毎回新たな「山の神」が現れるかどうかも関心を集める箱根駅伝でありますが、
初代・今井正人選手、2代目・柏原竜二さん、3代目・神野大地選手以降は神様と呼べるようなインパクトを与える選手は出てきていません。
「山の神」と言われるためには区間賞はもちろんのこと、2位以下から逆転して往路優勝のゴールテープを切る、
最低でもこの2つの条件を満たしていないといけないのでありますが、
2015年の第91回大会で神野選手が驚異的な区間新で青山学院大を初の往路優勝、総合優勝へと導いて以降、
今年を含めてこの6年間は5区での首位交代は1度も起きていません。
4区終了時点でトップのチームがそのまま逃げ切って往路優勝を果たすケースが6年続いていますし、
区間賞も往路2位以下のチームから6年連続で出ていて、山の神が現れるにはほど遠い状況となっています。
「山の神、ここに降臨」の名実況とともに2006年の第82回大会で順天堂大の今井正人選手が区間新、逆転で往路優勝のゴールテープを切って以来、
91回の青学大の神野選手まで10年連続で5区で首位交代が発生し、
そのうち8回が往路優勝のチームから5区区間賞獲得者が出ていたことを考えれば、
一気に5区のトレンドが変わってしまったような感じであります。
今年の創価大・嶋津雄大選手、昨年の青学大・吉田祐也選手、そして一昨年の相澤晃選手と4区を快走したチームが首位を奪い、そのまま芦ノ湖まで突っ走っています。
5区山登りで大逆転を狙うスタンスから、4区で切り札を投入して、
5区は堅実に山を登る選手で逃げ切りを図るのが近年の往路必勝のスタンスと言えるのかもしれません。
特にどのチームも5区にある程度の力を持つ選手を配置するようになってきましたので、
かつてのような山での大逆転劇は起こりにくくなっているのかもしれません。
山の神もそう頻繁に現れてはありがたみもなくなってきますし、同じチームから立て続けに出るなどなおさら考えにくいことでしょう。
青山学院大の原監督は竹石尚人選手を「4代目山の神になれる」と常々吹聴していましたが、
そうした神野大地選手の幻影に引きずられることなく、
昨年の飯田貴之選手のように堅実に登るタイプを今年も5区に配置していれば、
往路での差を最小限に食い止めて、ひょっとすると総合優勝にも手が届いたのではないか、
最終10区で駒澤・創価・青山の三つ巴の激戦になっていたのではないかと思ったのであります。