前回のこのコーナーでは、録画機の不具合もあってテレビの視聴時間が激減し、プロレス中継ですら見なくなったと書きました。録画機を新調したことで各番組ともぼちぼち見るようになり、『ワールドプロレスリング』の視聴再開もしている。でも、やっぱり面白くないのだ。相変わらず平和なプロレス、ファミリーが安心して見れるプロレスを見せておる。どうでもいい。本当にどうでもいいプロレスだ。
 マット界では大きな動きも、あるにはある。だけどそれらは大きな動きとされるものであって、私からするとどうでもいい部類に入るだけ。長らく団体の看板選手であったオカダ・カズチカが退団したって、なんにも思うことはない。だからここで採り上げるようなネタも、ないと言えばないのだが・・・まぁでも、無理にでも書いておくか。



 週刊プロレスNo.2284(1月31日号)での「月刊龍魂時評」より。
 棚橋弘至が新日本プロレスでは19年ぶりの社長レスラーに就任したことが話題になったが、もはや私にとってはどうでもいいことで。いまの新日本にも棚橋にも興味はない。
 ただ天龍さんは面白い見解をされてると思ったので、一部をここへ引用してみる。

 

 俺もSWSやWARの時、選手と社長を兼務した時があったけど、まあ大変だよ。我を通せば自分のことばかりだと言われ、まわりに気を使えばリーダーシップがないと言われる。棚橋もそんなことは百も承知で社長を引き受けたんだろうけど、やるからには猪木さんのようになるしかないと俺は思ってるよ。
 坂口さんや藤波さんはいわばバランス型のトップだったが、創業者でもある猪木さんはリング上はもちろん、経営者としても強烈なリーダーシップを発揮し、仮に周囲の反対を受けようと自分の意思を貫き通す人だった。棚橋は大学も出てるし、もともとが調和を求めるタイプに見えるけど、トップに立った以上、全部の責任は俺が取る!ぐらいの気持ちで自分の意思を貫いたほうがいい。
 猪木さんに比べたらおとなしいイメージのあるジャイアント馬場さんだって俺がやることに文句は言わせないという態度で全日本プロレスを引っ張っていたからね。
 猪木さんにせよ、馬場さんにせよ、なんで我を貫けたかと言えば、レスラーとして強かったからだよ。現役である以上、キャリアを積もうが年を取ろうが社長だろうが、リングに上がれば関係ないからね。ベルトに絡むうんぬんというだけではない、レスラーとして地力の部分。それをしっかり見せつければ現場は棚橋についてくるだろうし、そのためにはどんなに忙しくたって練習して、試合に出続けなきゃいけない。猪木さんは社長業や政治でどんなに忙しくてもちゃんと道場には通っていたというし、馬場さんは馬場さんで全米でトップに立っていたという実績が水戸黄門の印籠になっていた。
 棚橋は現役レスラーとしてIWGP世界ヘビーを取ることも目標に掲げたそうだけど、口だけじゃなく、有言実行して、あらゆる意味でトップに立って新日本を引っ張っていってほしい。
 新日本は業界の盟主だ。その新日本が低迷するようじゃ業界全体が冷え込んでしまう。その意味でも棚橋の責任は大きいよ。猪木さんのようなリーダーシップを発揮して、ゆるぎない新日本プロレス帝国を築き上げてほしい。

 

 棚橋に天龍さんが期待するほどの強権(?)を発揮できる絵は想像もつかないが、現在の新日本をこんなふうにしちゃった戦犯が棚橋なんだから、仮に会社の経営がうまくいったところでプロレスそのものがよくなるわけがないと私は思っている。実際にいまの棚橋って、リング上では売り出したい選手を持ち上げるための白星配給係みたいな役どころを担ってるでしょ。こんなプロレスラーとしても平和な人が、天龍さんが思うような活躍ができるだろうか。そもそも彼の場合、馬場さんや猪木さんのように仲間が認めざるを得ないような強さが全盛期でもあったのかというと、そんな話はほとんど聞かなかったでしょ。そこは触れてはいけないみたいな空気感があって。大事なことなのに。仲間から認められてたのは「いい人」なところくらいじゃないのか。
 一般の会社ならそれでもいいんだと思いますよ。だけどプロレスですからね。一般社会とおんなじようなものを見せられてもね、それだとプロレスの存在価値が問われるんじゃないの。そういうの、なによりも重視しなきゃならないんじゃないの。

