数年前から芥川賞候補作に
たびたびノミネートされている
乗代雄介さん。


今回は残念ながら
ノミネートされませんでしたが
『旅する練習』の文体がすごく好きで、
きっといつか受賞するだろうと
推している作家さんのひとりです^^


今回はタイトルにドキッときて
書店で思わず手に取った
乗代さんの新作を読みました。

↑この2作品が
過去の芥川賞候補作として
ノミネートされました!


個人的には「パパイヤ・ママイヤ」が
上記2作品よりもずっと読みやすくて、
物語に引き込まれる凄みがグッと増した
ように感じたのですが、、


どういう基準で候補作が選ばれているのか
(受賞作もですが)
ほんとうにわからんなぁ〜と
いち庶民は思いました。


物語の舞台は
千葉県木更津にある
小櫃川(おびつがわ)河口干潟。


河口近くの
木や流木が折り重なっている
「木の墓場」と呼ぶところで
「パパイヤ」と「ママイヤ」は出会います。


パパイヤとママイヤは
17歳の女の子。


SNSで知り合って
住んでいるところが意外に近いことから
ふたりで会おうということになり
「木の墓場」で待ち合わせをしたのでした。


彼女たちの名前の由来はそれぞれ、
パパがイヤだから、
ママがイヤだから。


パパイヤのパパは
酒癖が悪く、
ママイヤのママは
過干渉なところが
それぞれ「イヤ」で意気投合し、


「木の墓場」で初対面した後も
部活をしていて筋肉質なパパイヤと
運動音痴だけど物知りなママイヤは
真逆なタイプではあったけれど
なぜか気が合い
それから何度も「木の墓場」で
会うようになります。


ふたりは「木の墓場」で
ひたすらおしゃべしたり
本を読んだり
写真を撮ったりしながら
過ごします。


河口には木やごみが
流れ着くだけではなく、
宿題で絵を描かなきゃいけないけれど
うまく描けなくてもじもじする少年や


「きいれえ」ものを集めることが趣味で
自らを「所ジョン」と名乗る
ホームレスのおじさんが登場し、
彼女たちの夏の思い出を
さらに色濃くするのです。


ふたりで会うようになってから、
パパイヤ、ママイヤはそれぞれのことを
知っているようで
知らないところが多いことがわかります。


パパイヤのパパの
酒癖の悪さがひどく
スマホが止められるほどであることや


ママイヤのママは
過干渉であると言いながら
実は日本におらず、
ママイヤはひとり暮らしを
していることなど


少しずつ明らかになる
ふたりの事情を
ふたりは受け止めながら
「木の墓場」での「オーセ(逢瀬)」は続き


やがて、このひとときは
彼女たちが「自分らしくあれる」時間で
心の支えになっていることを
それぞれが自覚するのです・・。


17歳のイヤイヤ期からはじまった
ふたりの青春。


木やごみや変な人たちが
流れ着く干潟で
オーセを重ねることで
「自分らしくあること」や
蓋をしていた自分の本音を
取り戻していくふたりの姿が
とても眩しくて!


その眩しさが
水面にぎらぎらと照り返す
日差しを想起させて
「夏の青春」をよりいっそう
際立たせているように感じました。


17歳、
身体は大人と変わらないけれど
社会的にはまだ子ども。


なのに大人たちから十分に
守られておらず、
平気そうに生きているけれど
時おり垣間見える
彼女たちの苦しみに
いち保護者として胸が痛みました・・。


彼女たちは
そういう大人の事情を
受け入れるしかできないけれど


でも彼女たちなりに
限られたなかで自分の生き様を選んで
自分らしく生きようとする姿が
描かれていて、
その勇気とパワーに引き込まれました。


勇気とパワーが出たのは
パパイヤ・ママイヤという
心の支えになる友達が
そばにいたからなんですよね。


この時期の友達って
ほんとうに心の支え。


出会いの奇跡を
噛み締めさせるラストシーンも圧巻で
もう二度と来ない青春の貴重さに触れて
胸が熱くなりました。


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