ストーマケアアクセサリー(付属品)も給付対象になる法律がある

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永久人工肛門になって障害者認定を受けると、日常生活用具給付(※自治体によって、ストマ用装具助成、人工肛門・人工膀胱用装具購入費助成、など呼び名が違う)という補助を受けることができます。
そして、ストーマ装具はもちろんですが、ストーマケアアクセサリー(付属品)も給付対象になることが法令で定められています。
しかし、自治体ごとにアクセサリーの対象品目が異なっている現状について記事にします。

日常生活用具給付等事業

まず、法律についてですが、” 平成十七年法律第百二十三号 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律 ” というのがあります。

その、” 第五節 補装具費の支給 第七十六条 ” に次の記載があります。

「市町村は、障害者から申請があった場合において、当該障害者等が補装具の購入を必要とする者であると認めるときは、当該障害者に対し、当該補装具の購入等に要した費用について、補装具費を支給する。」
(※一部簡略して記載)

そして同法の、” 第三章 地域生活支援事業(市町村の地域生活支援事業)第七十七条 ” には次の記載があります。

「市町村は、厚生労働省令で定めるところにより、地域生活支援事業として、次に掲げる事業を行うものとする。」

給付内容については、第七十七条第一項第六号 ” に次の定めがあります。

「障害者等につき、日常生活上の便宜を図るための用具であって厚生労働大臣が定めるものの給付」
(※一部簡略して記載)

上記をまとめて分かりやすく要約すると、「市町村は障害者に対して、厚生労働大臣が定める補装具の費用を支給する事業をしなさい。」ということです。
なので、ストーマ装具購入時の「給付券」を頂戴できているわけです。

法体系図ピラミッド
KenU作成図

では、厚生労働大臣が定める補装具とは何でしょうか?

それは、” 厚生労働省告示第529号(平成十八年九月二十九日)障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第七十七条第一項第六号の規定に基づき厚生労働大臣が定める日常生活上の便宜を図るための用具 ” に次のように示されています。

第一号に掲げる用具の要件をすべて満たすものであって、第二号に掲げる用具の用途及び形状のいずれかに該当するものとする。」

一 用具の要件
イ 障害者等が安全かつ容易に使用できるもので、実用性が認められるもの
ロ 障害者等の日常生活上の困難を改善し、自立を支援し、かつ、社会参加を促進すると認められるもの
ハ 用具の製作、改良又は開発に当たって障害に関する専門的な知識や技術を要するもので、日常生活品として一般に普及していないもの

二 用具の用途及び形状
ホ 排泄管理支援用具 ストーマ装具その他の障害者等の排泄管理を支援する用具及び衛生用品のうち、障害者等が容易に使用することができるものであって、実用性のあるもの

※イ、ロ、ハ、ニ、へはストーマ以外の内容なので省略します

ストーマ装具関連給付対象用品

という訳で、ストーマ装具だけでなく、ストーマケアアクセサリー(付属品)も給付対象であることが理解できます。
ただし、記載内容があいまいなので、対象品目の具体的な指定がなされておらず、判断に迷うところです。
そのため、各自治体ごとに給付対象用品が異なっている実態があります。
このことは、厚⽣労働省 令和2年度障害者総合福祉推進事業として、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが行った『日常生活用具給付等事業の実態把握報告書(令和3(2021)年 3 月)』(←PDF参照リンク)の ”【自治体区分別】 給付の対象としている用品 ” 図表 2-127 給付の対象としている用品 ” により一目瞭然です。

なお、独立行政法人 福祉医療機構による ” 障害保健福祉関係主管課長会議資料(平成18年8月24日開催)資料9-1:地域生活支援事業の施行に向けて ” から、厚労省の見解は次のQ&Aのとおりです。

問8 日常生活用具参考例の排泄管理支援用具に、ストーマ装具(ストーマ用品、洗腸用品)と記載されているが、ストーマ用品とは具体的にどのようなものを想定しているのか。
(答) ストーマ用品とは、皮膚の保護・排泄物の漏れ防止・皮膚への装具密着などのために使用する各種用品であり、例えば皮膚保護ペースト、皮膚保護パテ、皮膚保護パウダー、皮膚保護ウエハー等が考えられる。

