ぎこちなく笑いながらカンナも紙を見た。前と違って、記号の下に名前がつけ足されている。こんな感じだ。

 

 

 HF80Y 0110U4500AD       蛭子嘉江
 IM30S 0222K8010AD 1824 泉川扇宗
 OM10Y 0401H3970GD 6775 大和田義雄
 KM05M 0709M7109VD 1523 小林衛
 HM20Y 0916J2193ND 2731
 SM10T 1013L3986EF 1217 鴫沼徹
 TM30W 1028R4753KE 3645 田沼渉
 YF03H 1215C9563TE 6874 山田久枝
 YF03K 0216D7590GE 4558
 HM03Y 0326F6752UE 8085 本間康明
 NF05H 0412S0875DE 5966

 

 

「で、その新たな発見ってのはどいつのことだ?」

 

 

「いや、その前に写真を見せてくれ。同姓同名ってこともある。ま、その方がいいけどな」

 

 

 封筒を受け取ると彼は『KM05M』と付箋の貼ってある写真を広げた。薄暗い工事現場に男が二人いるもので、全部で九枚。キティもテーブルに飛び乗り、顔を近づけた。

 

 

「どうだ?」

 

 

「ああ、間違いないね。ペロ吉んとこの父親だ」

 

 

「どっちだ?」

 

 

「左だよ。でも、ちょっとだけ安心したね。アレが写ってるのかと思ったからさ」

 

 

「そうだな」

 

 

 最後のは声に出して言ったものだ。カンナと刑事は同時に首を引いた。

 

 

「そうだな、ってのは?」

 

 

「ああ、いや、今のは独り言だ。でも、カンナ?」

 

 

「なに?」

 

 

「この左の男、こいつはペロ吉んとこの父親だ」

 

 

「え? そうなの? あの子のお父さんも脅迫されてたってわけ?」

 

 

「そうなるな。でも、虐待の現場じゃなくてよかったよ」

 

 

 刑事は目だけ動かしてる。不満げな表情だ。

 

 

「あのな、そっちだけで話を進めないでくれよ。その虐待ってのはなんなんだ? それに、ペロ吉ってのは誰だ?」

 

 

「山もっちゃんは聴いてないのか? この男の子供のこと」

 

 

「子供? それがペロ吉なのか? ――いや、そんな名前の子はいないだろ」

 

 

 指を立て、蓮實淳は経緯を話した。そのあいだカンナは他の写真を眺めてる。刑事は腕を組み、息を吐き散らした。

 

 

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《雑司ヶ谷に住む猫たちの写真集》

 

 

雑司ヶ谷近辺に住む(あるいは
住んでいた)猫たちの写真集です。

 

ただ、
写真だけ並べても面白くないかなと考え
何匹かの猫にはしゃべってもらってもいます。

 

なにも考えずにさらさらと見ていけるので
暇つぶしにどうぞ。