(新)Nothing happens to me.

科学には人間を理解することが絶対にできない理由がある

漫画に出てくる幻聴「神様の声に、触れ、食べるな、と命令される」を理解する(2/6)【統合失調症理解#17】

*短編集「統合失調症と精神医学と差別」から短編NO.39


 このインタビュー記事の冒頭にこう書かれていましたよね。

 ある平凡なひとりの女子高生が経験した凄絶な日々を描いたコミックエッセイ『高校生のわたしが精神科病院に入り自分のなかの神様とさよならするまで』(KADOKAWA)。著者のもつおさんは、ある日、唐突に不安や悩みが頭に広がり「触らなければいけない」という、まるで“自分のなかにいる神様”からの命令のようなものが浮かぶように。その命令は日を追うごとにエスカレートしていき、日常を支配していく。強迫性障害摂食障害、強制入院、退院後の揺り戻し…… 凄絶な経験から何を考え、どのように作品へと昇華させたのか、著者のもつおさんにお話をうかがいました。

URL:https://ddnavi.com/interview/743585/a/
最終アクセス日時:2021年5月2日17:00


 で、その紹介文のあと、もつおさんは当時の自分をこう評していましたね。

「THE 平凡!」って感じの高校生でした。真面目でもないし不良でもないし、どこにでもいる、ごくごく普通の高校生でした。つまらないですね(笑)普通にしてるつもりでもヘラヘラしてるように見えるみたいでよく周囲の人に「悩みとかなさそう」って言われてました。


 けど、もつおさんにも当然、悩みはあったわけです。どんな悩みだったか。

人間関係で悩むことがほとんどでした。当時は友達に嫌われることが何より怖かったので、学校では常に気を張っていました。家に帰っても「今日の私の行動は大丈夫だったかな?」とかばかり考えて。あとは体型のコンプレックスでも悩んでいて毎日のように鏡を見ては落ち込んでました……。


 鏡に写った自分の体型を見て、落ち込んでいたということですね。今回考察はしませんけど、もつおさんのこの漫画には、神様の声に「食べるな」と命令される場面が出てきます。当時、体型にコンプレックスを持っていたというこのことと、その神様からの「食べるな」という命令のあいだには、何か、関係がありそうな気がみなさん、しませんか?

 

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たとえば、ここですね。

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 さて、そんなもつおさんは、はじめて”神様の声を聞いた”ときのことを、つづいてこう語っていました。本題に入りましょう。今回は、この場面について考察します。





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*もつおさんがお描きになったその漫画はこちら。


*そのなかの一部が現在、無料で読めます(全11話)。


*前回の記事(短編NO.38)はこちら。


*このシリーズ(全48回を予定)の記事一覧はこちら。