今回はCarlton Livingstonのアルバム

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「100 Weight Of Collie Weed」です。

Carlton Livingston(本名同じ)は
80年代に活躍した、レゲエのダンス
ホール・シンガーです。

ネットのDiscogsにはこのアーティストに
ついて、次のような説明があります。

Reggae artist who started recording in the early 1980's,
teamed up with producer Clive Jarrett, and cut some lovers
reggae tunes at Channel One.
Later moved to the USA.

(レゲエ・アーティストとして80年代
初期よりレコーディングをはじめ、
プロデューサーのClive Jarrettとチーム
を組んで、Channel Oneより多くの
ラヴァーズ・チューンを発表した。その後
はアメリカに移住。)

ネットのDiscogsの彼のアルバムの履歴を
見ると、77年にシングル盤でデビュー
し、その後80年代前半のアーリー・
ダンスホールで、「Marie」などのヒット
曲で人気を博したシンガーのようです。

ネットのDiscogsによると、共演盤を含め
て7枚ぐらいのアルバムと、156枚
ぐらいのシングル盤を残しています。

Carlton Livingston - Wikipedia

今回のアルバムは1984年にUKの
Greensleeves Recordsからリリースされた
Carlton Livingstonの通算3枚目か4枚目
にあたるソロ・アルバムです。

「Hot Milk」リディムの表題曲「100
Weight Of Collie Weed」をはじめとし
て、「Love Me Forever」リディムの
「Making Love」や、「Night Nurse」
リディムの「Fret Them A Fret」、
「Revolution」リディムの「If This
Girl Was Mine」など、好チューン満載の
アルバムで、このアーリー・ダンスホール
の時代のCarlton Livingstonの好調さが
うかがえるアルバムとなっています。

手に入れたのはGreensleeves Records
からリリースされたLPの中古盤でした。

なおこのアルバムとほぼ同じ内容の
「Fret Them A Fret」というアルバムが、
同じ84年にジャマイカのJah All Mighty
というレーベルと、USのJah Lifeという
レーベルから別ジャケットでリリースされ
ています。
(「Fret Them A Fret」の方が全11曲
と、1曲多いようです。)

Side 1が5曲、Side 2が5曲の全10曲。

ミュージシャンについては以下の記述が
あります。

Produced by Hyman 'Papa Life' Wright, Percy Chin

Backed by Hi-Life Players
Guitar: Errol Moore
Bass: Paul Henton
Drums: Donny Marshall
Keyboards: William Brown
Lead Guitar: Donovan McKitty
Horns: Derek Hinds, Peewee

Recorded & Mixed at H.C.F. Studio
Engineer: Phillip Smart
Mastering: Steve Angel
Photography: O'Neil Nanco
Design: Tony McDermott

となっています。

プロデュースはJah Lifeレーベルの
Hyman 'Papa Life' WrightとPercy Chin
となっています。

バックはHi-Life Playersで、ギターに
Errol Moore、ベースにPaul Henton、
ドラムにDonny Marshall、キーボードに
William Brown、リード・ギターに
Donovan McKitty、ホーンにDerek Hindsと
Peeweeという布陣です。
ちなみにネットのDiscogsによると、
Hi-Life Playersは「Jah Life session
band(Jah Lifeレーベルのセッション・
バンド)」と書かれています。
USの録音だった為か、ジャマイカの
セッション・ミュージシャンとは違う
顔ぶれとなっています。

これらの情報を総合すると今回のアルバム
のオリジナルはUSのJah Lifeレーベルの
「Fret Them A Fret」で、UKの
Greensleeves Recordsの方はそのUK盤と
いう事なのかもしれません。

レコーディングとミックスはニューヨーク
のH.C.F. Studioで、エンジニアはPhillip
Smart、マスタリングはSteve Angel、
ジャケット写真はO'Neil Nancoで、
ジャケット・デザインはGreensleevesの
ジャケット・デザインを多く手掛けている
Tony McDermottとなっています。

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裏ジャケ

さて今回のアルバムですが、アーリー・
ダンスホールで活躍したCarlton Livingston
らしいソフトなラヴ・ソングなどが多く
収められたアルバムで、好内容のアルバム
に仕上がっています。

