ハッチと私の日常

20年暮らした猫も亡くなり、25年以上連れ添った夫も病死、仕事も辞めて還暦過ぎた女性が被災猫ハッチと暮らす日々

朝日歌壇8月2日

2020年08月02日 21時54分25秒 | 短歌

高野公彦選

栄螺焼き伊勢志摩限定ビール飲むコロナが地元を見直せと言う  松阪市 こやまはつみ

ボート牽く自衛隊員雨に濡れ尊きものは前線にある       観音寺市 篠原俊則

仕事柄多くの人が感染し国会議員だれも罹らず         川崎市 小島敦

 一首目、今こそ地産地消の地元の物を味わうべし、ですね。この首は佐々木幸綱氏も取っています。二首目、本当に頭が下がります。医療関係者もそうです。コロナの前線にいますから。でも、国のように、支援もなしにただ感謝のアピールだけというのも、ひどいと思います。感染者を減らす対策もなしに、医療崩壊寸前というのに、ひどすぎですよ。三首目、きっとこの人は医療関係者か介護関係者か、でしょうか。それとも、保健所関係か・・。国会議員は移動も自粛で海外も行かれないはず、それなのに、国会も開かず、国民を見殺しにしています。ひどい国だ!ついに本人も見捨てたアベノマスク、ああ情けないよね。

永田和宏選

短冊の「コロナが無くなりますように」も泥まみれの熊本豪雨  長野県 丸山志保

牛蛙またの名を食用蛙 慰安婦のごと哀しき呼び名       高松市 島田章平

詠んだ本読みさしの本読みたい本読んだことさえ忘れてる本   さいたま市 丹羽和代

トリチウム分離技術も安価なる放出案にはかなわないのか    福島市 青木崇郎

 一首目、本当に大変な災害がコロナ禍のさなかに起こりました。そのあとも豪雨が頻繁に降り、ようやく梅雨明けしたけれど、今度は台風です。日本は恐ろしい災害列島です。二首目、慰安婦のようだというのが、びっくりしました。慰安婦という名称も、今読んでいる本のミソジニーの論理では、看過できないものです。食用にされるということと、男に奉仕して肉体を提供するという慰安婦の姿、取り合わせが何とも深いです。三首目、その通りと思います。最近はだから、本は図書館で借りることにしています。家にある本も、詠んだのか読み終えていないのか、もうすでにわからない状態です。夫はよく言っていました。買いためた本は晩年に読むんだって。かないませんでしたよ。病気でもそうだけど、老化とは、本すら読めなくなるかもしれないということ、これはつらい。四首目、この方は福島の原発事故のことをよく詠んでいると思います。大切なのは、このテーマをずっとずっと詠み続けることです。もう九年もたっているのに、何がアンダーコントロールだよ、です。本当に悔しい。災害列島日本には原発は絶対に安全ではないのですから。

馬場あき子選

濁流に呑み込まれゆく深水橋朱きアーチよ幾度渡りし      八代市 桑田美智代

授業中時化の波間の板きれのごとく机を抱えて寝る子      加児市 前川泰信

 一首目、深水(ふかみ)橋は先月の豪雨で川が氾濫し、流されてしまった橋です。私はグーグルマップのストリートビューで見ました。あの橋が、あっという間に流されたんです。本当に、災害は怖い・・。二首目、授業中の居眠り、本当に机抱えてゆらゆらしているんですよね。うまく表現していると思いました。漂流しているんですもの。友人が言っていたけど、机ごとひっくり返ったのを見たことがあるんですって。

佐佐木幸綱選

堰普請忙しく終へて淋しくも今年は常の打上げはなし      さいたま市 泉 明

除染後に敷かれた硬い土塊へ緑生い立つとうとう九年      福島市 米倉みなと

 一首目、堰普請とは、田んぼの用水路のことでしょうか。用水の咳の管理は大切な仕事です。地域の人たちが集まって共同作業でやったのでしょう。いつもなら、終わってからは集まって打上げの宴会だったのに、今はコロナの影響でそういうことができない、なんとも寂しいことです。二首目、田んぼの土は除染作業して新しい土を入れても、すぐに稲作ができるわけじゃなく、まず土を作り育てることが大変なのです。確か、以前どこかの番組で見たけれど、田んぼに入れた土がひどいもので、とっても以前のように水田にできないと嘆いていたのを覚えています。原発事故は、大地震によるものだったけれど、本当は人災だったんじゃないでしょうか。許されることじゃないですよ。これも、国の責任なのに。9年経ってもいまだに帰れない人たちがいます。私たちは忘れてはいけない。

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