「私も…焼きが回ったようですな~~。ですって…。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.102.

ドキドキ その時、突然ベッドから…、

「ん~~~。」
低い声。

その瞬間、4人、
「!!!」

季実子、ベッドの徳康の顔を見て、
「えぇ。急性心筋梗塞。どうなることやらと思って…、昨日の夕方から、居ても立っても居られない。そんな風になりながら…。」
そして、
「そしたら、夜中に、いきなり目を開けて。寝てたか…。ですって…。」

4人、
「……。」

「急性心筋梗塞で…。今…、病院ですよ。って言うと…。私も…焼きが回ったようですな~~。ですって…。」
そして瀧澤の顔を見て、
「お医者さんも驚いてました。この年齢で、急性心筋梗塞で、こんなに早く…。凄い方ですよねって…。」

その声を聞いて瀧澤、そして葉月、奈都美、思わず目頭を熱くする。

瀧澤、
「蓬田さん。」

葉月、奈都美、
「おじいちゃん。」

瀧澤、
「なん…とも…穏やかで、優しそうな顔…。」

季実子、布団の上から優しく右手で撫でて、
「お父さん。クック・ル・ポットの方々…、見えてますよ。」

徳美、
「祖父は…、母が可愛くって仕方がないんですよ。ある意味、父より、母の方を大事に、大事にしてる。」
腕組みしながら徳美、
「だからでしょうか…。店のみんなも父のワンマンぶりがあっても、祖父と母がいるから頑張れる。そんな感じだったんです。」

ドアをノックする音。そしてドアが開く。ひとりの医師。
瀧澤ら4人はお辞儀を…。徳美も、会釈を。

季実子、
「先生…。」

そして医師、病室にいるひとりの男性を見て、
「あれ…???ノブ君。」

葉月と奈都美に挟まれるように伸永、思わず顔を緩めて、
「あ…は、はははは…。」
ペコリと医師に頭を下げて、
「こんちわ。」

奈都美、葉月、
「へ…???」

医師、
「へっ…???ノブ君の…???お知合い…???」

そして、そんな医師を見て瀧澤、
「池辺…先生…。」

その声に池辺、
「これは、これは…、瀧澤さん。」

瀧澤、
「お久しぶりです。」
池辺に挨拶をして。

池辺、4人を見て、
「…と、言う事は…。もしかして…、クック・ル・ポットの…。」

瀧澤、ニッコリと。

伸永、
「はい。」

看護師、季実子に笑みを…。
季実子、医師と4人を見て…。

池辺、
「あぁ…。すみません。蓬田さん。そちらにいる男性、私の義理の弟なんです。」

季実子、
「へっ…???」

徳美、
「おや…。」

伸永、ペコリとさせて。

池辺、
「そして、こちらの女性が、私の妻の友達でして…。」

季実子、徳美、
「へぇ~~。」

瀧澤、にっこりと顔を傾けて。

池辺、
「如何ですか、蓬田さん…???」

季実子、
「えぇ…、今も…、ん~~~…と。」

「そうですか~~。なんとも…、逞しいお方だ。…因みに…、何か…おやりで…???」

季実子、
「えぇ…。実は…合気道の方を…。」

「もしかして…、有段者…とか…???」

徳美、
「えぇ…。五段です。」

「道理で…。…いつもなら…、急性心筋梗塞…。こんな穏やかでは…、有り得ないんですんけど…。心身ともに、鍛えられているんでしょう。…とは言え、油断は出来ません。年齢上…、残念ながら、体は…しっかりと…病魔に侵されていることは…事実ですから…。」

葉月、伸永を飛んで奈都美に、小さな声で…、
「ナツ…、尾田ちゃんの…???」

その声に伸永、
「姉ちゃんの旦那さん、池辺…傑。」

奈都美、小さな声で、
「凄~~。ほんと、小林直己に似てる~~。」

葉月、
「うんうんうん。」

池辺、徳康の耳元で、
「蓬田さ~~ん。徳康さ~~ん。」

すると、瞼が微妙に動き、そして薄っすらと…。

季実子、
「目が開いた。」

池辺、
「うんうん。良いですよ~~。ゆっくり。ゆっくりと…。」

顔を僅かに揺らして…徳康。

池辺、
「はい、分かりました。」
酸素マスクを外す。

季実子、
「もぅ~~。とにかく嫌がるんだから~~。」

徳美、瀧澤ら4人に手を差し伸べてベッドに誘う。







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庄司紗千 海をこえて

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