上に書いたようにこのアルバムはUKの
Greensleeves盤ではタイトルが「100
Weight Of Collie Weed」ですが、USの
Jah Life盤などでは「Fret Them A Fret」
というタイトルでリリースされています。
その「Fret Them A Fret」というアルバム
は、2002年にシンコー・ミュージック
刊行のレゲエ本「Roots Rock Reggae」に
紹介されているアルバムなんですね。
そこには「山口」さんという方の文章で、
次のように書かれています。

「80年代から現代に至るまでサウンド・
ボーイ達から絶大な支持を受けている
ダンスホール・ファウンデーション・
シンガーのひとり、カールトン・リヴィン
グストン。本アルバムは現在も彼が本拠地
にしているNYのジャー・ライフ・
レーベルからのリリースで、渋いルーツ・
ナンバーから有名リディムを使用した
アーリー・ダンスホール・チューンまで、
まさに80年代中期のレゲエ・シーンを
伝えている様な隠れた名盤。」

このCarlton Livingstonですが、ネット
のDiscogsで見る限りではソロ・アルバム
が6枚と共演盤が1枚とそれほどリリース
が多くないシンガーですが、このレゲエ本
「Roots Rock Reggae」ではとても好評価
で彼の履歴の解説文と、この「Fret Them
A Fret」と81年のファースト・アルバム
「Soweto」、82年のセカンド・アルバム
「Trodding Through The Jungle」の3枚
のアルバムが紹介されています。

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Carlton Livingston ‎– Trodding Through The Jungle (1982)

アメリカ移住後はしばらくブランクがある
ようですが、かなり好評価のアーティスト
なんですね。

そうした彼がもっとも輝いていたのが
やはり80年代前半のアーリー・ダンス
ホールの時代のようで、彼のリリースした
ソロ・アルバム6枚のうち4枚が、81~
84年の4年間にリリースしているんです
ね。
(上に書いた3枚のアルバムのほか、この
アルバムと同じ84年に「Rumors」という
アルバムをリリースしています。)

今回のアルバムは彼のもっとも充実して
いた時期の1枚で、やはり内容はとても
良いです。
「Hot Milk」リディムのSide 1の1曲目
「100 Weight Of Collie Weed」や、
「Love Me Forever」リディム2曲目
「Making Love」、「Night Nurse」
リディムの3曲目「Fret Them A Fret」、
「Revolution」リディムのSide 2の4曲
目「If This Girl Was Mine」など、有名
リディムを巧みに使用した、人気シンガー
として活躍していたCarlton Livingstonの
ソフトなヴォーカルの魅力がうまく発揮
された内容となっています。

特にGregory Isaacsの「Night Nurse」
リディムを使用した3曲目「Fret Them
A Fret」は、原曲の良さを生かした、この
シンガーのソフトなヴォーカルが光る良曲
となっています。

初めに聴いた時にちょっと淡白な印象が
ありましたが、そのあたりはUS録音で
バックがJah Lifeレーベルのセッション・
ミュージシャンHi-Life Playersという事
があるのかもしれません。
ジャマイカのプレイヤーの方が、もう少し
プレイが粘っこい印象があります。
ただCarlton Livingstonはソフトな
ヴォーカルで、このサラッとしたバックと
うまく合わせています。
ファースト・インパクトは正直あまり強く
ありませんが、逆に聴き飽きない印象の
アルバムに仕上がっています。

Side 1の1曲目は表題曲の「100 Weight
Of Collie Weed」です。
リディムはJackie Mittoo & Soul Vendors
のロックステディのヒット曲「Hot Milk」
です。
心地良いワン・ドロップのドラミングに、
ベースとギター、ピアノのメロディ、
ソフトなCarlton Livingstonのヴォーカル
がイイ感じ。

Carlton Livingston - 100 Weight Of Collie Weed


リズム特集 Hot Milk/Murderer (ホット・ミルク/マーダラー)

