本日は、卵子と精子ができるまでの過程について、詳しく見ていこうと思います。

 

 

  卵巣で成熟卵子ができるまで

 

女性は200万個ほどの原始卵胞(卵子の元)を持って生まれてきます。原始卵胞はそれ以上増えず、また月経の有無に関わらず自然に消えるため思春期に残っているのは約30万個といわれています。

 

月経開始から排卵まで約2週間ですが、 その前から少しずつ卵胞は成長し、原始卵胞の成長から排卵まで約80日間かかります。原始卵胞は約0.03 mmのごく小さい細胞。これが約2週間かけて徐々に成長して1層の膜に包まれた一次卵胞となり、35日目頃には膜が2層の二次卵胞となります。 45日目頃には、卵胞液に満ちた空洞をもつ胞状卵胞となります。 65 日目頃にはエコーで確認できます。

 

 排卵される周期には、卵胞は5mm 程度の大きさです。下垂体からの卵胞刺激ホルモン( F S H )に反応し、ホルモンの影響を受けて成長します。 10数個~ 20個の卵胞のなかから1個の主席卵胞が決まると、主席卵胞は止めていた第一減数分裂を再開し、完了すると第一極体(卵子の減数分裂で放出される細胞)が放出されます。 80日目頃には卵胞は約2㎝まで育ち、この成熟卵胞から成熟卵子(受精できる卵子)が排出されます。 

 

 

 

 成熟卵子

卵胞内で卵子は卵胞壁に接しています。成熟卵子は厚い顆粒膜細胞で覆われています。自然妊娠では排卵されたものが成熟卵子かどうかわかりませんが、体外受精では、核と第一極体の有無を顕微鏡で確認することができます。

 

卵胞壁は卵胞の成長につれて薄くなり、 やがて卵胞斑(盛り上がった部分)ができます。ここから卵子とそれを包む顆粒膜細胞、卵胞液が一緒に出ていきます。卵子の周りには、卵子を保護する卵丘細胞や透明帯(糖たんぱく質でできた卵殻のようなもの)があります。

 

ただ、卵胞内で卵子が黄体化したり、排卵が起こらない周期もあるでしょう。 排卵障害があると卵胞の成長に時間がかかったり、十分成熟しないこともあります。その場合は、排卵誘発を行います。

 

 

 

 

  精子ができるまで

 

精子は人体最小の細胞で、大きさは約0.06 mm。遺伝子が入った頭部(先体包)、精子のエンジンに当たる中間部(中片部)、 精子の運動部分の尾部からなります。体から離れて自力で動ける特殊な細胞です。

 

精子は精巣で造られます。精粗細胞(精子の元)は母親の胎内にいる頃から作られ、女性の原始卵胞のように、精巣内で第二次性徴をじっと待ちます。原始卵胞と違うのは、精粗細胞は細胞分裂で増殖できるため、男性は生涯精子を造れる点です。思春期に視床下部からの性腺刺激ホルモン放出ホルモン( G n R H )が増えることで、下垂体から性腺刺激ホルモンが分泌され、精巣は徐々に成長して男性ホルモン(アンドロゲンやテストステロン)が作られます。

 

精細管にある精祖細胞が精子になるまで、約 3 ヶ月以上。精粗細胞は46 本の染色体をもち、体細胞分裂で一次精母細胞に、第一減数分裂で2つの二次精母細胞になり、第二減数分裂で2つの精子細胞となります。理論上、1つの精粗細胞から4つの精子ができるのです。 

 

 

 AMH検査とは??

卵巣に残った卵胞数は抗ミュラー管ホルモン(AMH)検査でわかります。AMH値が低ければ卵胞数が少ないということであり、数値によっては閉経が近い可能性もあります。AMH値は妊娠に臨める期間の目安にもなります。

 

 

年齢と卵子数

年齢と胚盤胞まで育った受精卵の染色体異常率

 

年齢と卵巣にどのくらい卵子があるかを予測する卵巣予備能・AMH値の関係

 

 

卵子と精子の減数分裂

 

精巣で精子ができるまで

 

 

 

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