さようなら横浜 | 子宮筋腫をとったらば

子宮筋腫をとったらば

2015年12月に開腹で子宮の全摘をした、45歳・既婚・子ナシの備忘録。

いろいろあって物理的に引っ越ししました。

 

今まで住んでいたのは横浜駅の近く。

13年前に引っ越してきた当時はその前に6年間住んでいた堺とは

あまりにも違う人の多さ賑やかさにちょっと怖いと思ったり。

巨大地下街でなかなかお目当てにたどり着けなかったりして、

おのぼりさんのような気分でまごまごしていたのも懐かしい。

 

暮らしていくにつれて慣れていって、好きな街になりました。

ずーっと工事が終わらなくて「サグラダヨコハマ」なんて呼ばれている

駅とその周辺も、気づけばローカルの夫よりも詳しくなって。

私の場合知ることと愛着には強い相関関係があるみたいです。

 

初めてターミナル駅周辺に住んで感じたことは。

とにかく便利。

大抵の必要なものは徒歩範囲内で揃ってしまう。

ちょっと変わった食材も電気製品も「あ、なくなった」「壊れちゃった」

からでも間にあう利便性が最初は衝撃でした。

13年かけてこれが普通と思う精神になってしまったので今後が不安。

それから何と言ってもアクセス至便。

電車の本数の多いことよ(その分駅はとても混雑)。

とある電車が止まっても他の路線で

目的地まで移動可能なのも地味にスゴイ。

旅行で羽田、お墓参りで品川などは都内の実家から行くよりも

断然近くて早くて楽ちんだったのもありがたかった。

 

住まいは飲み屋街の終点辺り、ソープランドを通り越して

階段をうんと上って、窓を開ければラブホテル。

すぐ下の公園からは酔っぱらいの嬌声や

若い子の集団の騒ぐ声がよく聞こえました。

これは普通マイナスポイントでしょうけれど、

夫の帰りが遅くて夜中に部屋でひとりだった私にはなんとなく

「周りに人がいる」という安心感を与えてくれるもので嫌じゃなかった。

 

そんな便利なところに我々が住めていたのは古い物件だったから。

地域最安値!くらいの家賃でした、ホントに掘り出し物だった。

冬は暖房いらずの暖かさ(夏は灼熱地獄)で、

キッチンが充実していて立派なガスオーブンもあって、

古くて狭くても大好きなおうちでした。

 

そしてなによりも横浜はお散歩天国。

日本の都市部でここまで快適にお散歩のできるところは

なかなか珍しいのではないかと思います。

車の通らない道をずっと海沿いに歩けるのがとても楽しい。

とにかく海を見ることの好きな私なので、

内海だろうと自宅から歩いて海を見に行けるというのは贅沢です。

みなとみらいから赤レンガを経由して山下公園まで。

ちょっと足を延ばせば港の見える丘公園も。

元町、中華街という観光コースを地元の視点で見るのも一興。

住んでみると遊びに行くというよりは実用的な買い物目的で、

渋い金物屋さんやマニアックな食材屋さんにはお世話になりました。

 

海沿いのいわゆるこてこての横浜なコースもよかったけれど、

少し内側に入るとまた違った趣があって。

桜木町から野毛、日ノ出町、伊勢佐木町、横浜橋と歩くと、

個人商店がたくさん、飲み屋さんもわんさか。

住まいの近くは巨大資本の商業施設ばかりだったので、

小売店が並ぶ商店街に行くたびに大喜びで買い物をしました。

中国はもちろん韓国やタイの方も多くて、

ローカルな人向けの本格的な料理が食べられるのも楽しい。

大岡川の桜まつりには各国の屋台が出て、

ちょっとしたフードフェスティバルみたいでした。

 

異国情緒エリアから南下すると山手の辺りの商店街は昭和満載。

でも行くたびにお店が減っていくのが目に見えて分かって、

勝手な言い草ですが寂しいものもありました。

かつては賑やかだったであろう長い商店街を辿って根岸森林公園を

ゴールにするのが私のお散歩コースの最南端。

北に向かっては反町や、白楽の六角橋商店街も好きな目的地。

この13年で本当によく歩きました。

横浜はいろいろな表情のエリアが狭い範囲にギュッと詰まっていて、

通りを1本隔てただけで街の空気がガラッと変わったり。

散歩好きの私には歩きがいのある楽しいところでした。

 

引っ越し当日は物件の引き渡しに私ひとりが残って、

不動産屋さんと初めてお目にかかる家主さんに鍵をお返しして。

部屋を出て駅まで歩く途中なんとも言えない感じに襲われました。

もう住まう街としてここを歩けないんだなと思ったら、

自分でも意外なくらいに悲しい気持ちになったのです。

新住居からも横浜は近くて、余裕で日帰りで遊びに来られる。

もう二度と横浜に来ることがないわけではないのに。

 

今までちっとも意識していなかったけれど、

多分私は住む街としての横浜が気に入っていたのですね。

今後住む場所を選べるチャンスが巡ってくるかは分からないけれど、

もしそうなったら横浜はきっと私の中では筆頭候補になりそうな。

13年もいただけに慣れたところから離れるのが

(年齢的に)辛いのもあるのかも?

いずれにしても離れるのを惜しむ気持ちになるような街に

長く住めたということは幸せなことだったなと思います。

新しい住まいと私の関係がどうなるのかの、今後も楽しみ。

 


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