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濁河温泉・はもずしエリアアイスクライミング2023.01.08

2023.01.08 岐阜県は御嶽山の麓、濁河温泉にある

通称「はもずし」エリアでアイスクライミングをしてきました

 

私たちが訪れた当日、転落事故が発生

事故後の1/12には下呂市の判断で一時的にはもずしエリアが「立ち入り禁止」に。

しかし、翌日1/13には立ち入り禁止の解除が発表されました。

(参考)飛騨小坂観光協会

 

当日は要救助者がヘリで搬送されるまで微力ながらお付きあいさせていただきました。

この記事では、「はもずしエリア」のご紹介と、事故後の現場に居合わせた者として感じた事・改めて考えさせられた事をご紹介しています。

この記事でわかること

  • 通称「はもずし」エリアについて
  • アイスクライミングゲレンデへの取り付き場所や方法
  • 当日の現場からわかったこと
  • 事故原因と懸垂下降の安全確認について
事故については残念で、自分も気を付けなければと考えさせられました。

しかし「はもずし」への立ち入り禁止が解除されホッと!

貴重なアイスクライミングのゲレンデ、今後も利用させてもらえるようみんなで大切にしていきたいですね。

「はもずし」エリアとは

「はもずし」エリアとは

  • 場所:岐阜県 御嶽山の標高約1700mに位置する濁河温泉の入り口
  • 2001年緋の滝につづき、2007年に紹介された
  • 駐車地からアプローチが短くトップロープも張りやすいため関西、東海方面のクライマーに人気のエリア
  • 上流から下流までの約120mの間に8~15mぐらいの氷柱が連なる
  • 75~90度で、シャンデリア状などラインも色々とれる
  • 赤い橋の下という景観もおもしろい

参考引用文献:白山書房 新版アイスクライミング 廣川健太郎 編

 

 

「はもずし」エリア名前の由来は?

「はもずし」エリアの開拓者は京都の名物クライマーの土倉大明さん

この開拓者さんの濁河温泉 はもずしアイスエリア開拓の記事がコチラ

記事では名前の由来までは明記されていませんが、「良い場所を発見した!」という当時の興奮が伝わってきます

「はもずし」エリア 取り付き場所と方法

まずは濁河温泉を目指すよ!

道中の道路凍結により「すべります」

4輪駆動車、冬用タイヤは必須です。除雪されているとはいえ、チェーンの準備も

取り付き場所

旧チャオ御嶽スキー場から濁河温泉へ続く道から左岸側の濁河総合スポーツセンターへ渡る濁河大橋。

この赤い大橋の起点部に目印の旗あり。(駐車場から橋へ向かってすぐ右手)

橋の起点の真下へ向かう。

右手前のガードレール端にピンクリボンあり ここから入る

方法

①赤い鉄橋の柱を利用し懸垂下降で降りる。

②橋を起点としやや上流、下流の生木を利用し懸垂下降で降りる。

③橋から100mほど下流に歩きで降りられる箇所あるもトレースがないとわかりづらい。50mロープでフィックスをはり注意しながら降りる。(下部は氷の可能性も)

ロープ

50m~60m使用

メモ

クライミング終了後はアイスゲレンデから上部の道路まで登り返す必要がある。

歩きでの登り返し用のフィックスを張っていない場合は、荷物を背負いアイスクライミングで登り返すことになる。

あえて荷物を背負ってアイスで登れば、マルチピッチアイスを想定した場合の練習になりますね。

事故当日の様子

8時45分頃、市営駐車場に到着。

すでに9台の先着者車両が駐車してある。

3連休のどまんなか。

人気のアイスクライミングエリアであることがわかります。

私たちは自分たちのトップロープが張れるかどうか心配しつつ準備をすることに。

 

そこへ偶然にも知人男性Kさんが登場!