2曲目は「Making Love」です。
リディムはCarlton & The Shoesのヒット
曲「Love Me Forever」です。
ホーンセクションの華々しいオープニング
に、レゲエらしい刻むようなギターの
メロディ、ソフトで温かみのあるCarlton
Livingstonのヴォーカルが魅力的。

Carlton Livingston ♬ Making Love (1984)


リズム特集 Love Me Forever (ラブ・ミー・フォーエバー)

3曲目は「Fret Them A Fret」です。
リディムはGregory Isaacsのヒット曲
「Night Nurse」です。
キーボードと刻むようなギターのメロディ
に、ソフトに語りかけるようなCarlton
Livingstonのヴォーカルがイイ感じ。

Carlton Livingston - Fret Them A Fret


4曲目は「I'm Your Lover」です。
心地良いギターのワン・ドロップの
メロディに、Carlton Livingstonのソフト
でナイスなヴォーカル…。

Carlton Livingston Fret Them A Fret 1984 06 I Am Your Lover


5曲目は「See Them A Come」です。
リディムはYellowman & Fatheadの
「Operation Radication」。
リリカルなピアノと刻むようなギターを
中心としたメロディに、ソフトで優しい
Carlton Livingstonののヴォーカルが
心地良い曲です。

Carlton Livingston - See Them A Come


Side 2の1曲目は「Call Of The Rastaman」
です。
ギターとキーボードを中心としたワン・
ドロップの陰影のあるメロディに、感情を
込めたCarlton Livingstonのソフトな
ヴォーカルがグッと来る曲です。

Carlton Livingston-Call Of The Rastaman


2曲目は「Never See Come See」です。
華やかなホーンのオープニングから、刻む
ようなギターを中心としたメロディに、
語るようなCarlton Livingstonの
ヴォーカル。

Carlton Livingston Fret Them A Fret 1984 04 Never See Come See


3曲目は「Soundman Clash」です。
リディムはBarrington Levyの「Prison
Oval Rock」。
漂うようなキーボードとギターの
メロディ、言葉を紡いで行くCarlton
Livingstonのソフトなヴォーカルが
イイ感じ。

Carlton Livingston Fret Them A Fret 1984 03 Sound Man Clash


4曲目は「If This Girl Was Mine」です。
リディムはDennis Brownのヒット曲
「Revolution」です。
キーボードとギターの特徴的なメロディ
に、ソフトなCarlton Livingstonの
ヴォーカルがイイ感じ。

リズム特集 Revolution/Here I Come (レヴォリューション/ヒア・アイ・カム)

5曲目は「Let The Music Play」です。
歯切れの良いギターと漂うようなキー
ボードのメロディ、ソフトなCarlton
Livingstonのヴォーカルに、絡んで来る
コーラス・ワークがイイ感じ。

Carlton Livingston - Let the Music Play / Álbum Completo Parar download na descrição


ざっと追いかけてきましたが、この
アーリー・ダンスホールの時代に輝いた
Carlton Livingstonというシンガーの魅力
がうまく収められたアルバムで、内容は
なかなか良いと思います。
これだけ素晴らしいシンガーなのに、
アルバムが6枚程度しかリリースされて
いないのが、むしろ不思議に感じられて
しまうほどなんですね。

機会があればぜひ聴いてみてください。

Carlton Livingston


Carlton Livingston Live - 100 Weight Of Collie Weed @SOB's May 6 2019 New York



○アーティスト: Carlton Livingston
○アルバム: 100 Weight Of Collie Weed
○レーベル: Greensleeves Records
○フォーマット: LP
○オリジナル・アルバム制作年: 1984

○Carlton Livingston「100 Weight Of Collie Weed」曲目
Side 1
1. 100 Weight Of Collie Weed
2. Making Love
3. Fret Them A Fret
4. I'm Your Lover
5. See Them A Come
Side 2
1. Call Of The Rastaman
2. Never See Come See
3. Soundman Clash
4. If This Girl Was Mine
5. Let The Music Play

●今までアップしたCarlton Livingston関連の記事
〇Carlton Livingston「The Best Of Carlton Livingston」
〇Carlton Livingston「Trodding Through The Jungle」