「私の税、悪事に使われていない?」 | 加納有輝彦

「私の税、悪事に使われていない?」

 昨日、9年ぶりに吉田寛先生(公認会計士。千葉商科大学大学院会計ファイナンス研究科教授)のお話を聞く機会があった。

 

 隣の町で開かれている「亀の会」という勉強会に吉田教授が講師として来られ、参加させて頂きました。

 

 9年前2012年には、ぎふチャンラジオ「ハッピーサンデー」に出演して頂き、「私の税、悪事に使われていない?」と題して、2回シリーズで放送しました。

 

 吉田教授の語りは、軽妙かつユーモア満載。何度も笑いの渦が起きます。

 

音源が残っていますので、ぜひお聴き下さい。

話は古くなるどころか、いま、益々必要な内容です。

 

 2012年当時と比べると、私自身の問題意識も深まり、吉田教授の「税の話」は、はるかに深く響きました。

 

新たなというか自分が見失っていた視座を得る事ができました。

 

 昨今、MMT理論の援護もあり、まるで青天井の如く政府支出が際限なく膨らんでいます。

 

 ネットで声の大きい言論人の多くは「積極財政」こそ30年不況を脱出する道と、消費減税と共に、いまこそ政府支出を拡大せよと主張します。

 

30年不況の元凶は、財務省主導の「緊縮財政」であると。

 

この主張も理解はできます。諸外国は、確かに半端ない政府支出をし景気を浮揚させてきました。中国などはとっくの昔にMMT理論を地でいっています。贋金による偽経済でバブっているわけです。

 

政府は、積極財政派の言論を追い風に、またコロナ禍を理由に、政府支出を極限まで拡大します。バラマキます。しかし、減税はしません。

 

 また、選挙のたびに、票を獲得するためのバラマキが繰り返されます。財務次官が、文芸春秋上で、異例のバラマキ批判をしたことも、理解できないことはありません。

 

 積極財政派からは、事務次官はこてんぱんに批判されましたが。

 

 積極財政派 VS 緊縮財政派

 

の構図で捉えると、それぞれの言い分も理解できます。

 

 さて、吉田教授のお話を伺って、

 

 積極財政派 VS 緊縮財政派 の構図に囚われている自分を発見しました。

 

もっと、根本的な問題があるのです。

 

 それは、ずばり、

 

能力のない者に仕事をまかせてはいけないという事です。

 

つまり、能力のない者に、税をまかせてはいけない。

 

 「会計」の語源は、実際に「会」って、仕事の成果を「計」るというところからきています。

 

もはや、誰も税を扱う人の仕事の成果を計ってはいません。本来は、国民主権、国民が計らなければなりません。代議士が計らなければなりません。

 

 複雑な税体系の中で、代議士は無能と化しています。

 

これは、例えば、盲腸になって、手術をやぶ医者か、素人にお願いしているのと同じであるわけです。悲惨な結果になります。

 

盲腸を不況、やぶ医者を代議士に置き換えればわかることです。

 

 そもそも我々は何のために税を支払っているのかさえ分からなくなっている。

 

 民という字の語源は、目に串を刺して白濁させ(片目のみ)それを奴隷の目印にしたものだそうです。

 

そう、我々主権者は、ある方法で目を潰されているのです。奴隷にされているのです。

 

 吉田教授は言われました。

 

主権者の目を潰す法

 

〇主権者が何ものかを忘れさせる。

〇主権者に情報を提供しない。

〇主権者に選択肢を提供しない。

〇あるべき(シンプルな)税制度を考えるのを諦めるくらい税制度を複雑にする。  

 

アダムスミスは、簡素な租税体系が大切といいました。

 

 我々は主権者とは何者かを完全に忘れさせられています。

 

主権者とは、

フランス人権宣言第14条(1789年)

(租税に関与する市民の権利) すべての市民は、みずから、またはその代表者によって、公の租税の必要性を確認し、それを自由に承認し、その使途を追跡し、かつその数額、基礎、取立て、および期間を決定する権利をもつ。

 

ガソリン税のトリガー条項さえ凍結されている2021年を生きる我々は、1789年以前の人間であるということが理解される。

 

 

 能力のない者に、税金を渡してはいけない。


『能力のある代議士を選ぶために、主権者の目を開く公会計が必要である。』

 

 

※「減税と政府支出の削減」を同時に行い、第一次世界大戦後のアメリカの大繁栄を築いたカルビン・クーリッジ大統領の存在も知りました。レーガン大統領は、クーリッジ大統領を尊敬し模範にしたという。

 減税と政府支出の削減・・・これこそ、いま求められていること。政治家の能力の問題に帰着するのであろう。



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〇吉田寛教授著作 おすすめ

市場と会計: 人間行為の視点から

※吉田教授オリジナルの効用税率曲線は、ラッファー曲線を超える説得力

https://www.amazon.co.jp/gp/product/4393621875/ref=dbs_a_def_rwt_bibl_vppi_i1

 

〇ぎふチャンラジオ「ハッピーサンデー」「私の税、悪事に使われていない?」ゲスト吉田寛教授 アーカイブス 2012.3

http://sunday.happy-gifu.com/bangumi/index3.html

 

〇吉田寛 子供にツケをまわさない

https://www.youtube.com/c/freedomda/videos

 

 

 

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