偶然の再会を喜ぶのもつかの間、なんと、他グループで事故があったとのこと。

今は、すでに救急車を呼んだところであると。

 

たまたま偶然にもKさんとも昔からの友人であり、私たちとも共通の友人であるMちゃんが別グループで来ている。

そして、その事故の要救助者に付き添い、下(ゲレンデ)にいるというではありませんか。

事故直後ということで私たちも何か協力できる事があるかもしれないと、急いでアイスの準備をしました。

 

この時、Mちゃんのグループの同行者である、鈴鹿山系を中心に活動されているK山岳会ベテランクライマーのSさんが歩きで登り降りできるようロープでフィックスを張り準備されていました。

この後到着予定の救助隊の方にもしっかりしたトレースとロープで登り降りしやすいよう(※救助隊の方は私たちのようにアイゼンは履いていなかった)

私たちはあえてこのフィックスのルートでで降りることに。

 

アイスゲレンデに到着すると奥の方に人が何かを囲むように輪になっています。

転落した方をマットに寝かせ、周囲の方の防寒着のダウンなどで保温した状態で待機されていました。

 

転落した方(要救助者)以外に事故に巻き込まれた方はおらず、ご本人のみ負傷。

転落した方のグループは6~7名だそう。

橋の下は電波は入るが、より電波が入りやすい駐車地で各所へ連絡を取っている人、

救急隊が来た時のため案内役として待機している人、

本人に寄り添い体調確認など声掛けをしている人

など…各々が分散し協力体制をとっています。

私は要救助者の元へ。

私の同行者はすでに張ってあるフィックスのロープがやや短かったため、私たちのロープ(60m)を同様にフィックスとして張りに行きました。

参考

エマージェンシーシート持っていますか?

私もザックの中にはいつも簡単な救急セットを持ち歩いており、その中に入っている物品の一つです。

今回、はじめて実践で使われているのを見ました。

いつでも取り出して使えるよう常備しておきたいですね

ケガの状況は…

  • 出血などの肉眼的にみて明らかな外傷はなし
  • 頭部はうってないとのこと、意識はしっかりしており会話も可能
  • 手足の痺れ感、嘔気、嘔吐なし
  • 本人の訴えは背部、胸部の疼痛、息苦しさ
  • 息苦しさの程度も軽い様子で、呼吸状態は平静
  • 体を多少動かしても表情的に苦痛様ではなく、明らかな骨折はなさそう
  • 装着したままのハーネスを解除し外す際も腰部の疼痛なく、協力動作もとれる
救急隊がくるまで、要救助者の体調に変化ないか時々声掛けをしながら確認していました。

快晴 風もない ヘリはきてくれそうだね

遠くから救急車の音が聞こえてきました。

救急隊が到着したようです。

救急隊に状況を説明してくれているKさんから電話があり、

まずは救急隊が現地へ降りるための方法、要救助者を上げるための方法を検討していたようです。

救急隊(5人ほど)が要救助者のもとへ到着してからもクライマーも参加し協力しあいました。

要救助者を搬送のためのボードに乗せたり(要救助者の体を臥位=寝たままの状態 でなるべく動かさないよう)

ヘリが見えやすい場所はどこか考え、開けた場所でヘリに搬送しやすいよう雪を整地しヘリ搬送の準備をしました。

もし事故現場が「はもずし」近くにある「緋の滝」だったなら?

緋の滝の滝壺周辺はヘリで近づくには谷の幅がせまく、ヘリで直接要救助者を引き上げる搬送は難しかったかもしれません。

その場合、まずは要救助者を人力で広い場所まで移動させる必要があります。

今回は周囲に複数の協力者がいて、要救助者を広めの開けた場所へ平行移動で移動できたのはよかったと感じます。

緋の滝

救急隊の到着から、ヘリが到着するまでさらに待ち…

 

まずはヘリから二人の救助隊の方が降りてきて状況を再確認。

さらに頑丈そうな搬送用のボードへご本人をしっかり固定しました。

コロナが蔓延しているまっただなか。

本人自身に症状がないか、ワクチンの接種状況の確認がありました。

病院の空きベッドがあるかなど、今のご時世は簡単には受け入れ先が決まらないということが予想されます。

きっと受け入れ先が決定したのでしょう。

一人の救助隊員が要救助者に付き添い一緒にヘリへ引き上げられました。

そして、もう一度、残る一人の救助隊の方をヘリへ乗せ、ヘリは颯爽と飛んでいきました。

「とやま」

事故発生からヘリ搬送終了まで3時間程度です。

 

