliocha Itovich) 父、警察官

***テオ・コスタ・ルジェ (Timi-Joy Marbot) ラファエルの息子
***16歳のアストリッド (Sylvie Filloux) 学校に通う

カッサンドル・ジェルマン (Fauve Hautot) フルメ・メロジス刑務所
アレクサンドラ・ジェルマン (Juliette Wiatr) カッサンドルの妹
ダフネ・シモニ (Anne Le Nen) 内務省
ポール・シモニ (Xavier Valoteau) 49歳、ダフネの夫、潜入捜査官
フィリップ・コスタ (Michel Bompoil) ラファエルの父、政治家
ジュリアン・フレデリック (Bruce Tessore) 科学捜査班・主任技師
シモン・フランジュ (Louis de Villers) エコテロリスト”EDS”。ロシア人
エステバン・アチェーガ (Vincent Varinier) 政治家?
ラプラス (Laurent Lévy) ドキュメンタリー関係者
(Pierre Hiessler) 食肉処理場のボス、離婚歴3回
(Laure Sagols) バスの乗客
(Laurène Doval) 看守
(Line Phé) マダム (オッタン家に居る女性)
(Pascal Lambert) 刑務所長
(Aleksandra Yermak) ドキュメンテーションの従業員
ヴィクトール・オッタン (Cyril de La Morandière) 被害者、潜入捜査官
ウィリアム・トーマス (Jean Benoit Souilh) “大人の自閉症友の会”
ミシェル (Thomas Sagols) 喫茶店の主人
(Florian Bernard) 警察署案内

**マチルド・ニールセン (Elisabeth Mortensen) 母

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