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「一億総株主」とはつまり、労働者も全員資本家目線になれということ

「貯蓄から投資へ」とか言っている岸田のもと、自民党がとうとう「一億総株主」などと言い出した。

TBS NEWS DIG(5/30)

自民党の経済成長戦略本部は、岸田内閣が掲げる「新しい資本主義」の実現に向けた提言を30日、岸田総理に申し入れました。

提言は、日本の家計資産の構成について、欧米と比べ、預金の割合が「非常に高い」と指摘。

資産所得の向上を図り、消費を拡大させるには、国民一人ひとりが「一億総株主」として成長の果実を享受できることが重要だとして、NISA=少額投資非課税制度の抜本的な拡充などを求めました。

「アベノミクス」で日銀とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に株を買いまくらせて見かけだけの好景気を演出してきたが、もう政府が操作できる金はネタが尽きたのだろう。だから今度は庶民の貯蓄に目をつけたというわけだ。

しかし、高度成長期のような右肩上がりの経済状況ならともかく、30年以上まったく成長できない中、株価だけが水膨れしているのがこの国の現状だ。いつバブルが弾けてもおかしくない。

庶民がなけなしの金を投資信託などにつぎ込んだあげくリーマンショックのような事態が起きたとしても、なにしろ株式投資は自己責任なのだから、政府は何の責任も取らずにバックレるのだろう。

しかも、問題はそれだけではない。

たとえ少額であっても株式投資するようになれば、彼らは株価を気にするようになり、株が上がっただの下がっただのと一喜一憂するようになる。

そして、株価を上げるような政策を歓迎するようになるのだ。

株価を上げる、つまり、資本家に有利になるような政策を、たとえそれが解雇を今以上に容易にすることだったり、正社員の非正規化を更に推し進めるものだったり、消費税を上げ年金や社会保障を削ってその分法人税を下げるといったようなものであっても、支持するようになる。

毎日必死に働いている間は賃金が、働けなくなったら年金や社会保障が命の綱である庶民が、資本家目線で自分たちの首を絞めるような政策を望むようになるのだから、本物の資本家とその代弁者である自民党は笑いが止まらないだろう。

搾取する側の悪知恵には際限がないことに、いい加減気づくべきだ。

 

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