 続きまして同号「月刊龍魂時評」欄外より、「週プロ40周年」について。

 

 時代遅れと言われるかもしれないが、雑誌になった記事を読むことで自分が何を言って、どんな試合をしてきたのか振り返ることができるし、こういう見方をされるのかと気づかされることも多い。
 だからこそ御誌には悪いことは悪い、ダメなところはダメだと忖度ぬきで書いてほしい。俺自身、御誌を読んでコノヤローと思うことが何度もあったけど、気づかされることもしばしばあった。必要のない批判をしろと言うつもりはないが、ヨイショ記事ばかりじゃ業界が衰退してしまう。ときには嫌われる勇気を持って、これからもプロレスを報じてほしいし、選手名鑑も御誌がビシッと線引きして、自称レスラーは載せないぐらいの勇気を持ってほしい。俺も連載を書かせてもらってる身として、これからも忖度なしの意見を言わせてもらうよ。

 

 天龍さんのこの手の意見、何度見てきただろう。そのたびに当ブログでも扱ってきましたけども。
 結局、週プロは天龍さんの期待には応えられないんですよ。それをできるスタッフがいないのです。みんな保身に走っちゃってるのでしょう。当たり障りのないヨイショ記事に終始するだけ。ないほうがいいバレンタイン特集やらコスチュームの解説コーナーなんかやってるくらいなら、選手にコノヤローと思わせるような書き口も厭わない姿勢を見せつけてくれ。そっちのほうへ労力を費やしてほしい。だってこっちはお金払って購入してるんだから、それくらいのことはやってもらわないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 私はすっかり現代プロレスを嫌いになってしまっている。プロレスの記事は定期的に書くようにはしてるが、正直言って苦痛ですらある。
 だけどそれでもやめないのは、思うところあってのことで。

 ブシロードが新日本プロレスを買収して以来、同社の木谷オーナーは「マニアがジャンルを潰す」と主張し、オールドファンが新規客を排除してしまう構図がプロレスビジネスの発展を妨げているとして新たなファンの獲得を目指した。棚橋政権となってからは団体の方向性を脱・猪木、脱・ストロングスタイルへと舵を切るようになる。だがそのわりに新日本プロレスの看板やIWGPブランドは捨てようとしないし、都合のいいときだけ猪木さんの名前を引っぱり出してくる。なんて調子のいいことか。
 そしてここへきて木谷氏は、あらためて昭和を終わらせる宣言をした。邪魔な、うるさ型のオールドファンを排除しにかかるということなのだろう。
 思うんですけどね。これって何かと似てませんか。某大臣らが自分たちの方針に都合の悪い意見を持つ国民へ「陰謀論者」というレッテルを貼り、排除しようとした図式にソックリじゃないの。あと、私が大嫌いな「政府のやり方が気に入らないのなら日本から出ていけ」的な論調のやつ。図式的にはあれとおんなじじゃん。

 生憎ですけどね、こちとら国が発令した例の感染対策とやらにも、多数派による同調圧力にも、頑として従わなかった者なんですよ。業界トップの偉いポジションにいる人がそんなんだったら、なおさら抗ってやろうと思うじゃないの。
 そしてこの納得いかないものに盾突く頑固さは、かつてのプロレスから学んだことなんですよ。みんなから蔑まれようと白い目で見られようと、世間が思ってるほど浅い世界じゃないのを知ってるから私はプロレスを見捨てなかったんですよ。ワクチンハラスメントだろうとマスクの強要だろうと、次々と襲ってくる圧に抗うことができたのも、その応用ですよ。

 だからプロレスを世間が理解できる程度の安易で底の浅い世界にしようとする連中なんか、とても許す気にはなれないんだわ。あんたらの都合のいいように動いてたまるかい。

 

 

 タイガーマスクが虎の穴から叩き込まれたプロレスのイロハを組織へ倍返ししたように、私はプロレスから学んだものをプロレスへお返ししてやります。呪いでね。

 プロレスは呪いのジャンルだから。ニヤリ