昨日のびわ湖毎日マラソンで見事に日本記録を更新して優勝を飾った鈴木健吾選手でありますが、
男子マラソンでこの「優勝&日本記録更新」をダブルで達成したのは意外と少なく、
以下に1980年以降のマラソン日本記録の変遷を示しますが、過去40年間で瀬古・藤田・鈴木の3例しかありません。
外国人に先着を許したうえでの、日本人トップになっての日本記録更新というパターンがほとんどで、
特に昨年の東京の大迫選手のように「4位」だと、上に3人もいるのにこんなに我々日本のファンは大喜びしていいのかと複雑な思いを抱きます。
また、私はこのブログでサングラスをかけてない選手のほうが駅伝でもマラソンでも好成績を残していると具体例を示して述べ続けてきましたが、
サングラスランナーによる男子マラソン日本新記録は史上初のケースとなります。
真夏のMGCでもサングラスをかけなかった鈴木選手が今回サングラスを装着したほか、
2位の土方英和選手も初装着、さらに川内優輝選手まで色つきのサングラスをかけて好走したのを見ますと、
私の非サングラス優位論も一気に崩れてきたのを感じるのであります。
曇りで風が弱いという気象条件にも恵まれましたが、ペースメーカーがほぼ設定通りのペースで引っ張り、
PMが外れた後もまず林奎介選手が出て、井上大仁選手が出て、さらに苦しくなる30km以降はサイモン・カリウキ選手が引っ張り、
鈴木選手にとっては替わる替わる35km過ぎまで優秀なPMに引っ張ってもらった感じで、展開的にも最高に恵まれた感じでした。
昨年の大迫選手の場合は5分台を出す練習をした上で、狙って出した5分台でしたが、
おそらく今回の鈴木選手は今大会の日本人大会記録を更新する7分台を目指していたと思われ、
それがあらゆる条件に恵まれ、さらに最後のびわ湖という目に見えない神風が吹き、
様々な幸運が舞い込んだ結果、実力以上のタイムが出てしまった感は否めません。
お祭りムードに水を差すようではありますが、今回の反動で、鈴木選手の次回以降のマラソンは実に難しいものになるのではないかという懸念があります。
ソフトバンクCEOの孫正義氏は、
「偶然の勝利は勝利ではない。単なる偶然である」
と過去の成功体験を自ら戒めていますが、鈴木選手も今回の件ははっきりと「まぐれ」と割り切って、
良いイメージを逆に払しょくして次に臨むことがさらなる成長につながるのではないか期待するのであります。