武弘・Takehiroの部屋

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インフレの方がデフレよりはるかに怖い。 100円ショップ万歳!(消費者魂だよ)

2024年03月05日 03時24分08秒 | 経済・エネルギー・原発

<以下の記事は定年退職後の2002年6月23日に書いたものですが、現在にも通じる点があるので 一部修正して復刻します。>

1) この2~3年、テレビなどを見ていると、エコノミスト=経済学者が出てきて盛んにデフレの悪口を言っている。 正確に言うと、デフレスパイラルが良くないということだ。 経済語事典などによると、デフレスパイラルとは、物価が下落しているにもかかわらず、消費や投資などの需要が回復せず、売り上げや所得が減少し、それが需要を一層減少させて、更なる物価下落を招く“悪循環”を言うのだそうだ。 
つまり、物価下落と景気後退が繰り返されるので、経済は縮小し不況になるというわけだ。 確かに景気後退は良くない。失業者も増えるので悪いに決まっている。そんなことは、経済の専門家でもない私にも分かる。 しかし、物価の下落自体は、消費者にとって実に素晴らしいことである。 要は物価が安定し、景気も上昇してもらえれば、これほど良いことはないのである。(いやしくも「エコノミスト」を自称するなら、そのくらいのことはやってみろ!と言いたくなる。)

景気を良くするために、物価が上がってもよいというのは、実に乱暴な考えだ。 エコノミストとは、その程度のことしか言えないのかと呆れてしまう。そんなことは小学生でも言えることだ。 インフレ目標(ターゲット)だとかいろいろ言われているが、デフレよりインフレの方がはるかに怖いというのは、大方の国民が感じていることだ。
こんな経済状況で、物価が上がれば、消費や投資が更に落ち込むことは目に見えている。 物価だけが上昇し、景気が回復しないというスタグフレーションの恐れが出てくる。 いやしくも経済の専門家というなら、エコノミストはもっと説得力のある方策を示して欲しい。

2) 水は高きより低きに流れるように、消費者は高いものより安いものの方に流れる。 ブランド品は別として、同じ(ような)品質であれば、当然安いものの方を買うに決まっている。 こういう厳しい経済状況であれば、消費者の財布のヒモはますます締まってくるのだ。
私は昨年、テレビ局を定年退職してから、よく「100円ショップ」へ行くようになった。 テレビに出ているエコノミスト達は小金持ちだから、100円ショップなどにはほとんど行ったことがないだろう。 
私も昨年までは、100円ショップなどには行ったことがなかった。 そんな所に行かなくても十分に生活できたし、男としての見栄や外聞、プライドもあったので行く気にはなれなかった。 しかし、退職してから面白半分に100円ショップをのぞくようになって、ガラリと変わった。今ではしょっちゅうそこへ行くようになった。
100円ショップに行くと、なんと多くの品物が置いてあることか!! それも、以前は5~600円もしたであろう物が、消費税込みでみんな105円で買えるのだ! 私はその品物の多さと安さに驚いた。 日本はなんと豊かで暮らしやすい所だろうか、と思ってしまった。
別稿でも述べたことがあるが、戦後(第2次大戦後)の凄まじい貧困と物不足の中で育った私にとっては、物が安くて有り余っている100円ショップを見ると、天国か極楽に来たかのような錯覚に陥る。しかも、100円ショップは“雨後の竹の子”のようにどんどん出店しているのだ。 どうして、日本はこんなに豊かになったのだろうか。

3) インフレよりも、デフレの方がはるかに良いと言ったが、年金生活者にとっては尚更である。 完全失業者で年金生活の私にとっては、物価の安定、下落は最大の恵みである。私と同じような立場の人は増えつつある。 こうした状況を、エコノミスト達は本当に理解しているのだろうか。テレビで彼等の言っていることを聞いていると、とても理解しているようには思えない。
彼等は、目先の景気回復だけを言っているようだ。冗談ではない! 私の知っている某宗教関係者が、「経済とは、消費するためにあるのではない」と言った。 消費を拡大させるために、経済があるのではない。 経済とは、国民生活の安定のためにあるはずだ。企業の収益のためにあるのではない。
企業に参画していない人達が、どんどん増えていることを忘れてはならない。年金生活者も確実に増えているのだ。 これから高齢化が進むと、その数は一層増えるだろう。こうした人達が近い将来、大きな政治勢力になることも予想される。 現にアメリカでは、高齢者が一つの政治勢力になりつつある。政治はそれを無視してはならないし、また無視することはできないだろう。
「成長の論理」だけから、経済を見てはならない。そんなものは、ひと昔もふた昔も前の話である。 経済の構造改革が叫ばれているのに、一方では、目先の景気回復ばかりに気を取られて“デフレ対策”などと言っている。 私のような立場の人間から見ると、「デフレのどこが悪いんだ!」と叫びたくなる。