無事に運ばれていき一安心。お昼休憩し一息入れた後は、みんなで楽しくアイスクライミングを楽しみました

 

後日、Kさん(救助活動を中心に行った)のもとへご本人から連絡がありました。

ケガの程度は背部(1か所)の圧迫骨折であり翌日には退院、通常の生活が送れているとのことです。

致命的な事故が多い懸垂下降

クライマー

結局、今回の事故原因ってなんだったの?

クライミングをする人であれば気になるところだと思います。

私たちが到着した時にはすでに事故後であり、現場を目撃したわけではありません。

現地で聞いた話では、橋の鉄橋下から懸垂下降で降りる際に転落したようです。

グループで順番に懸垂下降しており、転落は2~3番目の順番時に起きたよう。

転落後の確認ではデバイスにはきちんとロープはセットされた状態だったとのこと。

(予想)転落原因

  1. 懸垂下降のセット時にセルフビレイをとっていなかった
  2. 懸垂下降のセット時に(フリクションヒッチなど)バックアップをとっていなかった
  3. 上記二つの状態で、ブレーキストランドを離してしまいグランドフォールした

今回の事故では生死をさまようような重大事故ではなかったものの、懸垂下降での事故は致命的なものが多いと聞きます。

私自身の復習のためアルパインクライミングの教本を読み直してみました。

参考

アルパインクライミングを行ううえで、懸垂下降は絶対に必要な技術であり、同時に絶対に失敗がゆるされないものでもある。

 

参考

必ず経験者にそばで指導してもらい、ロープのセットや下降の手順などをチェックしてもらう。下の到着地点では、もう一人の経験者がロープを持ち、万一の時にロープを引けばストップするようにしておく

参考引用文献:山と渓谷社 保科保則著 アルパインクライミング

 

今回の事故では、転落した方が初級者なのかベテランの方なのかはわかりません。 しかし、どんな人であっても安全確認のしすぎってないのではないかなと思います。 例えば、私自身はクライミングで登り始める前はビレイヤーであってもクライマーであっても必ずお互いの安全確認を声を出して行うよう意識しています。 懸垂下降の時も同じで、自分ひとりであったとしても声出しして確認する。 周囲に仲間がいるのなら、お互いの安全確認をしあうことが大切だと感じました。

まとめ

今回、事故当日の振り返りを時間の経過を追いながら記事を作成しました。

記事作成することで、改めて事故発生から救助要請までが迅速に行われていたことがわかりました。

(私たちが駐車場に到着した時は、事故発生直後)

Kさんや、Sさんのように事故の現場で迅速、的確に判断し「状況把握」「ファーストエイド」「救助要請」までを自分ができるかどうか?

また、もし負傷者を人的に背負い搬送などで救助する必要があった場合は?

セルフレスキューに必要なロープのシステムを構築できる?

正直、どれも自信ありません

自力下山の原則に基づいて、セルフレスキューに必要な技術の訓練も定期的に行っていかなければならないと改めて実感しました。

 

また、もし自分が事故を起こしてしまったら?

自分自身の体の負傷だけでなく、周囲の方々にもかけてしまうであろうリスク、今後のクライミングゲレンデが閉鎖されてしまうおそれもあることがわかりました。

誰も起こしたくて事故を起こしてしまうわけではありません。

しかし、やっぱり「山で事故は起こしてはいけない」そう思います。

今回の山行では、クライミングもアイスクライミングも、即、重大事故につながるような危険な遊びをしているのだなと実感しました。

自分自身で一人ができることはロープワークなど日頃からのトレーニングもありますが、事故を起こさないためには一人だけの力ではなく皆で意識しあうことも大切だと思います。

リスクに対する警戒心は薄めてはダメですね。 日頃から自分自身の技術も抜けがないようトレーニングしていきたいと思います。

 

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