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 【品 名】Winning Post 9 2020
 【機 種】Switch
 【発売日】2020.3.12
 【販 売】コーエーテクモ

第14回目のゲームレビューは、
競走馬育成SLGの最高峰シリーズ、
『Winning Post 9 2020』です。

前作の「Winning Post 9」では、「8」から大きく仕様を変更し、
馬同士のライバル対決を全面に出して、
その勝敗で変わる闘志パラメータを搭載したり、
騎手との出会いをガチャ仕様にしたりと、
色々と目新しいシステムが追加されました。

しかし、その一方で、
結婚システムやクラブ設立など、
従来の人気システムが削ぎ落されたりもしました。


このシステム一新の成果ですが、
結論から言えば、前作は大不評だったんです。

従来のファンがこのゲームで何を楽しんでいたか、
箱庭SLGの面白さの部分を、完全に見誤ってしまったんですね。

うーむ。。

ちなみに、個人的に一番ダメだったところは、
難易度調整に大失敗していたところです。

難易度は当初5段階あり、「ULTIMATE」が最高だったんですが、
この「ULTIMATE」が、5段階も準備しているにも関わらず、
ちょっと難しい程度で、大した難易度ではなかったんです。

その後のアプデで「SPECIAL」が追加されたんですが、
これが酷すぎる難易度で、逆に全く勝てないんです。

実在の名馬でさえ、条件戦で苦戦する始末。。


難易度調整さえ、上手く施されていれば、
自分にとっては良作で、あとはシステムとしてどれだけ面白いか、
ここが今回の評価の見極めポイントとなりました。

・・・前置きが長くなりましたね。
それでは、項目に分けてレビューしたいと思います。

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■難易度調整
 今作は最初から「SPECIAL」を含めた6段階用意されているのですが、
 最高難易度の「SPECIAL」に関しては、とても上手く調整されています。

 前作のような「ありえないレベル」ではなく、
 実在有力馬であれば、G1レースだって普通に勝てます。
 でもオリジナルの生産馬だと、いい感じで苦戦します。

 また、同じレースにディープのようなスーパーホースが出走していると、
 実在有力馬でも、さすがに簡単には勝たせてもらえなくなります。
 
 いいんです。
 それでいいんです。


 ただ一つ言うならば、折角6段階もあるのに、
 難易度間のレベル差があまり変わらないように感じます。
 (さすがにEASYは簡単らしいですが)

 基本、最高難易度でしかプレイしないので、
 「SPECIAL」さえ問題なければ個人的には良いのですが、
 他のプレイヤーはどうなんですかね。

 あと、海外レースは前哨戦から海外に参戦していないと、
 ぶっつけではどのレースもなかなか勝てないですね。

 実際、日本の馬たちも海外(特に凱旋門賞)では、
 芝質の違いなどで、日本と同じような活躍が出来ていないので、
 その辺りを忠実に再現したのかもしれません。
 ただ、地方レースもなぜか難易度高いですが。。


■結婚システム
 大変申し訳ないのですが、まだ「貴船光里」さんと結婚して間がなく、
 それ相応のイベントに出会えていません。

 これは難易度「SPECIAL」の弊害といってもイイんですかね。
 (そんなに簡単には勝てないので)

 ただ、このシステムの結婚条件のクリアが、
 ゲームを進める上での一つの目標にもなるので、
 プレイヤーにとっても良いシステムなのではないでしょうか。
 

■絆コマンド
 前回ほど効果テキメンではありませんが、
 このシステムこそが9の代名詞なので、良いのではないでしょうか。

 有意義な絆では疲労も溜まるので、使い時が難しく、
 プレイヤーのセンスに委ねれており、考える楽しさが生まれます。

 今作ではGⅡ、GⅢレベルの重賞制覇では、
 絆が貰えなくなったところも、逆に好印象でした。

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■その他
 昨今の競馬会には欠かせないM.デムーロとルメールが、
 今作では実名で登場していたのは、正直嬉しかったですね。

 8の時に実名の時代もあったのですが、
 権利の問題からか、前作では全然似ていない、
 別の外国人になってしまいました。

 細かいところですが、
 大変大きな評価ポイントだと思います!



■総合評価
 前作の無印は何だったのかというくらい、今回の作品は良作です。
 本当に同じスタッフが作ったのでしょうか、というレベルです。
 (山口Pは同じでしたが。。)

 競馬ファンで、「Winning Post」から暫く遠ざかっているという方なら、
 絶対損はしないレベルの出来だと思います。

 おそらく同シリーズの2021も発売されると思いますが、
 「Winning Post8 2018」のように、要らない調教機能や、
 ゲームバランスをぶっ壊す「ドリームマッチ」などがない今作が、
 一番現実に忠実な競馬SLGになるのではないでしょうか。



 かつて共に競馬SLGとして一時代を築いた、
 『サラブレットブリーダー』や『ダービースタリオン』は陥落し、
 今となっては『Winning Post』しか残っていません。

 同メーカーの『G1ジョッキー』や『ギャロップレーサー』も、
 昨今の需要ではおそらく新作は出せないでしょう。


 競馬ファン兼ゲームファンとしては、
 この『Winning Postシリーズ』を全力で応援したいと思っています。