ゲームから除外する。ゲームから除外しろ。【遊戯王Advent Calendar21日目】

はじめに

こんにちは、しらこです。

本記事は『遊戯王Advent Calendar』というイベント参加記事です。

遊戯王Advent Calendar』とは、遊戯王ブロガー『刺身さん』主催のイベントで、12月1日からクリスマスである12月25日までの期間に参加者であるブロガーが毎日記事を1つずつ投稿して、リレーのように繋いでいくブロガーイベントです。

 

ちなみに昨日の投稿者は『ルーシーさん』でした。

luclfer2991.hatenablog.com

 遊戯王の歴史を象徴するストラクチャーデッキを初期~現代まで解説した記事です。遊戯王プレイヤーなら1度は手にしたことがあるストラク、誰もが懐かしい気持ちになること間違いなしの記事のため、こちらの記事も読んでみてくださいね!

 

 

ゲームから除外する。ゲームから除外しろ。

 

『増G発動にチェーン墓穴で除外』

 

『デッキの上から10枚除外してゴードン発動』

 

『除外された雷獣龍の効果』

 

『リヴァイエールで除外のダスティローブを特殊召喚

 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 

皆さんは『除外』しているだろうか?


最近では対戦中に聞かない日はないほど、遊戯王プレイヤーの日常と化した行為『除外』であるが、今一度冷静になって考えてみてほしい。

 

『ゲームから除外』ってなんだ?

 

『ゲームから除外する』ということは『ゲームから除外する』ということだよな・・?


いや、でもみんな除外されたカードを当たり前のように特殊召喚したり回収したり、めっちゃシャカパチしてる・・・

疑問に感じた筆者は『ゲームから除外する』に詳しいとされる、とある人物の元を訪ねた・・

 

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??

 

もしかして、

『ゲームから除外する』は

『ゲームから除外する』

という意味ではないのか....??

 

20年の歴史のある遊戯王。生贄に捧げるが「リリース」、生贄召喚が「アドバンス召喚」と呼び名が変わってしまったように、いつしか「ゲームから除外する」の意味も変わってしまったのだろうか…?

 
ということで今回のテーマは

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  をお送りしよう。

 

ゲームから除外のルーツ

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遊戯王において初めて『ゲームから除外』という言葉が登場したのは1999年に発売したパック『vol.3』に収録されている《墓掘りグール》だ。

 除外ギミックは最近の遊戯王では欠かせない存在であるため、『現代遊戯王』特有のようなイメージを持っている人も多いかもしれないが、『除外する』というシステム自体は後付けでもなんでもなく、遊戯王初期から想定されていたシステムのようだ。


遊戯王初期に登場したカードと言えば《サンダー・ボルト》《大嵐》のような『テキストが短いカード、強い説』を象徴する、今の遊戯王でも十分なパワーを発揮するカードであったり、あるいは救いようの無いゴ◯カードと両極端であるが、この《墓掘りグール》に関しては使われない◯ミカードの割にはそこそこの認知度を保っているように思う。

 なお、この《墓掘りグール》は1999年生まれであり、今では21歳の成人。いま遊戯王を嗜んでいるプレイヤーに《墓掘りグール》と同期もしくは後輩世代がわんさかいると考えたらゾッとするが、それは遊戯王がおっさんが今でも楽しめる超超超ハイテク激おもろ長寿カードゲームと棚に上げることでケアしておこう。

 

《墓掘りグール》について若い世代に向けて改めて紹介すると、

このおっさん、墓を掘り返している。


30円ストレージコーナーを掘り起こした時に出てくるおじさん、めっちゃ悪いことをしている。

 

そして、遊戯王墓を掘り起こされると何が起こるか?というと、ゲームから除外されてしまうのだ。


『ゲームから除外されるってなんだ?』

その答えは21年前の《墓掘りグール》が教えてくれた。

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『これらはそのデュエルではもう使えない』

 

そのデュエルではもう使えない

 

『もう使えない』

 

 

禁止カードですか・・・?

