雨の日には雨のお軸を掛けておもてなし、良いものです。
しかし雨が大雨、豪雨になって被害甚大ともなれば、
そうして「雨」を風情と捉えて床に掛けておくのも
実際憚られるようになります。
【令和２年７月豪雨】
2020年7月3日以降に熊本県を中心に九州や中部地方など日本各地で発生した集中豪雨である。
同年7月9日に現在進行中の大雨を気象庁が命名した。
7月10日時点で、熊本県南部、川辺川・球磨川流域の人吉市や球磨村を中心に、死者数は60人以上となっている。
門下雨滴声
雨の日の老師と弟子の会話
老師「外で聞こえる音は何？」
弟子「雨の音です」
弟子のこの答えが気に入らなかった老師さま、
あ～つまんないこという人だねぇ～とけなします。
ここから先は皆さまご自分で深堀してください。
文言一連のやりとりはいかにも禅問答で興味深いのですが
雨の被害が大き過ぎてちょっともう掛けて置くのが辛いほどになりました。
紅雲庵ではだいたい1週間か長くて2週間で本席のお軸を替えてゆきます。
その日の季節に添ったもの、その頃の行事に添ったものなどで
「茶の湯に大切なのは季節感」それを実感していただきたいからです。
一年間だいたいのお軸スケジュールがあって進行していきますが
この「雨滴声」の次の予定のお軸は
なんと「瀧」だったのですね。
瀧、蝉しぐれの中に滝を観るなら風情ですけど
大雨警報のさなかに観るのはいかがなものか。
ねえ、いけませんでしょう、これは。
ですから代役で来週使う予定の白居易の詩
「江楼夕望招客」を。
こちらは夏の夜に、うちへ遊びにおいでよと友人を誘う詩です。
これならOKですよね。
花は鮎籠に芒、唐糸草、桔梗
主菓子は紫蘇風味のきんとん「清流」 川口屋製
ん、流の文字はどうかしらって思ったけど、濁流でなく清い流れなら良いでしょう。
やれやれです。
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