その時、突然ベッドから…、
「ん~~~。」
低い声。
その瞬間、4人、
「!!!」
季実子、ベッドの徳康の顔を見て、
「えぇ。急性心筋梗塞。どうなることやらと思って…、昨日の夕方から、居ても立っても居られない。そんな風になりながら…。」
そして、
「そしたら、夜中に、いきなり目を開けて。寝てたか…。ですって…。」
4人、
「……。」
「急性心筋梗塞で…。今…、病院ですよ。って言うと…。私も…焼きが回ったようですな~~。ですって…。」
そして瀧澤の顔を見て、
「お医者さんも驚いてました。この年齢で、急性心筋梗塞で、こんなに早く…。凄い方ですよねって…。」
その声を聞いて瀧澤、そして葉月、奈都美、思わず目頭を熱くする。
瀧澤、
「蓬田さん。」
葉月、奈都美、
「おじいちゃん。」
瀧澤、
「なん…とも…穏やかで、優しそうな顔…。」
季実子、布団の上から優しく右手で撫でて、
「お父さん。クック・ル・ポットの方々…、見えてますよ。」
徳美、
「祖父は…、母が可愛くって仕方がないんですよ。ある意味、父より、母の方を大事に、大事にしてる。」
腕組みしながら徳美、
「だからでしょうか…。店のみんなも父のワンマンぶりがあっても、祖父と母がいるから頑張れる。そんな感じだったんです。」
ドアをノックする音。そしてドアが開く。ひとりの医師。
瀧澤ら4人はお辞儀を…。徳美も、会釈を。
季実子、
「先生…。」
そして医師、病室にいるひとりの男性を見て、
「あれ…???ノブ君。」
葉月と奈都美に挟まれるように伸永、思わず顔を緩めて、
「あ…は、はははは…。」
ペコリと医師に頭を下げて、
「こんちわ。」
奈都美、葉月、
「へ…???」
医師、
「へっ…???ノブ君の…???お知合い…???」
そして、そんな医師を見て瀧澤、
「池辺…先生…。」
その声に池辺、
「これは、これは…、瀧澤さん。」
瀧澤、
「お久しぶりです。」
池辺に挨拶をして。
池辺、4人を見て、
「…と、言う事は…。もしかして…、クック・ル・ポットの…。」
瀧澤、ニッコリと。
伸永、
「はい。」
看護師、季実子に笑みを…。
季実子、医師と4人を見て…。
池辺、
「あぁ…。すみません。蓬田さん。そちらにいる男性、私の義理の弟なんです。」
季実子、
「へっ…???」
徳美、
「おや…。」
伸永、ペコリとさせて。
池辺、
「そして、こちらの女性が、私の妻の友達でして…。」
季実子、徳美、
「へぇ~~。」
瀧澤、にっこりと顔を傾けて。
池辺、
「如何ですか、蓬田さん…???」
季実子、
「えぇ…、今も…、ん~~~…と。」
「そうですか~~。なんとも…、逞しいお方だ。…因みに…、何か…おやりで…???」
季実子、
「えぇ…。実は…合気道の方を…。」
「もしかして…、有段者…とか…???」
徳美、
「えぇ…。五段です。」
「道理で…。…いつもなら…、急性心筋梗塞…。こんな穏やかでは…、有り得ないんですんけど…。心身ともに、鍛えられているんでしょう。…とは言え、油断は出来ません。年齢上…、残念ながら、体は…しっかりと…病魔に侵されていることは…事実ですから…。」
葉月、伸永を飛んで奈都美に、小さな声で…、
「ナツ…、尾田ちゃんの…???」
その声に伸永、
「姉ちゃんの旦那さん、池辺…傑。」
奈都美、小さな声で、
「凄~~。ほんと、小林直己に似てる~~。」
葉月、
「うんうんうん。」
池辺、徳康の耳元で、
「蓬田さ~~ん。徳康さ~~ん。」
すると、瞼が微妙に動き、そして薄っすらと…。
季実子、
「目が開いた。」
池辺、
「うんうん。良いですよ~~。ゆっくり。ゆっくりと…。」
顔を僅かに揺らして…徳康。
池辺、
「はい、分かりました。」
酸素マスクを外す。
季実子、
「もぅ~~。とにかく嫌がるんだから~~。」
徳美、瀧澤ら4人に手を差し伸べてベッドに誘う。
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庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。