そう、『ゲームから除外する』が作られた初期の遊戯王のルールでは、ゲームから除外したカードは『もう使えない』のだ。


ゲームから除外したカードがもう使えないというのはイメージとしてはしっくりくるが初期とは言えなかなか思い切ったテキストである。

初期の遊戯王では墓地に送られたカードを再利用する手段が乏しく、初期に登場したおろかな埋葬遊戯王のインフレによって評価が見直されたカードであることは有名な話だ。

初期のカードプールではカードをわざわざ墓地に送るメリットが少ないため、墓地に送られたカードを再利用する手段はせいぜい《死者蘇生》くらいだった。だからこそ、《死者蘇生》のメタカードとして《墓掘りグール》は作られ、ピンポイントメタ故の『もう使えない』というとんでもテキストが通用したわけだ。


しかしそんなハチャメチャテキストを持った《墓掘りグール》が許された期間は短く、このカードが再録された3年後(2002年8月)のパック『DUELIST LEGACY Volume.2』では『ゲームから除外する』のルールが見直され、『もう使えない』なんてイカレたワードは削除されてしまっている。 

 

余談だが、《墓掘りグール》の『掘』の漢字も間違っていたのでこの時しれっと修正された。

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 まぁこのテキスト変更だが別に珍しい話でもなく、ルール整備が不十分だった初期カードにはよくある話だ。

有名な例だと《強欲な壺》が『引いた後で強欲な壺を破壊する』という暴力的なテキストが書かれていたり、《サクリファイス》に『相手モンスターを吸収する』というグロテスクな表現がされていたもんだから、この『ゲームから除外する』に関してもガバガバな初期ルールが見直され、より対戦ゲームとして洗練された結果だろう。

 

『ゲームから除外する』が軽すぎる

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 今や本来の意味である『ゲームから除外される』ではなく『異次元ゾーン』『亜空間ゾーン』のような扱いへと変わってしまった除外ゾーン。

 墓地は第二の手札と呼ばれるが、今では除外ゾーンが第三の手札になりつつある。

『手札』『墓地』『除外ゾーン』の『3つの手札』を使いこなす新しい対戦様式こそが現代遊戯王なのだ。

 一方で、本来デメリットとして作られた『ゲームから除外する』だが、現代遊戯王では除外が推奨されていると言っても過言ではない程『ゲームから除外』をメリットとするカードが作られ過ぎているように思える。

除外をトリガーとして生じるクラスター、除外による展開拡大こそが現代遊戯王であり、《墓堀りグール》が『もう使えない』と虚言を振りまいていた頃の遊戯王と比べると『ゲームから除外する』はあまりにも軽くなってしまった。

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 そんな中で、現代遊戯王にも本来の『ゲームから除外する』の意味を取り戻すべく作られたテキストがある。

 

『裏側で除外する』だ。

裏側でゲームから除外したカードは基本的に再利用したり、除外された時にカードが識別できないため除外効果を発動することが出来ない。そのため現代遊戯王において最強クラスの除去効果としても活用されている。

【例外】
《PSYフレームロード・Ω》のスタンバイフェイズの効果や《電脳堺姫-娘々》の除外された時の効果、これらは除外されているカードを対象に取り墓地やデッキに戻す効果であるが、戻すカードの種類(魔法・罠・モンスター等)を限定しないため裏側表示のカードも再利用可能となる。

 

除去だけでなく、裏側除外は『デュエル中使用できなくなる』という《墓掘りグール》の意思を継承しているため、最近のカードデザインではデメリットしても活用されている。

 例えば、《強欲で貪欲な壺》は、発動時にコストとして『デッキの上から10枚をゲームから除外する』必要のある《強欲な壺》だ。

 

《強欲な壺》と言えば言わずもがな遊戯王界最強のカードである。マナの概念が無い遊戯王においてただ発動するだけでカード1枚が2枚になるという『ポケットを叩けばビスケットが2つ』カードのためエラッタ無しでの禁止解除は不可能と言われている。

