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『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』感想(ネタバレ)…べらぼうなDCだ!

ニンジャバットマン対ヤクザリーグ

べらぼうなDCだ!…アニメ映画『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』の感想&考察です。前半パートはネタバレなし、後半パートからネタバレありの構成です。

原題:Batman Ninja vs. Yakuza League
製作国:日本・アメリカ(2025年)
日本では劇場未公開:2025年に配信スルー
監督:水﨑淳平、高木真司
ニンジャバットマン対ヤクザリーグ

にんじゃばっとまんたいやくざりーぐ
『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』のポスター

『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』物語 簡単紹介

バットマンとロビンはゴッサム・シティに前代未聞の危機が迫っていることを知る。しかし、なぜかスーパーヒーローのチームであるジャスティス・リーグの面々は行方不明だった。そんな混乱の中、ゴッサム・シティのビル群の上空に突如として日本の地形が逆さまに出現する。日本列島は消失していたが、どうしてここに現れたのか。この事態を収拾すべく、バットマンとロビンは上空の日本に向かう。
この記事は「シネマンドレイク」執筆による『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』の感想です。

『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』感想(ネタバレなし)

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帰ってきたニンジャバットマン

ジャスティス・リーグ、最近は映像で観ていないなぁ…。

あ、「ジャスティス・リーグ」っていうのはアメコミのDCに登場するスーパーヒーローのチームです。そのジャスティス・リーグがでてくる映像作品が最近は新作でお披露目されていないという話です。

それもそのはず、実写映画のほうでは「DCEU」は雲散霧消したので(もう経緯を説明するのも散々したし、面倒くさいのでカット)、ジャスティス・リーグはせっかく揃ったのに1作かぎりの特別結成グループみたいになっちゃいました。

新しい「DCU(DCユニバース)」のシリーズはようやく映画が2025年に始まり、スローペースです。ジャスティス・リーグが登場するのはいつになるやら…。

実写映画では2017年の『ジャスティス・リーグ』から久しく観ていません(2021年には『ジャスティス・リーグ ザック・スナイダーカット』があったけど)。

そのため、ジャスティス・リーグを目撃できるチャンスはアニメ映画くらいでした。

『DC がんばれ!スーパーペット』(2022年)にジャスティス・リーグの懐かしさを感じたり…。『ジャスティス・リーグxRWBY: スーパーヒーロー&ハンターズ』(2023年)のようなコラボ作品でエネルギーを補給したり…。

そんな慢性的なジャスティス・リーグ不足の中、ピンチヒッターの盛り上げ隊になりそうなお祭り映画がやってきました。

それが本作『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』です。

本作は、日本の戦国時代にタイムスリップしてしまったバットマンがジョーカーら悪者とロボット対決で大暴れするという、前代未聞のハチャメチャな日米合作のアニメ映画『ニンジャバットマン』(2018年)の続編となります。

まさか2作目が作られるとは思ってもみなかったですが、『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』も前作以上にネタに振り切っています。タイトルのとおり、次は「ヤクザ」です。ジャスティス・リーグの面々がヤクザで大胆にアレンジして乱入してきます。

まあ、前作も「どこか忍者!?」という感じでしたが、今回も「これがヤクザ!?」という勢いだけのノリです。ジャスティス・リーグの面々が日本風のビジュアルで登場するのがとりあえずの見どころ。

この盛大な悪ふざけの遊び放題ワールドについてこれる人だけ飛び込んで来い!ってことですよ。

『バットマン マントの戦士』がクラシックな味わいをみせ、『ハーレイ・クイン』がアダルトなカオスに突っ込む中、この『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』はこっちをいくぜ!と自らの方向性をしっかり意識的に定めている真面目なアホ映画です。

『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』を監督するのは、“水﨑淳平”“高木真司”で、「神風動画」の制作であり、前作と主要な座組はほぼ同じ。脚本も『キルラキル』“中島かずき”が続投しています。

アメリカ作品に和を馴染ませると言えば、「神風動画」は『スター・ウォーズ ビジョンズ』で評判の良かった「The Duel」というエピソードを手がけてきましたし、もうこれが十八番なのでしょうか。

今回も一般劇場公開はなく、配信スルーになってしまったのですが(一般公開すればいいのに)、『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』でDCの熱気を高めてみてください。

なお、本作はヤクザを全面に打ち出していますが、リアルな暴力や性的な描写は皆無です。子どもでも観られます。ヤクザだけど銃もでてこないのは、アメリカのレーティングに合わせているのかな?

