本日、とあるニュース記事を読み考え込んでしまいました、、、
コロナ禍は10年続く?
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関して、米エモリー大などの研究チームがまとめた論文(米科学誌サイエンスに掲載)の紹介記事が話題になっています。
「新型コロナウイルス感染症は将来風邪と呼ばれることになるだろう」と考えている専門家は多くいますし、皆さんの中にもそう思っている方は多いのではないでしょうか。
ではどうしたら「風邪」になるのかと言うと、それは「風邪程度に死亡率が下がったら」ということになります。つまり、現在は一切免疫を持たない高齢者が「生まれて初めて感染」するから重症化しやすいわけで、将来的には皆多くが若いうちに感染し免疫を獲得することになるため、高齢になってからも重症化しにくくなるであろうと考えられています。
それでは「そういった状況はいつになったら実現するのか?」を試算したのが上述の研究であり、それによると必要な時間は「基本再生産数」(1人の感染者が免疫のない人の集団で平均何人に感染させるかを示す)次第だそうです。
この基本再生産数が「2」だと仮定すると「10年」かかり、「4」と仮定した場合には「2年半」でそういった状況が実現することがわかったのだとか。
なお、日本ではこの基本再生産数は1以上2未満であると言われていますから、新型コロナが風邪と呼ばれるようになりコロナ禍が収束するのに10年以上かかるということになります。
対策すればするほど、、、
この研究結果を知り色々と考え込んでしまいました。
”実質的な”基本再生産数なんて要は感染対策次第なわけで、全員がマスクをしている状況と誰もマスクをしていない状況では劇的に異なることは言うまでもありません。ということは、感染対策をすればするほどコロナ禍収束は遠のくということになるわけです。
何と言うか、もう自分たちが歩みを進めている方向が正しいのかどうかすらよくわからなくなってきてしまいました、、、
このまま行けば、日本よりもはるかに感染拡大が進んでいる欧米諸国の方が早くコロナ禍は収束し、感染拡大が比較的穏やかな日本では収束までにより長い時間を要することになるのでしょうか?
ジレンマ
仮に、早くこのコロナ禍を終わらせようと思って日本人全員がマスクを外し2019年と同じ生活をした場合、沢山の高齢者が亡くなることでしょう。
逆に、罰則付きロックダウンを実行して新型コロナ封じ込めに舵を切ったならば、コロナ禍は長引き経済はボロボロに、既に急増している自殺者(特に若い女性の自殺者が増えている)は更に増えることになるでしょう。
このジレンマは本当にエグいです。
上述の研究結果を信じた上で一般的な観点から言えば、おそらく我々が取るべき対策はこれらの中間、ということになるのでしょうが、中間と言ってもレンジが広過ぎるんですよね、、、
ノーガード戦法でもダメだし、封じ込めようと思ったら10年かかる上に経済困窮による死者がたくさん出るとか、、、一体我々はどうすれば良いのでしょうか?
日本政府が出した結論
とは言うものの、日本政府としてはどうやらもうある程度結論は出ているようです。
数日前に東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県は濃厚接触者の追跡調査中止を発表しました。さらに今朝の報道によると、神奈川県は自宅療養中の感染者の健康調査も停止したそうです。少し前までは保健所のスタッフが自宅療養中の感染者に毎日電話をかけ健康状態を確認していたわけですが、これを停止したということです。
要は、もう封じ込めることは完全に諦め、公的なPCR検査数を減らして表に出る新規感染者数を減らし、新型コロナとの共生、わかりやすく言えば「コロナ慣れ」を目指そうということです。
今冬がコロナ禍のピーク?
日本政府の判断が正しいのかどうかに関しては判断が分かれるところです。罰則付きの外出制限を実行すべきだと言っている人は今でもたくさんいます。
結局のところ、完璧な方法など存在しないわけで、正解の存在しない問題と我々は向き合っているのかもしれません。ただ、私は親戚に小さい子供がいたりするので、高齢者と若者のどちらかしか助けられないのなら、そりゃ日本の未来を担う若者たちを助けるべきだろうとは思います。コロナ禍による経済困窮で若い女性の自殺者が急増しているのが現状である以上、強引にでも経済を回復させる方向に舵を切るべき頃合いなのかなとは思います。
そういう意味では、おそらく今冬がコロナ禍のピークでほぼ間違いないのではないでしょうか。ノルウェーでファイザー製ワクチンの接種後に33人が亡くなったなんて報道もあるわけで、接種を希望する人が日本にどの程度いるのかはわかりませんが、2月末か3月からは日本でもワクチン接種が始まります。今後少なくとも現在以上に状況が悪くなることはまずないでしょう。
「トロッコ問題」
この「コロナ禍」は、いずれありとあらゆる国の世界史の教科書に載り、未来永劫語り継がれることになるでしょう。そして、「最も正しい対策」とは結局のところ何だったのか、今後長い時間をかけて議論されることでしょう。
これが映画なら、あなたも私も登場人物です。本当にとんでもない時代を生きているのだなと、ふと冷静になると改めて実感します。
私のような一般人が私見を述べたところで何も変わらないし、自分自身の幸福のことだけ考えて生きるのが筋というものなのかもしれません。
ただまあそうは言っても、、、やっぱり考えるのを止められません。
だってこれ、まさしく「トロッコ問題」そのものですから。
昔、熱心に勉強したことがあって、アメリカのハーバード大学かどこかの偉い教授が出した「この手の問題は答えた人の負け」という結論を大変不快に感じたのを今でもよく覚えています。
あー、やっぱりあの教授が出した結論は間違っていたのだなと。
現在各国の首脳たちが迫られているのは、トロッコ問題に真の結論を出すことなのです。