4) 10数年前のバブル経済と、その後の破綻を顧みると、日本の経済政策は明らかに失敗したのだ。政府もエコノミストもなんの責任も取らず、今度は「デフレ退治」を口にしだした。 これでは、国の経済政策など信頼できるわけがない。庶民は自分だけを頼りに、日々の生活を守っていかなければならない。
インフレになって一番困るのは、我々のような年金生活者だ。 物価スライド制と言っても、どこまで生活を防衛できるのか分からない。我々にとっては、デフレよりもインフレの方が“ゴキブリ”のように嫌なのだ。
最近、私は1600円の理容室へ行くようになった。ちょっと前までは、4300円の高級理容室や、カットだけで2000円の所へ行っていたが、出店したばかりの1600円のディスカウント理容室を利用することに決めたのだ。 もちろん、生活防衛のためである。
この理容室は、大人の調髪が1800円だが、60歳以上のシルバー代金は1600円である。 支払いは図書券でもビール券でも、テレカでも商品券でもOKである。それでカット、シャンプー、顔剃り、セットを全て含んでいる。 これほど便利で安価な理容室は滅多にない。しかも、とても感じが良いのだ。
こういう理容室を、誰が悪いと言えるだろうか。我々年金生活者にとっては、実にありがたいと言う他はない。 私達がそういう理容室を利用するようになると、他の理容室は当然影響を受けるだろう。 しかし、どんな乱暴なエコノミストでも、料金の高い理容室の方へ行けとは言えないだろう。

5) こういう生活の実態を、エコノミスト達はどれほど知っているのだろうか。小金持の彼等には多分、分からないだろう。「100円ショップ」の乱立、生活のユニクロ化はとどまる所を知らないだろう。
我々の下着類は、今や中国製、韓国製、台湾製、ベトナム製、タイ製などで占められている。 それほど品質が変わらないのに、庶民がどうして高価な(純粋)国内製品を買うだろうか。 しかも、安価な製品は余っているのだ。
主婦は1円でも安いものに殺到する。全て生活防衛のためである。 消費者の目は厳しい。安価で良質な商品だけが勝ち残るのだ。 それこそ、市場経済の原理である。
景気の回復や企業の論理だけを重視して、安易にインフレを云々するのは止めて欲しい。その場しのぎの経済政策はゴメンだ。 大体この10年以上、政府やエコノミスト達は、どれほどいい加減な経済政策を繰り返してきたというのか。「失われた10年」などと言われて、恥ずかしくないのか。
挙げ句の果てに、多額の不良債権を処理するために、国民の膨大な血税(公的資金)を投入する羽目に陥るとは、失政もここに極まれりである。 どうして、政府やエコノミスト達を信頼できるだろうか。 しかも、無能な彼等からほとんど反省、陳謝の言葉もない。まったく無責任である。
こうなっては、我々国民は自分自身の生活を防衛するだけである。 それぞれの立場から、言うべきことをはっきりと主張し、生活を防衛しなければならない。 年金生活者の1人である私としては、インフレに断固反対する。 (2002年6月23日) 

あとがき・・・要するに「新しい産業」をどんどん興すことである。そうすれば、経済はおのずと活気が出てくるものだ。

〈追記〉
おキヨさんという方からコメントをいただいたので、返事を書いたところ「不適切なURLまたは禁止ワードが含まれているため、投稿できません」という表示が出て、どうしても返事を送れません。このため、ここに返事の内容を付記しておきます。(2019年11月4日)
 
『インフレもデフレも好ましくない』
年寄りの一人として言っていますので、あくまでも「年金生活者」の立場です。
インフレもデフレも好ましくありません。経済が健全に、順調に成長することが最も大切なことだと思います。
元記事は17年前のものですが、100円ショップはまったく廃りませんね。仰せのとおり、ますます賑わっています。しかも品数がより豊富になっていて、100円ショップの買い物が楽しくなりました。
したがって、つい余計な物まで買ってしまうので自分も気をつけています。

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5 コメント

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Unknown (おキヨ)
2019-11-01 11:29:23
我が家の近くにも100円ショップが出来まして、大いににぎわっています♪
安いし便利ですよね。ついいらぬものまで買いそうになるのですがそれでは意味がないと思って止まります。
100円ショップの常用者に聞くと、買ったもののなんぶんの一かは捨ててしまうとか・・・^^
そうならないよう気を付けています。
Unknown (memnosis)
2021-10-26 21:38:26
インフレもデフレも好ましくありません。経済が健全に、順調に成長することが最も大切なことだと思います。

これは付け加えてほしかった文でした^^
インフレもデフレも好ましくない (矢嶋武弘)
2021-10-27 06:02:19
追記のところで「インフレもデフレも好ましくない」とはっきり書いてあります。
ただし、それが理想であっても、インフレ傾向とかデフレ傾向はいつもありますね。それは仕方がないと思います。経済は“生きもの”ですから。
Unknown (memnosis)
2021-10-27 07:02:27
年金生活者にとってはデフレはインフレよりまだマシ、は素直なご意見だとおもうのですがアベノミクスのなかでちぐはぐなデフレを増長させる消費税増税をやり、成長のない状態からのインフレが1番厳しい状況を作り出すとおもいました。
成長が第一 (矢嶋武弘)
2021-10-27 16:47:52
私は経済は素人ですが、やはり新しい産業を中心とする「成長」が第一だと思います。
その上で「分配」の課題が出てくるわけで、成長がないのに分配だけを議論するのはおかしいと思います。
アベノミクスの功罪についてはまだよく分かりませんが、そう上手くいかなかったと思います。
デフレを克服するには、消費税の時限的な減税もあるでしょう。 素人なので、もっと勉強したいと思います。なにかあったら、教えてください。

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