行政書士試験受験者に幸あれ

行政書士試験を受験する方に、少しは役立つかも知れないことを書きます。

行政書士試験に役立つかも知れないことを書いています。初めての方はリンク集の筆頭にある「拙ブログの使い方」を読んで下さい。勝手ながら、勘違いや入力ミスは避けられませんので、疑義があった際には指摘して戴けると助かります。また、行政書士試験の範囲内ならば、質問にはできるだけ回答します。コメント欄に書くか、長くなるようでしたらメールを下さい。

民法改正 債権総論53 相殺6

 毎回謝罪から入ることになってしまっている状況です。今回も大幅に更新が滞りました。申し訳ありません。
 気落ちしている方もいらっしゃるとは思いますが、当方としてはやっと更新できそうでこれを逃すとまた期間が空きかねないため書くことにします。

Ⅲ.相殺の充当
ⅲ)512条の2
 条文を読んで理解できた方は読む必要のないものです。分かりにくいと感じる方用に拙ブログの理解を元に説明を書きます。ちゃんと書いてある本がないため、間違いがあるかも知れません。
 まず条文から。

512条の2 債権者が債務者に対して有する債権に、一個の債権の弁済として数個の給付をすべきものがある場合における相殺については、前条の規定を準用する。債権者が債務者に対して負担する債務に、一個の債務の弁済として数個の給付をすべきものがある場合における相殺についても、同様とする。
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民法改正 債権総論52 相殺5

 生来の怠惰な性格に加えて日々の雑用に追われて更新が大幅に滞りました。申し訳ありません。何とか今年中に債権総論を終わりたいのですが、年が明けてしまう可能性もあることをあらかじめ断っておきます。そもそもそんな期待はされていないでしょうが。

Ⅲ.相殺の充当
ⅰ)改正前の規定と改正の意味
 最初に改正前の条文を入れますので、不要と思われる方は跳ばして下さい。

改正前民法
(相殺の充当)
512条 第488条から第491条までの規定は、相殺について準用する。

 488条から491条までは充当の規定ですが一応入れます。
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民法改正 債権総論51 相殺4

Ⅱ.差押えと相殺
ⅱ)差押え後に取得した債権でも相殺できる場合
 前回511条1項について書きました。すなわち、

(差押えを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止)
511条1項 差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできないが、差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することができる。

 差押えを受けた第三者は差押え前に取得した債権ならば相殺ができる。
 しかし、差押え後に取得した債権で相殺することはできない。

 511条2項はこの例外を新設しました。

民法
511条2項 前項の規定にかかわらず、差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるときは、その第三債務者は、その債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。ただし、第三債務者が差押え後に他人の債権を取得したときは、この限りでない。

 「差押え前の原因に基づいて生じた債権」ならば差押え後に取得した債権であっても相殺ができる、としたのです。
 説明は次の項ですることにします。
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民法改正 債権総論50 相殺3

Ⅱ.差押えと相殺
ⅰ)無制限説の明文化
 改正前民法に於ける差押えと相殺については、


で書いたのですが、そこに入れた判例(最大判昭45.6.24-後述)の「無制限説」を今回の改正で明文化しました。改正前民法を先に入れます。

改正前民法
(支払の差止めを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止)
511条 支払の差止めを受けた第三債務者は、その後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができない。
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民法改正 債権総論49 相殺2

Ⅱ.不法行為債権を受動債権とする相殺の禁止
ⅰ)改正前の509条
 改正前の規定を先に書きます。

改正前民法
(不法行為により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)
509条 債務が不法行為によって生じたときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。

 この規定にいては、


の「Ⅱ.相殺禁止-相殺できない場合 2.受働債権が不法行為によって生じたとき」で書いたのですが、ここで簡単に説明します。
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民法改正 債権総論48 相殺1

 全く停滞してしまい申し訳ない限りです。債権総論が苦手なことを改めて痛感しています。代位関連を跳ばして相殺に入ることにしました。

Ⅰ.相殺禁止特約
ⅰ)重過失を明文化
 相殺禁止特約を(善意だけど)重過失のある第三者に対抗できることを明文化しました。改正前を先に入れます。

改正前民法
(相殺の要件等)
505条 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2項 前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。
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民法改正 債権総論47 弁済4

 1カ月以上のご無沙汰でした。
 パソコン(デスクトップ型)のある部屋のエアコンが調子悪いことなど諸々の事情から更新が大幅に滞りました。申し訳ありません。その間に見に来て下さった方にはお詫びします。半導体不足からエアコンの交換は容易ではなさそうなので交換を来年に持ち越したためでもあります。結局、暑さを言い訳にしてサボっていたというのが正しい説明かも知れません。

 やっと少し涼しくなっきて頭も少しだけ働くようになったため何とか書いてみます。我妻栄先生は「債権総論を制するものは民法を制す」と仰ったという都市伝説のような話がありますが、債権総論をちゃんと理解していなかったというのを実感している拙ブログです。

Ⅰ.合意充当の明文化
 合意充当が可能なことが明文化されました。

(合意による弁済の充当)
490条 前二条の規定にかかわらず、弁済をする者と弁済を受領する者との間に弁済の充当の順序に関する合意があるときは、その順序に従い、その弁済を充当する。

 「前二条」はこれから以下で書きます。
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民法改正 債権総論46 弁済3

 情けないことに暑さに負けて脳が働かないだけでなく脳を働かせる気力もなくなってしまいました。少し気温が下がって過ごしやすいためやっとこれを書いているという状況です。多分、これで良いのではないかと思われるまとめです。

Ⅵ.弁済する第三者と債権者との関係
 上手くまとまるかどうか分かりませんが、弁済する第三者・債務者・債権者の関係をまとめ風に書いてみることにします。
ⅰ)正当な利益を有する第三者
 債務者の意思に反しても弁済することができます(474条2項本文の反対解釈) 。
 但し、4項に該当する場合はできません。

474条2項 弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない。

4項 前三項の規定は、その債務の性質が第三者の弁済を許さないとき、又は当事者が第三者の弁済を禁止し、若しくは制限する旨の意思表示をしたときは、適用しない。
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民法改正 債権総論45 弁済2

 項を改めてⅣ.として書き始めることにします。

Ⅳ.478条
ⅰ)「準占有」という概念を放棄
  改正前は「準占有者」という文言を使っていたのですが、「準占有」というのは内容が曖昧というか不明確なため「受領権者としての外観を有するもの」に変えました。

改正前民法
(債権の準占有者に対する弁済)
478条 債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。

 項変わりました。

受領権者としての外観を有する者に対する弁済)
478条 受領権者(債権者及び法令の規定又は当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者をいう。以下同じ。)以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。
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民法改正 債権総論44 弁済1

 やっと弁済に入ります。

Ⅰ.弁済の一般規定の新設
 改正前は弁済によって債権が消滅するのは当然のことと考えて弁済に関する一般的な規定を置かず、「第五節 債権の消滅 第一款 弁済 第一目 総則」の最初の条文は「第三者の弁済」の関する474条でした。

 今回の改正で弁済が債権の消滅原因であることを明文で規定しました。

第六節 債権の消滅
第一款 弁済
第一目 総則

(弁済)
473条 債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は、消滅する。

となり、「債権の消滅」の最初の条文になったというわけです。
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