チップは日本に無い習慣で、海外では日常行われていると言ってよいでしょう。海外旅行に行くときや初めて海外生活をするときに、日本人にとってはちょっと面倒くさいことになります。

 

チップについてのことはたいていの旅行ガイドブックに、購入額の何%が適当だとか、そのための小銭を常に用意しておくなど載っていますが、実際に渡す段になると、その金額の計算やタイミングなど悩ましい問題が出てきます。

 

インドネシアのジャカルタに駐在したとき、初めの頃はチップを渡すのにまごついたものです。モゾモゾと財布を出してチップのお金を探していると、もらう方はかたわらでじっと財布の中身まで覗き込むような感じで待っていて、渡したあとも少なかったのかなぁ、など相手の顔色を見たり後味の良くない思いをしました。これは私に限ったことではなく他の日本人も同様でしたが、いずれ慣れてくると相手のことなど考えなく、堂々とチップを渡すようになるものです。

 

私が感心したことには、インドネシアにいる華僑の人たちのチップの渡し方です。彼らのチップの渡し方というと、モゾモゾすることなどなく、適当なチップの金額のコインなりお札が、いつの間にかに手に握られていて、チップを渡す仕草の軽やかさは、まるで手品を見ているように美しく見えたのです。それから私も真似して手品とまでは行かないまでも、いつも外出の際にはチップ相当のコインやお札を、財布とは別にポケットに忍ばせて、気持ちよくチップを渡すようにしました。

 

ガイドブックにはホテルを利用するときには、朝出かける前に枕の下にチップを置く、というが載っていたので私もかつてはやっていました。ただこの10年くらいでしょうか、インドネシアに新しくできた欧米系のホテルなどでは、そういったお金は部屋に残された客の所有物のひとつとして、受け取らないケースが出てきました。

 

パリのことをよく知る知人の話では、昨今パリでは飲食をした後チップを置かないと言っていました。現金のやり取りから、クレジットカードや非接触方の決済方法に移りつつある中、どうやらチップの習慣が少しずつ変わってきているのでしょうか。

 

MOMA)

 

ニューヨーク行ったとき、MOMA(ニューヨーク近代美術館)のカフェでランチした際に、ボーイが注文内容をプリントしたレシートのようなものを差し出し、注文合計額の下にチップとして10%、15%、20%と印字されていて、どれかにチェックを入れてくれと言われたことがあります。こんな風に示されると10%にチェックしにくいので、15%にチェックを入れて渡すと、現金かクレジットカード決済かを聞かれてカードを渡し、チップを含んだ金額での精算となりました。

 

これではサービスしてくれた本人への心付けとして渡すチップの本来の趣旨から外れて、いわゆるサービス料として店側が取っているような気がします。先日テレビでジャーナリストの池上彰氏が、ニューヨークへ取材に行ってきたときのトピックスとして同様の話をしていましたので、ニューヨークでは今も普通に行われているチップの渡し方のひとつのようです。

 

(MOMAのカフェ)

 

インドネシア ブログランキングへ


にほんブログ村