長男のための卒業セレモニー | わたしが実際にやってみたグリーフワーク&セラピー

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小学生の息子を病気で亡くし、絶望のどん底からはいあがるためにやってみていることをまとめています。意識的に試すようにしているというよりは、必要なときに必要なものごとや情報がおのずとやってきて、流れにのるままに実践している、という感じです。

しばらくぶりの更新になってしまいました(^_^;)

 

長男は3月で、小学校を卒業しました。

3年まえの一周忌のときに、担任の先生から「Tくんも、同級生と一緒に卒業できるように学校としても考えております」とのお言葉がありました。


それからさらに2年たった今年。

冬休みが明けるころから卒業式どうなるのか?と内心もやもやしつつ、夫との間で何度も話し合い、次のことを決めていました。

 

それは、

「卒業式には出席しない」

ということです。

 

理由としては、
 

― 長男が亡くなってからもう3年もたっていて、転入生も何人もいて長男を知らない児童さんもいるなかで、卒業生たちが主人公である式典で、変な目立ち方をしてしまってはいけない・・・・
― 歓びあふれる会場に、悲しみを持ち込んではいけない・・・

― 中学校の制服を着て胸に花リボンをつけた同級生たちの姿を見たら、私たちは平常心ではいられなくなってしまう・・・


いろいろ悩みましたが、出席しないことにしました。


 

そして6年生の担任の先生たちがどうしたらベストか?とあれこれ考えているらしい、と、いう話を聞いて、きっと先生方もどうしたらいいのか悩んでいらっしゃるのだろうと思い、当時担任だったM先生を通して、私たちの思いを伝えてもらいました。

 

― 卒業式への出席は遠慮させていただくこと

― 式で長男の名前を呼ぶとか、そういうことは一切しなくていいこと

― こちらの要望はひとつ、卒業証書をいただければそれで十分です、ということ

 

卒業式のあとに行われる「卒業を祝う会」というお食事会があるとの連絡があり、そちらに参加されませんか?とお声掛けいただきましたが、同じ理由で参加はご遠慮させていただきました。

 

そのかわりに、卒業生とご家族、先生方へのこれまでの感謝の気持ちと、卒業祝いのメッセージを手紙にしたためて、「祝う会」で読んでもらうことにしました。

また、息子からみんなへのプレゼントとして、息子が撮った風景写真を印刷したポストカードセットと、シャープペンシル(中学校からシャーペン使えるのでね^^)を渡していただきました。

 

 

そして卒業式当日。

私たちは仏壇の写真に向かって、「長男くん、卒業おめでとう。6年間がんばりました。」と手をあわせて、家族でささやかなお祝いの食卓を囲みました。

 


卒業式の2日後。

学校で校長先生から卒業証書を授与します、とのお話があり、夫とベビ次男と3人で、小学校へ訪れました。

校長室に通されて、「準備していますので少しお待ちください」とのことで、校長先生としばらくおしゃべりしていました。

 

6年生の先生から「お待たせしました」と呼ばれて、多目的ホールに向かったら、

60人近くの同級生が並んでいました。

卒業式が終わっていましたが、ちょうど登校日とのことで集まっていたそうです。

 

T先生が「これからTくんの卒業式をはじめます」とおっしゃって、私たちは驚きと感動で涙があふれながら、息子の写真を手に、卒業生たちの前に進みました。

 

 

校長先生から、立派な卒業証書を授与していただきました。

紙も様式も正式な卒業証書で、息子の名前が筆で書かれていて、印鑑もおしてありました。

番号のところは空欄になっていました。

 

受け取ったときに、はじに立っていたこどもたちが「卒業おめでとう」とポスターをかかげてくれました。

 

みなさんに「ありがとうございます!」と涙顔でお礼を言っていたら、

「記念品授与!」とT先生。

2年生のときの担任だったA先生(今は別の小学校にいらっしゃいます)が息子の写真のスライドショーを作ってくださって、卒業を祝う会のときにみんなで見た、とのことでした。その映像をDVDにして、プレゼントしてくださいました。

 

続いて

「忘れ物、授与!」と言われ「えっ?」と思っていたら、

習字の筆あらい用ペットボトルと、コピー用紙の裏に書いた息子の手作りの応援旗でした。

運動会に健康上の理由ですべての競技にでられないこともあった息子が、同級生を応援するのに作ったものでした。

その旗には名前が書かれていないし、もう4年も前のものなのに、同級生が「Tくんが書いたもの」と、ちゃんとわかってくれていたんですね。しかも捨てられることもなく保管されていたようです。本当に感激しました。

 

そして

「特別な写真集のひきつぎ!」と言われて、これもなんだろう???と思っていたら、息子の死後に私たちが自費出版した、息子作品の写真集のことでした。

クラスに1冊ずつ謹呈して、教室においていただいていた写真集を、なんと地元の中学の教室まで引き継いで持っていってくれるとのことでした。

同級生で親戚のHくんが、「責任をもって中学校へ届けます」と宣言してくれました。

これには夫が大号泣でした。

息子も、みんなと一緒に中学校へ行けるんだ!と思い、とてもうれしかった・・・。

 

 

そしてセレモニーのラストには、卒業式でみんなが歌った合唱曲を、アカペラで歌ってくれました。

大きな声で、しっかりしたハーモニーを聞かせてくれました。

 

 

最後に、息子の一眼レフで、全員集合写真を撮りました。
息子の写真をFくんが緊張した面持ちで持ってくれました。

その写真の息子と同じように、みんなで笑顔のVサインで、すごくいい写真が撮れました。

 

 

 

本当に素晴らしい卒業式。同級生のみんなで考えて、息子のために準備してくれた卒業セレモニーに

私たち家族は心から感謝の気持ちでいっぱいになりました。

しかも、在学中の娘が、担任の先生のご配慮で授業中にもかかわらず、セレモニーの様子をホールの上から見させてもらっていたのです。夫・私・息子・娘・ベビ次男、家族みんなで参加できたセレモニーでした(*^_^*)


卒業式を執り行っていただくことができて、私たち家族も、心の中でまたひと区切りを感じることになりました。

卒業生のみなさん、先生方、本当にありがとうございました(*^_^*)

息子もひかりの世界で、うれしそうに笑っているだろうな~^^