世相の潮目  潮 観人

世相はうつろい易く、その底流は見極めにくい。世相の潮目を見つけて、その底流を発見したい。

安倍政権が成し遂げた成果を改めて評価すれば

2020年09月13日 | 政治
武漢コロナの対策で手間取っている間に安倍政権の支持率は下がりましたが、安倍首相が体調を崩して辞任すると発表した途端に支持率は急上昇して70%を超えました。安倍首相が辞めるというので目先の評価を7年8ヶ月の評価に切り替えてみたら長期政権は立派な仕事をしていたんだと国民は気がついたのです。

では、長期安倍政権の立派な功績とはなんでしょうか。第一番に取り上げるとしたら地球を俯瞰する外交政策です。

多くの評論家はデフレからの脱却を挙げていますが、そして確かに雇用条件の改善は顕著でしたが、最後に昨年10月に消費税を10%に引き上げたのは重大な判断ミスで、それまでの経済政策の成功を帳消しにしたきらいがあります。

しかし、安倍政権の発足当初から最後まで輝かしい成果を上げたのは外交分野でした。民主党政権が台無しにした対米友好関係、平和ぼけしていて突け込まれた中露関係、言いがかりを受け続けた韓国関係などを短期間に立て直した安倍政権の成果は大いに評価されます。

2015年米国連邦議会上下両院合同会議における安倍首相の演説は、日米間の歴史認識の隔たりを是正して日米同盟を「希望の同盟」に高めました。当初は安倍政権に批判的だったオバマ政権とは、真珠湾訪問と広島訪問を実現して戦後続いていた日米両国民のわだかまりを解消したことも重要な外交成果でした。このことは中国、韓国などの特定アジア諸国からの故無き対日批判を封じることにも役立ちました。

トランプ政権時代になると、安倍首相の努力によって日米関係は一層親密の度を深めました。かねて安倍首相の持論であったセキュリティダイヤモンド構想は、トランプ政権によって印度・太平洋構想に具体化されました。国際戦略の樹立という面で日本が主導したことは未だ嘗てなかったことで、刮目すべき成果です。内向き志向の日本のメディアはこの重要性、重大性が分からずその意義を余り報道しないので国民の多くは理解していませんが、これは安倍政権の最大の外交上の成果なのです。

もう一つ日米関係で安倍政権が貢献したのは防衛問題です。日本の政治家は口を開けば日米同盟を基軸としてと言いますが、それは日米同盟が日本の安全保障を担保する軍事同盟だからです。

日米安全保障条約の歴史を見ますと、戦争直後に締結された条約では日本は米軍に基地提供義務を負いましたが、米国は日本を防衛する義務はありませんでした。この不平等条約に対して、安倍首相の祖父、岸信介首相は米國に日本防衛義務を負わす条約改定を要求して、1960年に実現しました。しかしその時、日本は米国の防衛義務は負いませんでした。その理由は、日本は平和憲法で自衛の戦争しか戦えないということでした。

しかし、軍事同盟は血の同盟と言われるように相互に防衛し合う対等性が命です。平和憲法に反するというのは日本の都合であり、況して野党の言うような米国の戦争に巻き込まれたくないと言うのでは軍事同盟の否定になります。

そこで安倍政権は、歴代政権が違憲として否定してきた集団的自衛権の行使を合憲として、日米安全保障条約を両国にとって完全に対等なものにしたのです。集団的自衛権とは日米いずれかが敵に攻撃されたとき日米は共に戦うということです。日米軍事同盟を本来あるべき姿に戻したことは、軍事力を強化して侵略的行動をあらわにしている中国に向き合うために適切な政策の改善でした。そしてこのことは、祖父の岸信介がやり残した仕事を、孫の安倍晋三が完了させたとも言えるのです。
(以上)
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