高学年になった辺りから自尊心の低さが顕著に表れるようになる。読んでいる人の中で辛くなったりする人がいたら、すぐに読むのを中断して欲しい。また、発達障害に関するエピソードとなるので明るい話が減ることを予めご了承ください。



・私は疫病神

秋の行事と言えば運動会。その運動会が私は嫌いだった。アスペルガーの特徴に運動が苦手・運動神経が悪いというものがあるが、それは関係ない。むしろ私は運動が得意だった。保育園の運動会の徒競走は基本的に一等賞。それは小学校に入学しても変わらなかった。男子との差がない低学年~中学年なら男子よりも足が速いことがあった。

その運動会を、私は小学校を通して全敗という結果で終わった。正確には0勝5敗1引き分けだ。付け加えるなら義務教育時代に運動会・体育祭で勝ったのは、たったの一回だけだ。運動が好きな私が運動会だけは好きになれなかったのは、そういう理由からだ。

小学校高学年のある日、私は思った。私がいる組は今までずっと負けている。まるで私がいるせいで負けているみたいだ。別の日、クラスの子と数人で運動会の話になった。そこで私は一度も勝ったことがない話をした。「えー、うそー」「ほんとにー?」と様々な反応が返って来る。しかし、私が求めた言葉が出る気配はない。私は自らこう言った。

「なんか疫病神みたいだよね(苦笑)」

一緒に話していた男子が「疫病神だって(笑)」「疫病神ー(笑)」とはやし立ててくる。私はここぞとばかりに泣いた。私は自尊心の低さから悲劇のヒロインを好む傾向にあった。



・ベーコン忘れる事件

家庭科の調理実習で私は材料のベーコンを用意する係になった。私の家の食卓は基本的に和食が中心だ。ベーコンという洋風の材料は前もって母に用意をお願いしようと考えた。

調理実習前日、私はベッドに入り忘れ物はないかとランドセルに入れたものを頭の中で確認していた。大体準備してあるなと安心した時、はっと思い出した。ベーコンを用意していない。しかも母に用意をお願いするのを忘れていた。私は急いでまだ起きている母のところへ行き、ベーコンがあるかどうか尋ねた。見てみないと分からない、と母は冷蔵庫の中を確認しに行った。待っている間に私の中では、何でベーコンを用意しなかったんだ、何で前もって母にお願いしなかったんだ、もしなかったらどうしよう、明日の調理実習はベーコンなしになる、みんなに迷惑がかかる、と色々なマイナスの感情が湧き出ていた。

至らない自分を責めて責めて責めた結果、私はカッターを取り出した。カッターの刃を出して自分の胸に当てた。チクッとした痛みと「イテッ」と思ったと同時に少し冷静さを取り戻し、「何やってるんだ。」とカッターを閉まった。ちなみに血は一滴も出ていない。何とかベーコンは家にあり、私はその夜を安心して眠ることができた。しかし、調理実習の時間にみんなで用意した材料を広げた時、なぜか班の男の子がベーコンを持って来ていた。私は唖然とした。確かその子のお母さんが余計に材料を持たせた、と説明していたと思う。正直私は一気に気が抜けた。


私の行動については、そんな大げさなとか、子どもだからとか、子どもなのにそんなことするの!?とか、色々思うところがあるだろう。しかし、当時の私にとってはとてもまじめなことであり、こういった行動に出てもおかしくない程重大なことだったのだ。

今の私としてはイテッで済んだしベーコンも用意できて良かったと思う。それと同時に、ここまで自尊心が低くなる要因は何なのだろうと不思議に思う。例えば、両親から否定的な言葉を言われ続けたわけでもなく、目の前で助けられなかった人がいて、その心の傷から自尊心が低くなったわけでも何でもない。

ただ、発達障害のある人自尊心を損ないやすいという傾向にあるようだ。私は専門家ではないので詳しい原因は分からないが、前回のブログに書いたように、何で自分だけ出来ないのだろう、何でみんなと違うのだろう、という現実が本人の自尊心を保つ障害になっているのではないだろうか。


また小学校6年生の時、自尊心の低さは私の一人称を「私」から「俺」に替えた。担任の先生に「俺なんて言わないの。」と注意されたこともあったが、私は「だって自分嫌いだもん。」と答えたのを覚えている。恐らく、自分が嫌い→”普通”の女の子の一人称は「私」→私は”普通”じゃないから、一人称が「私」の自分を否定しよう→一人称が「俺」、という風に考えが至ったのではないかと推測する。しばらく「俺」を使っていたが、家で母に気付かれたことをきっかけに消滅傾向にあった。


このように自尊心の低さから酷い時は、他人が悪くて責められていても自分のせいで責められているんだ、という被害妄想に近いような状態もあった。仕返しや自尊心の低さが複雑に絡み合い、みんなに嫌われていたらどうしようという不安や嫌われるのが怖いという恐怖心を常に感じていたように思う。全てのエピソードが発達障害が原因というわけではない。しかし、発達障害ゆえの感覚のずれ、自尊心の損ないやすさなどが発達障害に関係のない感情にも影響し、精神的な部分がマイナスに向きやすい傾向にあるのかもしれない。発達障害者発達障害を背景としたうつ病に罹ったり暴力的になったりする(二次障害)というのは、そういったことが原因なのだろう。





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