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低迷し始めた日本の研究力、その原因は

2022-08-14 10:27:33 | 時事
私は引退するまで研究者として過ごしてきましたが、あくまで企業研究であり大学や公の研究機関にはほとんど所属していませんでした。

引退後も科学研究には注目してきましたが、最近日本の研究力が低迷しているという話しをよく目にするようになりました。日本はノーベル賞受賞者も多数輩出し、一昔前までは科学立国になることを期待されていました。

ところが論文引用数や大学ランキングなどの数値で見る日本の地位は下がる一方といえるようです。日本の科学の衰退は1990年代後半から始まっており、2000年過ぎからの大学の論文数減少より前に、企業からの論文は1996年から減少傾向になっています。

またトップ10%被引用論文数(いわゆる注目される論文)で見ると、1997-1999年頃は世界4位でしたが、その後どんどん順位を下げ、2017-2019年では10位に後退しています。急上昇中の中国やアメリカは科学に多くの予算をかけているから、強いというのも理由のひとつです。

しかし科学にかける予算を見てみると、2020年度の科学技術研究費は19兆2365億円で、世界的に見てもアメリカ、中国に次ぎ3位となっています。

研究者の数という視点で見ると、人口100万人あたりの研究者の数は日本が5331人、アメリカは4412人、イギリスが4603人、ドイツが5212人など欧米と比べてもとりわけ多いわけでも少ないわけでもないようです(中国は人口が多いため1307人と少なくなります)。

ただし日本の特徴として博士号取得者が少なく、2018年のデータでは年間の新規博士号取得者数は、人口100万人あたりイギリスは375人、ドイツでは336人ですが、日本では120人となっています。

これは1997年以前もこの傾向はあり、日本の科学の衰退の直接原因ではないようです。ポストの数の制限もあり研究者数を増やすことは得策ではなく、現在博士号を所持している研究者が十分に生かされていない人材が蓄積していることが問題です。

2002年と2018年を比べると研究にかける時間が、46.5%から32.9%と大きく減少しています。増えているのが教育活動や社会サービス活動ですが、これは教員としての本業とも言えます。

この背景として研究室内での教育業務を負担と補佐する人員の数がアメリカなどと比べて非常に劣っているようです。例えばポスドクや博士課程院生がかなり減少し、教育ができる研究者が非常に少なくなっています。

ただしこの傾向は以前から全く変わっておらず、研究の衰退の直接原因とは言えないような気もします。こうして研究環境などをいろいろ調べてみても、細かい改善点的なものは見つかってきますが、最近の研究の衰退はこれが原因だというところは出てこないような気がします。

大きな流れの中での研究が現在はやや低いだけであり、今後の動向を見ることも必要な気がします。


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