さて、私KenUが居住する宮城県ではどうなっているでしょうか。
仙台市の場合には、次表の13用品が給付対象になっています(令和3年1月時点)

No.品目名用途
1皮膚保護ペースト
皮膚保護パテ
ストマ周辺のしわ・くぼみによる凹凸を埋めて皮膚の表面を平坦にし,皮膚保護剤面板の粘着を助長し排泄物の洩れを防止する。
2皮膚保護パウダーストマ周辺の皮膚が湿り皮膚保護剤面板が粘着しない場合に振りかけて皮膚を保護,密着させ,排泄物の皮膚への付着を防止する。
3皮膚保護ウエハー成形可能な皮膚保護剤で,ストマ周辺のしわ・くぼみによる凹凸を埋めて皮膚の表面を平坦にし,皮膚保護剤面板の密着性を高める。
4固定ベルトストマ袋の部分を固定,脱落を防止する。
5サージカルテープストマ装具の皮膚保護剤面板の皮膚への密着を助長する,かぶれにくい粘着性のテープ。
6コンベックスインサートストマ周辺の皮膚と皮膚保護剤面板を密着させるため,面板にはめ込むリング状の部品。排泄物の洩れを防止する。
7剥離剤
(リムーバー)
皮膚保護剤,サージカルテープなどの粘着力が強い場合に皮膚に刺激を与えずにはがす液体。
8皮膚被膜剤
(スキンバリア)
排泄物などの刺激を防ぐために,皮膚に塗って皮膜をつくる。
9レッグバッグ
(下肢装着用畜尿袋)
長時間排出処理ができないときに使用する蓄尿量の多い袋。
10ナイトドレナージバッグ
(夜間用畜尿袋)
№9 と同様,就寝時に使用する蓄尿袋。
11パウチカバー発汗により,パウチ部分が蒸れをおこして皮膚に真菌などが発生するのを防ぐために,パウチにかぶせて汗を吸収する。
12皮膚保護材穴あけ専用はさみ皮膚保護剤面板の中心部分をストマの大きさに合わせて穴を開けるための専用のはさみ。
13消臭剤パウチ内の排泄物の臭いを脱臭するために,パウチの中に入れて使用する。
ダウンロード ストマ用装具付属品(PDF:218KB) 仙台市ホームページより

上表は、公益社団法人 日本オストミー協会が各市町村に対して給付をお願いしている品目と合致しています。
なお、上記13品目を厚生労働省が認めたものという記載をしているサイトがありますが、そのような法令、告示、通知、厚生労働省からの公式の文書などは見つけられません。
なので、福祉医療機構による定義からすれば、No.11、No.12、No.13は、本来であれば非該当なのではないかと考えます。

お住まいの自治体の支給対象用品の内容が不明の場合には、補装具費支給申請のときに、窓口で確認すれば良いと思います。
窓口担当者が知らない場合には、この記事を見せて法律について説明してあげましょう!(笑

実際のストーマケアアクセサリーの給付状況

KenUの自治体では、同じ宮城県でありながら仙台市のように具体的になっておらず、” 障害者日常生活用具給付等事業実施要綱(給付等の対象等)第2条第3項 ” に次のように規程されています。

前項に定めるもののほか,厚生労働大臣が定める日常生活上の便宜を図るための用具(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第77条第1項第6号の規定に基づき厚生労働大臣が定める日常生活上の便宜を図るための用具(平成18年厚生労働省告示第529号))に該当すると認められるものは,給付の対象とする。

としても、ストーマ装具だけで給付券を使いきってしまうKenUには、関係ありません。
確かに、ストーマ装具とアクセサリー注文時に給付券が使用できます。
しかし、最終的には給付券だけでは不足し、自己負担が生じるので、結果的にストーマ装具代だけで給付券を使いきっている計算になります。


以上、” ストーマケアアクセサリー(付属品)も給付対象になる法律がある ” でした。
それにしても、自治体ごとというのが、何とももどかしいです。
以前、『正しいストーマ装具の捨て方・分類は在宅医療廃棄物の可燃ごみ、出し方は自治体ごとにばらばら』や『47都道府県中オストメイトに優しいのは?1道、1都、1府、11県です。』という記事も書いています。
もう少し自治体間で連携するとか何とかしたらいいのにと思いますが。

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