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『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』を観る前のQ&A

Q:『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』を観る前に観たほうがいい作品は?
A:1作目の『ニンジャバットマン』を観ていなくてもそこまで物語についていけなくなるほどではありません。ただし、DCのキャラクターにある程度親しんでいる人向けではあります。完全な初心者は置いてきぼりになるかもしれません。
✔『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』の見どころ
★ふざけまくっている世界観。
★和風のビジュアルのジャスティス・リーグ。
✔『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』の欠点
☆物語のボリュームは少なく、キャラクターの描き込みは薄い。

鑑賞の案内チェック

基本
キッズ 4.0
子どもでも楽しめます。
↓ここからネタバレが含まれます↓

『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』感想/考察(ネタバレあり)

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あらすじ(前半)

ヤクザ・ハリケーンが急速に成長して大陸に接近していました。ゴッサム・シティにも甚大な被害がでることは確実で、ヤクザ豪雨警報が発令されます。

ダミアン・ウェインことロビンは飛び起きて、すぐにひと足先に状況をモニタリングしていたブルース・ウェインことバットマンとその執事で補佐のアルフレッドのもとへ急ぎます。

実は、他にも異常事態が起きていました。日本列島が消えたのです。影も形もありません。

加えて奇妙なことに、スーパーマン、ワンダーウーマン、アクアマン、グリーンランタン、フラッシュまでも行方不明となっていました。音信不通で、手がかりはないですが、これではジャスティス・リーグとしてスーパーヒーローのチームを結成していたものの、今や意味をなしていません。

どうやら一連の不可思議な事態は関連している可能性が高いです。歴史が変わった可能性もあります。

頼れるのはバッド・ファミリーしかいません。こうしてバットマンとロビンは出動します。

ゴッサム・シティの警察隊は空から降ってきた大勢のヤクザと交戦していました。レッドロビンナイトウィング、さらにレッドフードも駆けつけてヤクザたちを制圧します。

しかし、一難去ってまた一難。そのとき、バットマンたちは空一面に日本の地形が浮かんでいるのを目撃します。消えた日本がなぜゴッサム・シティの真上に、逆さまで出現したのか。何かの時空連続体の異変が起きているのか、詳細はわかりません。

直接現場に行くしかないと判断し、空を飛んで接近すると、バットマンとロビンはすっかり変容している日本にやってきていました。

そこにいたのは以前とはまるで姿が変わっているジャスティス・リーグの他のメンバーで…。

この『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』のあらすじは「シネマンドレイク」によってオリジナルで書かれました。内容は2025/03/23に更新されています。
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和風デザインをもっと見たくなる

ここから『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』のネタバレありの感想本文です。

『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』は観る前からわかる話ですが、極めてファン向けのマニアックな一作であり、予備知識というか、「当然これは知ってるよね? 説明しないよ?」という前提で開幕します。

そもそもこの映画自体が全編にわたってDCのパロディみたいなものであり、公式の二次創作です。元ネタの解説をしている余裕はありません。

冒頭からバットマンは一応は状況説明しまくってくれますが、言いたいのは結局はひとつです。「いいか、これからこのノリで突っ走るからな。覚悟しろよ」…と。

パロディ的な作品はDCにもたくさんある中、この『ニンジャバットマン』シリーズは和を合わせるという明快なコンセプトがあり(この「和」には歴史的な日本文化はもちろん、現代のサブカル文化も含む)、独自性はじゅうぶんです。

