沖の眺めが少し霞むようになった3月下旬のここ函館南茅部。
陽ざしの強さで少し空気が淀んでいます。
春ですねぇ。
そんな中、養殖真昆布漁家さんは朝から夕方までご覧のように沖の施設で養殖真昆布の選り(すぐり)作業を精力的に行っています。
そして、おかでは収穫してきた早採りの(早煮)真昆布が寒風干しされています。
生育も順調ですね。
さて、この「真昆布」ですが、他の北海道の昆布と同様に「品種」であるということをこのブログでもたびたびお伝えしておりますが、最近になり地名をつけたブランディングを函館市が主導し、現在「函館真昆布」と表記されることが増えてきておりますが、ではなぜこれまで地名が付いていなかったのか?
それは、まっ、推測でもありますが平安時代にさかのぼり、辺境の地である「蝦夷(北海道)」に津軽海峡を渡って和人が入植をはじめ、そこにいたアイヌとの交易から昆布は世に知られることになるわけですが、北海道はデカいですから、全域の特産品を得るまでには長い年月がかかったと思われ、その間、このみなみ北海道の昆布は当時の都まで送られ、またさらに琉球へと輸出品としてわたり、さらにそこから中国へと輸出されたという歴史を考えると、道外の人間からすると昆布は蝦夷(北海道)の特産品という認識しかなかったことでしょう。
その時点においてもこのみなみ北海道の東側(太平洋側)と西側(日本海側)では形状が異なり、日本海側の「ほそめ」に対して太平洋側は「ひろめ」と区別していたことが古い文献でも明らかになています。
その後、北海道各地の昆布が取り寄せられるようになるとやはり違いがあることを認識して、その基本、最上級品として「ひろめ」は「真」という文字を頭につけて「真昆布」と呼ぶようになったことは想像に難くないことだと思います。
ですから、近代になる前まで地域名は必要なく、国内においては大阪が真昆布の最大の消費地だったわけですから使用する昆布は真昆布であることが当たり前であったことからあえて地域名は必要なかったことでしょうし、アイヌから我々の先祖が真昆布採取を行い、出荷するようになってもほとんどすべて大阪の昆布屋さんが買って行かれるわけですから、生産者のほうも気にすることがなく、ただ北海道で一番の昆布だという認識で「真昆布」という称号で呼んできたのだと思います。
しかし、近代になり、気がつけば都は江戸(東京)へ移り、国内の流通は東京が中心となり流通形態も大きく変わり、商品を売る側も「ブランド」ということを意識するようになって、昭和のバブル期になると都心のスーパーでは北海道各地の昆布が店頭に並ぶようになり、そこには地域名が付いていかにも高級なイメージを醸成しようとした販売戦略が見えるわけですが、それに対して真昆布は料理人の間では最上級の昆布だという認識はあり、こだわりがあるお店さんは材料に使用していて東京でも多くの人びとが知らず知らずのうちにその味わいを体験していても「真昆布使用」という特選素材的な打ち出しをお店さんがするようになったのは近年ですので、一般人が知るのも最近の話であり「真昆布」が北海道のどこが産地なのか知らないのも無理のないことで、今、このブログもそうですが、ネットというツールを活用して懸命に生産地をみなさまにお伝えしております。
と、ここまで長く「真昆布」について説明してまいりましたが、「函館真昆布」と言っても細かくは三つに分類されます。
品種としては同じなのですが、浜の環境が異なるため微妙に異なるんです。
マップのみなみ北海道の東海岸の端にあるのが活火山「恵山」。
それを囲むように上側に「椴法華(とどほっけ)地区」があり、下側に「恵山(えさん)地区」があって、椴法華からさらに上側にあるのがここ「南茅部(みなみかやべ)」、恵山から津軽海峡沿いに函館市中心部へ向かっては「戸井(とい)地区」があり、その隣から函館空港があるあたりまでを「下海岸」と呼んでいます。
ここで活火山「恵山」がある椴法華、恵山は、浜で砂鉄が多いことからその昔、製鉄所を作る計画があったというようなところで鉄分が多い土地。
そして、津軽海峡の黒潮の影響も多く、それも影響しているのか椴法華、恵山、そして戸井にかけては黒味が強く、南茅部の真昆布と比べて若干厚みが薄く、裁断した切り口が黒いことから「黒口浜真昆布」と呼ばれています。
噛んだ味わいも若干甘味を強く感じます。
そして、椴法華の銚子サーフビーチに横たわるこの「銚子岬」を越えたところから南茅部地区になります。
海岸線34㎞に及ぶ細長い地域で広葉樹の山に大小60とも言われる河川があり、山の養分を海に運び、海は黒潮と北からの親潮ががぶつかる海域であることから栄養豊富な親潮の影響を受けており、その環境で出来ている厚みのある真昆布で切り口が白いことから「白口浜真昆布」と呼ばれます。
そして、戸井から下海岸は津軽海峡の黒潮に育まれて成長する真昆布で「本場折浜真昆布」と呼ばれています。
それらの中でも古来、昆布屋さんで評価の高いのがここ南茅部の「白口浜真昆布」で他の地域に比べて高値で取引されてきました。
そんな各地区でも養殖は行われていて、この時期、南茅部と同じように早採れ真昆布が海岸線で風になびいています。
(椴法華)
(恵山)
そんなわけで、なんか予定以上に長く書いていますが、当組合ではこの「黒口浜真昆布」の早採れを商品で取り扱っております。
早採れは以前にもお話しておりますが、出汁を取る目的ではなく食べることが目的の商品。
弱いですがもちろん出汁も出ます。
食べ方としては
結び昆布にして煮物に使ったり、
浅漬けや塩こうじ漬けに入れても良いですよ。
柔らかくてフレッシュさがあって旨味もあってヘルシーで。
ぜひお買い求めください。
お電話またはFAXでのご注文、お問い合わせはこちら(平日9~17時)
TEL:0138-25-5403
FAX:0138-25-3590
当組合ではここ函館南茅部で水揚げされた最上級の函館真昆布、がごめ昆布を丹精込めて製品化し、みなさまにお届けいたします。
加工する製品は自然由来にこだわり、使用するお酢にもこだわり、日本伝統の健康的な食文化をはぐくむ取り組みをしています
・お酢のこだわりのお話はこちら
北海道の美味しい海藻を食べて健やかな生活をおくりましょう!
海藻を食べる簡単、料理レシピをご紹介している当組合のクックパッドページはこちら
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