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うつ病治療に脳のペースメーカー

2021-11-27 09:51:15 | 健康・医療
うつ病は気分の問題程度の軽い病気と考えていましたが、重くなると日常生活に支障をきたすような状況になるようです。

WHO(世界保健機構)の統計では、現在うつ病の患者数は世界全体で2億8000万人(総人口の3.8%)といわれています。

こういったうつ病の治療法として、「DBS(脳深部刺激療法)」と呼ばれる技術が最近注目を浴びています。DBSは脳の内部に手術で小型電極を埋め込み、これで脳の特定の領域を電気的に刺激することにより、精神・神経疾患を鎮静化する技術です。

もともとはパーキンソン病や癇癪など身体の震えを伴う病気に適用され、既に世界全体では16万人以上がこの治療を受けています。最近カリフォルニア大学の研究チームが、従来のDBSを改良し患者各人のうつ状態に適合するような新たな治療法を開発しました。

従来のDBSでは病気の症状や脳の断層写真などから標的となる脳の部位を探し出し、ここに手術で電極を埋め込みます。同時に患者の前胸部にも小型の刺激発生装置を埋め込み、この装置と脳内の電極とを皮下に埋め込んだケーブルで接続するというものでした。

うつ病に適用されるDBSはまだ臨床研究の段階ですが、患者が発生装置のオンオフをするのではなく、恒常的に脳の特定領域を電気刺激することでうつ症状を鎮静化します。

問題点としては、うつ病といってもその症状を引き起こす脳の活動状況が個人によって大きく異なるところです。研究チームが開発したDBSでは、各々の患者による違いに対応した治療法を実現しようとしています。

臨床試験の被験者の例が出ていましたが、聞き取り調査やMRI画像などから気分がうつ状態へ変化するときに、真っ先にスパイク信号を発する脳の領域を突き止めています。

またうつ状態を脱するために電極から電気刺激を与える際に、最も敏感に反応する領域も腹側線条体と呼ばれる領域であることも突き止めました。

そこで大脳皮質の表面にDBS専用の特殊装置を装着すると、偏桃体の活動状況を常時モニターしうつの信号を検知すると、腹側線条体に向けて微弱な電流を送り、この領域を刺激します。この臨床試験を開始してから数週間で、患者の症状は劇的に改善したとしています。

効果は絶大なのですが、この方法では患者の頭蓋骨を切り開いて脳に電極を埋め込んだり、専用のモニターや装置を取り付けるなどの外科手術が必要です。研究チームは頭の外側から装着する治療法に応用する研究を進めていく計画としています。

外科手術が必要でなくなれば、本当に画期的なうつ病治療法となる可能性は高いような気がします。


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