1964年10月10日の東京オリンピック開会式の日、父方の祖母が我が家に来ました。

 

オリンピックを見るためです。

 

見るといっても会場に行くわけではなく、我が家のテレビで観覧するのです。

 

我が家ではオリンピックに合わせてテレビを買いました。

 

友人の家にあった家具のように見える大きな扉付きのテレビではありません。

 

何インチであったかわかりませんが、画面の小さなブラウン管テレビです。

 

何インチのテレビという表現、ブラウン管という言葉も、もう死語に近いのかもしれません。

 

ブラウン管の前に薄い樹脂の板をかけていました。

 

子供であった入蔵はブラウン管から出るわずかな放射能(科学的には放射線のほうが適切な表現かもしれません)を防ぐためと誰かに聞いて、そう信じていました。

 

後にはこのテレビで「人類初の月面着陸」も見ました。

 

大阪万博の時に「タイムカプセル」が付録についてきたカラーテレビを購入しました。

 

19インチサイズだったと思います。

 

今、入蔵の目の前にあるテレビはそれと同じメーカー製の43V型のものです。

 

今入蔵の目の前のテレビでは円谷幸吉がマラソンで銅メダルを獲得し、東洋の魔女と言われたバレーボールチームの練習の様子が映し出されています。

 

円谷さんも、東洋の魔女もこのオリンピックにまさに人生、生命をかけているように見えます。

 

それが正しいとか、正しくないとかとは別にそういう人生があったのです。

 

このコロナ禍にオリンピックを開催することの是非については様々な意見があります。

 

入蔵も医療職としての立場からはいかがなものかと思わないでもありません。

 

それでも

 

選手(選手の家族、関係者)としての人生

 

オリンピック関連事業の関係者としての人生

 

様々な立場で、それぞれの人生をかけている人がいます。

 

始めてしまったオリンピックが競技者にとっても、直接の関係者にとっても、

そして、その他、開催国の住民である我々すべてにとって良い催しとなることを願ってやみません。

 

毎回、どこの国でもオリンピック後に経済的な問題が生じています。

 

今回はこの他に感染症の問題もあるわけです。

 

入蔵がみている番組はNHKで昨日放映された「映像の世紀プレミアム(15)『東京 夢と幻想の1964年』」です。

 

今回のオリンピックが「東京 夢と幻滅の2021年」にならないことを心から祈ります。

 

では、また。