前菜のお皿に乗っていると嬉しいもののひとつ、
パテ・ド・カンパーニュ。
メニューにあれば単品で頼むくらい好きです。
地味ながらお店ごとに個性がよく出て、
初めてのお店で頼むときにはわくわくします。
最近はほぼ外食ゼロの生活なので
とんとご無沙汰になってしまいました。
そもそも好きなので作ってみたいという欲は
かなり前からあったのです。
でもがつんと1本作ってふたり暮らしで
消費できるかな？という不安が先行して、
挑戦しないまま時間が経ちました。
ときどきその気になってネットでレシピを
検索したりはするけれど。
「やっぱり難しそう……」と尻込みして
ブラウザを閉じることが何度か。
でも食べたい欲と死ぬまでにトライしたい欲が
タイミングよく一緒に訪れてくれたので、
本気でレシピをいくつか読み込み始めました。
もともとはトリミングの時に出る屑肉や内臓の
消費料理なのだから怖がるほど難しくないはず、
と自分を励ましつつ。
だけど半端な素材を美味しくするのって
割と手間のかかるものよねと不安にもなりつつ。
メジャーなメニューだけに
レシピの幅もとっても広いです。
お手軽版から本格派まで。
加熱方法もオーブンで蒸し焼きから
大胆にも蒸し器で蒸し上げてしまうものまで。
材料もメインの肉から調味料までいろいろで
どのレシピを採用しようか悩むくらい。
私が再現しようとするとネックは大きくふたつ。
うちにテリーヌ型がない。
それから近所に網脂を扱うお店もない。
前者はすごく乱暴に小ぶりのパウンドケーキ型で
代用することにしました。
本来のテリーヌ型が陶器なのは熱伝導を
ゆっくりにすることが目的のようなので、
オーブンで湯煎にかけるときに
型の下に布巾をかませる方法を採用。
パウンド型のステンレスとお肉の相性が
いまひとつぴんと来ないので、
内側にクッキングシートをぴっちり敷いて
これで何とかなってくださいという気持ち。
問題は後者の網脂。
代用品としてベーコンが挙げられていますが
厚みも気になるし、せっかく自作するのに
バリバリの加工品を使うのがちょっとイヤ。
自作のベーコンは小さいブロックにして
冷凍保存してあるので形状が不適合。
薄くスライスしておけばよかったなと後悔
したけれど、よくよく考えたらあの固めの
干した肉を素人が一般的なベーコンの厚さと
面積に包丁でカットするのは無理そう。
野菜に使っているスライサー、
ベーコンも切れるのかな？今年試してみよっと。
話が逸れました。
安い材料で作る料理に電車賃と手間をかけて
網脂を手に入れるのはなんだか癪に障る。
なにかいい方法はないかなと素人の浅知恵で
たどり着いたのが豚バラしゃぶしゃぶ用お肉。
これが意外とうまく作用してやったねな気分。
フレンチシェフのレシピをベースに、
あとは勝手にお肉の挽き方を不均一にしたり
脂身は少し大きめのサイコロ状にしたり。
触感に変化を出す要員として
ピスタチオを入れると色味も味もいい感じ。
庭のハーブやスパイスは好みのものを
適当に入れたけれど、おろしたてナツメグと
タイムは強め、ほんの少しのクローブは必須、
あたりが私の定番になりそう。
実行するまで長期間躊躇ったわりには
初めてのパテ・ド・カンパーニュは
大変美味しく出来上がりました。
オーブンの温度と焼き上がり後の重しの加減も
３度目あたりで呑み込めてきた感じ。
もうこれお店で食べなくても
いいかもしれないと調子に乗るくらい。
ニンジンのピクルスを作って
パンのカンパーニュに挟むと
ご機嫌なサンドイッチがご家庭でできて幸せ。
作ってから１週間ほどもつので、心配をよそに
老人ふたりでもちゃんと消費できました。
今後はブルーチーズ入りとか
変わり種にも挑戦してみたい。
これを受けて今年のお正月は
おせちを作るのを止めました。
なんとなくお正月だからと
惰性で作って食べていたものを撤廃。
本当に食べたいのは何かを夫にも聞き取りして
かえってきた返事はお雑煮とかまぼこだけ。
私が食べたい七福なますと黒豆じゃなくて
花豆を煮てお正月の気配はそれだけでした。
その代わりお酒のお供に鯖、牡蠣、砂肝、
チーズ、ナッツをスモーク。
牡蠣と砂肝はスモークをかけた後オイル煮に。
これも日持ちがするので便利でした。
もちろんパテ・ド・カンパーニュもばっちり準備。
今住んでいるところは近所の商店が
きっちり３が日やそれ以上に休むお店ばかり。
年中無休も便利だけれど、お店のお方たちが
ちゃんと休めるというのもいいですよね。
ということでサラダだけはいつでも好きなだけ
食べられるように年末に冷蔵庫の野菜室を
パンパンにして新年を迎えました。
３が日はお昼にお雑煮、夜は作り置きから
いろいろ組み合わせを変えて楽しみました。
お正月的な料理に飽きが来なくていいかも。
なんとなくこれが当分我が家の定番に
なりそうな雰囲気です。
年末年始の急なお客さんにも
簡単に対応できるのもポイント高め。
お正月パテ・ド・カンパーニュ、
お好きな方ならお勧めしたいです。
