渋谷レコ屋⑱ | レコ屋巡りの夜

レコ屋巡りの夜

塩化ビニール(=レコード)中毒患者のトホホな日々を綴りたいと思います。
オリジナルが欲しいけど高いなら諦めます。

(渋谷レコツアー最終章)

 

1,000円レコエリアが終わって気が付いた。そうだ、安レコ以外のレコ棚を見ていない! それではとロックのAから捜索再開。すると開始数枚でずっと探していたこれが見つかった!

 

Air - Same Title (Embryo Records SD 733) 1971年 US LP ゲート・フォールド・ジャケット、カンパニー・スリーブ付き 6,200円

 

ずっと探していたAIRだ❕ ね、値段はと、想定価格の6,200円!もう0.1秒で抱え込みました(ハァハァ・・・)。

 

いつかは出てくると思って海外から買うのをずっ~と我慢していた1枚。Discogs には50ドル~100ドル位で常にあるんですが、50ドルは当然コンディション不良で、良コンディションは100ドルにもなる。これに最近の円安(1ドル=113~115円)x (100ドル+送料25ドル位)=14000円程(ヒィィ…)。ということで、国内で出てこないかと粘っていたのだ。皆さん、知らないでしょ?そう、誰もこんなもの知らないし(でもプレミアが付いていることから、海外では有名な1枚)、そんなレコが国内で出てきたって5桁以上になることはなかろうと。

 

そして見るからにジャケットも美しいこのレコをレジで検盤すれば、何となくの予感どおり、やはり非常に美しい!…例外も多々ありますが、大抵盤質はジャケットのコンディションに比例するんですよ(経験上)。もうもうもう、躊躇う余地なんて一つもない。値段もコンディションを考えたらかなり安い。気になるジャケット左上のロゴ部分、切り抜き(Die Cut)部分は…

 

 

白い線は擦れているだけのようで、破れてはいなかった(ホッ)。いやぁ、待ってて良かった~。H店はD店と違ってUSマイナー系に力を入れてくれている感じがする。だから以前からH店でひょっとして…と念じていたら…(感動のフィナーレ)。

 

何でそんなに興奮してるかって?何しろアルバムの出来が素晴らしいんですよ。ローラ・ニーロがジャズロックをやったような感じと言えばいいだろうか?

 

 

1971年にシングル1枚とこのアルバムを残して、儚く消えて行ったAIR。2008年に謎のアルバムが2枚出ていますが、編集盤なのかオリジナル盤か、それとも未発表曲集なのか分からず。

 

マト云々を言う以前の問題。本当に生きてて良かった感動の1枚。

 

 

追記: ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 

 

偶に見かけるこの"Embryo"レーベルをDiscogs で調べたら、アトランティック傘下のハービー・マン御大のレーベルだと判明!知りませんでした~。まさかと思ってクレジットを見てみると…

 

 

やっぱり、"PRODUCED BY HERBIE MANN" 御大プロデュース!どうもハービー御本尊の作品は今一つ入り込めないけど、プロデュース作品は佳作多し。コメ欄にあるFloating Opera (Embryoレーベル)…彼等唯一の作品もやはりハービー先生のプロデュースだし、ジャズ・ロックの名盤とされる Steve Marcus - Tomorrow Never Knows もプロデュースは御大である。先生、やるな~

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 

 

 

もはやAir の1枚でそれまでの安レコ発掘も吹き飛ぶ衝撃を受けましたが、貪欲な掘り師はその後も捜索を続行。すると今度はロックHの棚で、これまた捜索願が出されていたレコを発見!

Haystacks Balboa – Same Title (Polydor 2489 002) 1971年 UK LP ラミネート・ジャケット、インナー・スリーブ 7,400円

 

ヘイスタック・バルボア!…って言っても知らないですか(笑)?Mountain / Leslie West の弟 Larry West が在籍したUSハード・ロック・バンドの唯一のアルバム。これがカッコいいんですよ、はい。AIR同様、我らがyoutubeのAI様が

 

「これあなたにお勧めっす」

 

と聴かせてくれた1枚。その後、下北D店でこのレコのUS盤を3,800円で発掘。ジャケ&盤ともに状態不良(ジャケットは天割れしていた。天割れは嫌じゃぁ~)。まぁそのうちに見つかるだろう…と3~4年放置プレーが続いていたのですが、なかなかレコ屋での再会を果たせず。たまにヤフオクに同様のコンディション&価格で出てましたが、送料も掛かるし一度同じコンディションでスルーしてるしな…とこれまたずっとスルー。そして遂に今回の遭遇となった。しかもビニール越しに見えるジャケットは明らかにラミネート…とUKプレス?とレジにて確認すれば、やはりUK盤だ!盤を見れば、ピンピンとは言えないが、一応キズなし薄いスレ少々の美品。値段は高いけど、これ確かUK盤は良コンディションなら最低でもこのくらいは海外でするはず…と帰宅して調べたら、やはりEX以上で120ドル以上するようだ(at Discogs )。

 

US盤を手に入れる前に垂涎のUK盤か(ハァハァ・・・)。ここまでの発見で感覚が完全に麻痺し、AIRも買うし、こいつも行ったれや!と購入決断。行くべきところはいかんとね。

 

音?これがUS産とは思えないほど洗練されてカッコいいハード・ロック。私は勝手にUS産アトミック・ルースターと思っている:

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 

 

 

実はこのAIR とHaystacks Balboa の前に見つけた安レコ軍団は、実際に買った倍の量をそのとき抱えていた。しかしこの2枚を見つけて、急遽その半分を棚に戻し平静を装った。

 

掘り師は深い満足感と引き換えに、2万円程の出費をH店から要求され拒否すること能わず。レジの若いおねぇさんの求めに応じ現ナマを提出するなり(確か、最近のセブンイレブン的な、自分でお札をレジに送り込むスタイル。自分で自分のケツを拭かせる、辛い一瞬)。

 

そして帰宅した掘り師は、失った金額の大きさに呆然。帰宅途中の電車内でも

 

「たまには良いではないか?今まで1枚も買えないこともあったわけだし」

 

と慰めもしたが、想定外の出費は我が生活に大きく圧し掛かるなり。人は過去を変えられぬ。しかし未来は変えられるとは誰の言葉か?掘り師はその夜の内に某レコ屋の買取サービスにコンタクトし、段ボール1箱を送ってもらうことに。そして数日後その箱に約60枚のレコを詰め込み送付したという。安レコ満載のレコード段ボール…。上手く穴埋めになってくれれば良いが…GOOD LUCK! (渋谷レコバカ買いツアー・完)