今回はバットマン以外のジャスティス・リーグの面々が和風の装いでリニューアルされており、そのデザインは実に楽しく新鮮でした。

「鋼の闇悪」(凄い無理やりな語呂合わせだ…)の異名を持つスーパーマンは、“小沢仁志”みたいな顔面で、ステレオタイプなヤクザの雰囲気を遺憾なく発揮しています。正直、スーパーマンとヤクザは似合ってると思いました。だいたいスーパーマンって良識があるからかろうじて許されているようなもので、そのスーパーパワーは恐ろしいものです。その能力のヤバさを、真面目なストーリーで問うのではなく、「ヤクザみたいじゃん」の発想で風刺する。これだけで面白くはなります。

「大鷲天女の大阿奈」の異名を持つワンダーウーマンは、女将的な頭であり、今作の揺るぎない正義を担当(演歌も歌う)。もともとワンダーウーマン自体が文化民族的な背景を持ったキャラクターですし、日本に置き換えても全然いける気がしました。残念な点があるとすれば、ワンダーウーマン以外の組の女たちが完全にモブでしかなく、女性陣の掛け合いが乏しいことですかね。女番長風のハーレイ・クインには好かれてましたけど、特段の化学反応は薄かったです。

「韋駄天の針亥」の異名を持つフラッシュは、笠を被って飛脚みたいに走り抜ける相変わらずのスピード野郎。絶対にその服装は走りにくいだろう…とはツッコミたくはなりますけども…。

「水龍の亜朝」の異名を持つアクアマンは、海の男を日本でも思う存分に体現していましたが、水産業大国の日本では本来の正義理念として一番マッチしていないヒーローではあると思う…。あれか、密漁して儲けてるのか…。

「緑光の是鹿」の異名を持つグリーンランタンは、今作ではジェシカ・クルスを採用していることもあって、芸者風で簪が能力アイテムとなり、個人的にデザインの独創度が高くてお気に入りです。

前作と比べるとこの「ヤクザ・リーグ」のビジュアルは、それぞれの個性を楽しみやすくなっていて良かったです。

これだけ自由にやってくれると、他のコミックにでていたジャスティス・リーグのキャラクターも和風版を見たくなりますよね。

サイボーグはからくり人形なのかなとか、ホークガールは鷹匠かなとか、マーシャン・マンハンターはいっそのこと妖怪とかでいいかなとか…。

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次はコラボに期待したい

『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』はふざけまくりなので、基本的に物語の緊迫感とか、そういうストーリーを引っ張る力には欠けます。そこは前作と変わらない弱点でもあります。

『シャークネード』みたいなヤクザ異常気象も、解決手段はいたって単純(というよりは意味不明なので理解が追い付かない)。黒幕のラーズ・アル・グールが一番魅力に乏しいのももったいないところではあります。

『科学忍者隊ガッチャマン』風のバット・ファミリーたちが繰り出すヤクザ・リーグを各個撃破する科学忍法も愉快と言えばそうなのですが、一発ネタにとどまりますし…。

肝心のバットマンとスーパーマンの対決は、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』の焼き直しとしてはよっぽどマシですけど、アニメーションで魅せきるには早々に限界が来てしまった感じもありました。

やっぱり前作から指摘していますけど、これだけの引き出しの多い世界観があるならもっとじっくりアニメシリーズで観たかったですね。『異世界スーサイド・スクワッド』は作ったのだし、「Warner Bros. Japan(ワーナー ブラザース ジャパン)」にもうちょっと頑張ってもらうしかない…。

ともあれ「ニンジャバットマン・ユニバース」の今後の拡大に期待はしたいところです。

マーベルはコミックのほうでは『ウルトラマン』とか『ゴジラ』とコラボしているし、DCもここで日本のデカいタイトルとコラボして、『ニンジャバットマン』の世界でハメを外しましょうよ。

『機動戦士ガンダムDC』とかできないんですか!?

『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』
シネマンドレイクの個人的評価
6.0
LGBTQレプリゼンテーション評価
–(未評価)
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関連作品紹介

DCのアニメシリーズの感想記事です。

・『クリーチャー・コマンドーズ』

作品ポスター・画像 (C)DC

以上、『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』の感想でした。

Batman Ninja vs. Yakuza League (2025) [Japanese Review] 『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』考察・評価レビュー
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