 それ故に、ここ数年でリメイクカードとして『裏側でデッキ(エクストラデッキ)を除外』することをコストとした《強欲で貪欲な壺》や《強欲で金満な壺》のような調整版『強欲な壺』が作られている。

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 コストで大量のカードを裏側除外をすることでデッキの構成が乱れてしまうため、2ドローという甘い蜜に誘われて安易に採用してしまうとデッキのコンセプトが崩壊してしまったり、デッキ内リソースが枯渇してしまうので長期戦が困難になってしまう。

よって、採用するデッキや使用者を選ぶカードという位置づけのカードだ。

 

 

 やっぱりドローには勝てなかったよ・・・

ということで現在では環境の多くのデッキが採用している。

 

・強欲で貪欲な壺を採用しているデッキ

【電脳堺】【召喚ドラグマ】【プランキッズ】【十二獣】etc.

・強欲で金満な壺を採用しているデッキ

【エルドリッチ】【ドラゴンメイド】【オルターガイスト】etc.

 

f:id:peroshirako:20201219102358j:plain『え・・除外したらもう使えないのに?』

これには《墓掘りグール》もショックを隠せない。

 環境デッキの多くが裏側除外によってデッキパーツが使用出来なくなるリスクを背負ってでも2ドローしたいのは理由がある。


現在遊戯王ではギミックの1枚初動や優秀な出張パーツが充実しているため、今の環境デッキには『召喚獣+ドラグマ』のような複数のギミックで成り立っているものがある。ギミックのどちらか一方が使用不可になっても戦えることや、そもそも『初動』と呼ばれるパーツが多いため、仮に1種類のカードが使用不可になったとしても展開に支障が出にくいためだ。


それほどまで現代遊戯王のデッキは完成度が高いため、メインギミックの動きを通すために明確な《灰流うらら》の打ち所を作ることや、手札1枚の差を付けることに重きを置きたいというわけだ。

 

裏側で除外されることはゲーム内において重い代償のはずだが、時代の変化によってプレイヤーにとっての重みは変わってしまったようだ。

 

真の『ゲームから除外する』を考えてみる

いくらインフレしているとは言え、《強欲な壺》の下位互換として作られたカードがデメリットが気にならないからと言って環境でバンバン使われているのはなんとも皮肉なものだ。

裏側除外という強力なデメリットカードですら好まれて使われているということは、『ゲームから除外する』の意味が変わってしまったことに加え、『デュエルでもう使用できない』立ち位置である裏側除外でさえデメリットとして弱くなってしまったと言えよう。

『ゲームから除外』が普遍化してしまった今、遊戯王がさらに進化していくためには、新たな『ゲームから除外する』の概念が必要ではなかろうか?

 

ということで、新たな『ゲームから除外する』の概念をここでは仮に

『デュエルから除外する』と呼び、③つの案を紹介する。

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デュエルから除外する その①

『カードの効果で触ることができず、お互いに確認することが出来ない。』

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既存の裏側で除外とは違い、絶対再利用ができない。

そもそも今でも再利用できること自体イレギュラーなのでプレイヤーとしてのリスクはそう変わらないだろう。というわけで、加えて除外されたカードを確認出来なくしてみた。

 

するとどうだろう

 

『見たい。』

 

プレイヤーは『見たい』だろう。

なぜなら除外されたカードを確認できないデッキ内のリソース情報を把握できないため、プレイがぶれてしまう。

一度でもサーチカードでデッキの中を確認すれば、デッキ内の全情報が分かるので逆算して除外されたカードを把握することもできる抜け道もあるが、サーチ先が無いのにサーチカードを発動して警告を受けてしまうリスクが発生するので、既存の裏側除外に比べてリスクは倍増だろう。(ジャッジをデメリットに絡ませるのはいかがな物かと思うが)


