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日本人5万人のゲノム解析が完了

2022-08-16 10:39:28 | 健康・医療
最近はゲノム医療という分野も進んできました。

例えばガン患者のガン細胞の遺伝子を解析し、どの部位に変異が起こっているかを特定して、その変異に合った分子標的薬を使うなどということが実用化されつつあります。

東北大学の東北メディカル・メガバンク機構などが、一般の日本人約5万人分のゲノム(全遺伝情報)の解析を完了したと発表しました。

官民共同10万人全ゲノム解析計画に基づくもので、データを順次研究者に提供していき、ガンや難病の解明、創薬などに役立つことが期待されています。ゲノムはDNA全配列で、いわば生き物の設計図とも言えます。

ヒトのDNAは染色体にあり、アデニン、チミン、グアニン、シトシンの4種類の塩基が並んだ構造を持ち、並び方の個人ごとのわずかな違いが、体質や病気のかかりやすさの違いとなります。

ゲノム情報を調べ患者特有の変異に基づいてガンや難病を診断し、「テーラーメイド」で治療するゲノム医療が近年進展してきました。日本人のゲノム構造は欧米人とかなり異なるため、日本のゲノム医療のためにはこれを正確に把握する必要があります。

また患者の遺伝子の変異を判断するには、参照用の大規模な一般住民のゲノムと健康情報のデータべースが必要となります。東北大学の研究グループは宮城、岩手県などの住民15万人超の協力で、DNAなどの生体試料を集めてきました。

これらのゲノム解析を進めており、2021年12月に約1万4000人分に到達し、さらに今年6月末までに約5万人分の解析を完了しました。このうちデータの偏りを避けるために近親者を排除した約3万8000人について、データベースにまとめて公開しました。

広く研究者が利用すれば、個人ごとに健康上のリスクを予測し病気を予防することや、創薬の加速につながると期待されています。またこのデータは日本人だけではなく、東アジアに適用できると考えられるようです。

公的資金や製薬企業のデータ利用料金を財源に、今後も回析を続け10万人分のゲノム解析を目指しています。海外にはさらに大規模な取り組みがあり2021年11月に英国で20万人分、2022年3月には米国で10万人分の解析情報が公開されました。

同機構は、一般住民のゲノムデータは革新的な創薬に必須で、米英に比べて規模は小さいが、追跡調査や家系の情報があり、非常に分厚い健康情報が付いているのが特徴であると述べています。

私はこういった膨大な遺伝子情報をどうやって創薬に繋げるかに興味がありますが、この辺りは製薬会社の腕が試される部分かもしれません。


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