まぁなんにせよ『見たい』

墓地でシャカパチするプレイヤーがいるくらいだからYPに『待て』を強いるプレイヤーへの制圧力とストレスは計り知れないだろう。

全然話関係ないが、手札事故ってたプレーヤーがドローフェイズにドローした直後にエクストラデッキ確認しだすアレやめて、動けるやん、めっちゃストレス。

 

デュエルから除外する その②

『マッチ中使用することが出来ない。』

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遊戯王のトーナメントシーンは基本マッチ戦で行われるため、マッチ中使えないとなると尋常じゃないリスクを伴うコストになる。

どうせ今の手札じゃ負けだし、ゴードンでキーパーツ全除外は割り切りじゃ~~~!いっけ~~~!』なんてプレイは安易に出来ないのだ。遊戯王プレイヤーよ、インテリであれ。

マッチ中に使えないとなると発動後はメインデッキの枚数が減ることになるため、サイドチェンジの際に足らずをサイドから補うという斬新なデュエルシーンが見られるだろう。

ちなみにゴードンのコスト10枚で例えるなら、2回発動すると20枚デュエルから除外されるのでサイドデッキ15枚では補填しきれない。

そうなると、メインデッキを45枚以上で設定してないとメインデッキが40枚を下回ってしまいゲームエンドだ。

一方で、3本目に発動する分には既存のゴードンとリスクが変わらないため、サイドチェンジで投入するという戦術も可能だ。
TPOに応じて強さが変わるのが実に遊戯王らしい。我ながらインテリだ。

 

デュエルから除外する その③

『メルカリに300円で出品される。』

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かなり重い。こわすぎ。3枚引いても良いよ。

 

高確率で本当に

もう使えなくなる

 

 

20周年を迎えてもまだまだ売る気まんまんな遊戯王。そろそろ効果もネタ切れか?と思いきやプレイヤーの想像の斜め上を行く新たな効果を作ってくれるもんだから面白い。

『デュエルから除外する』も案外無くは無いかもしれない。(③だと思うなぁ)

 

 遊戯王はルールを作って壊すゲームである

 毎回面白いルールやテキストを考えてくれる我らが遊戯王

 一方で『デッキ融合』『召喚条件を無視して特殊召喚』『モンスター1体に重ねてエクシーズ召喚』のように遊戯王は幾度と無くルールを作っては壊してきた。はっきり申し上げて製作者はサイコパスかと存じますが、これが遊戯王の面白さなんだと思う。

 『ゲームから除外する』も同じだ。

元々は『もう使えなくなる』というデザインだったが、製作者が『除外されたカードも利用出来たら面白そうじゃね?』と考えたことで今の遊戯王がある。

 

今年4月にはリンクモンスターに縛られていたマスタールールが修正され『な、なにーー!?今まで遊んでいた遊戯王は!?(画像略)』と感じた遊戯王プレイヤーは多いだろう。
ペンデュラム召喚もリンク召喚も新マスタールールも初めは凄まじい抵抗感があっただろう。ペンデュラム召喚なんて誰ですか?あの小窓にテキスト書こうと言い出した人は。

でも、今ではこれがあるから遊戯王が面白いと言い切れる。

 新たなルールの追加と破壊は遊戯王というゲームをより面白くするためのスパイスだ。

2021年も、作って壊して2度美味しい遊戯王に期待したい。

 

以上、令和にすることか?と言われそうな「ゲームから除外する」の話を掘り返してみました。いい加減除外ゾーンの場所作れよな!

 

遊戯王Advent Calendar22日目、明日の記事投稿は『ぴーまんさん』です!お楽しみに!

crowingspear.hatenablog.com

また、他の参加者の記事は↓のカレンダーからも確認できますし

adventar.org

 僕が新たに立ち上げたサイト『遊戯王ブログナビ』でも特集として紹介しています!Advent Calendarに限らず遊戯王プレイヤーの書いた実践的な記事をまとめた『遊戯王ブログ総合情報サイト』です!こちらも是非ご活用ください!

ygo-blognavi.com

 

それでは!またいつかの記事で。