フランス人サッカー選手の人種差別発言、フランスの反応は? | 西方見聞録(旧パリレポート)

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2015〜2020年パリ、2020年4月に本帰国しました。帰国後も”これは!”と思うものを探し、レポートしています!!

現在ネット界隈で大きな話題となっている

フランス人サッカー選手の人種差別発言問題。


もう皆さんは問題の動画

ご覧になりましたでしょうか?


問題の動画 

 

ゲームの設定を変えてくれてる日本人スタッフを笑う動画です

フランスのサッカー選手【デンベレ】と
【グリーズマン】が、

遠征でやってきた日本のホテルで
サッカーゲームをやりたくて

ホテルのスタッフを部屋に呼んで
言語設定を日本語から恐らくフランス語に
変えてもらっているところです。

部屋にやって、設定変更に
四苦八苦してる日本人スタッフに対し

ビデオを撮ってるデンベレが
グリーズマンに言ったのは

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この汚え面、、、

(お前が)プレステのサッカーゲームやるためだよ。
お前恥ずかしくないの?

何だよこのくそな言葉。

この国って進んでんのか?進んでねーのか?

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というもの。


この発言に関しては、
意見が大きく2つに割れていて、

一つは、
【これはひどい差別!ゆるせん!】
というもの。

そしてもう一つは、
【これのどこが差別なの?】

というもの。

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まず、【これは酷い差別!】というものですが、

それは、上の訳をそのまま受け取ったもの。
普通に読めば、差別発言だと感じます。

ところが、実は多くのフランス人は
このデンベレの発言を
【どこが差別的なの?】と思っているようです。

また、パリ在住の日本人、ひろゆき氏や
辻仁成氏も、そのような立場で発言。

その根拠は、
【汚え面】は、別に日本人の容姿について
言ったのではなく、

ゲームの言語設定に四苦八苦してる
日本人スタッフの困った顔を
【何て顔してんだ】と言っていて

自分たちが迷惑かけてしまって
そんな顔させてしまったことを
笑いに変えている、との解釈のようです。

そして、
【何だよ、そのクソ言語】についても、
日本語に対して言ったのではなく、
【言語が違うせいで、ゲームの設定も
変えなきゃいけなくて、
言語ってやっかいだな】的な意味で
使ったのでは?ということ。


最後の
【この国は先進国じゃなかったの?】
という部分は、
日本が先進国であることを前提に
【そんな日本なら設定の変更ぐらい
簡単なことでしょ?】

という意味で言ったのでは?
というものです。

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確かに、そのように
差別の意図はなく
発言しているのかも知れませんが、

個人的には、それでもこの動画は
アウトだと思います。

まず、わざわざ部屋に来て
自分たちのために奮闘している人たちに対し

勝手に撮影して、勝手に笑い、
それをSNSにアップするなんて
失礼極まりない事です。

完全に舐めてるわけです。

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と、今回この件について書いてるのは

〈デンベレの発言が差別的だ!〉
ということを主張したいわけではありません!

彼の発言は最低であることは
当然として、

この問題が浮き彫りにする
『アジア人差別に対するメディアの対応』
に問題がある、というのを言いたいからです!

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まずは、フランスのテレビは
この問題をどう取り扱ってるか?
というと、

まったく報道していない
と言うのです。

この問題が取り上げられてから
私はすぐにパリのフランス人の
友人にメールをし、

フランスのテレビでこの問題は
どう扱われてるか?

聞いていました。

それに対する友人の回答が
「一部ネットで見る程度で、
ほとんど話題になってない」
ということ。

やっぱり、、、😠😠😠😠

なので、ほとんどのフランス人は
この問題を知らないとのことです。

アジア人差別の話題は
だいたいフランスでは
そんな感じで大して問題になりません。

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では、一方で日本ではどうか。

私は、百歩譲って
フランスのテレビであまり報道されないのは
差別する側としては
あまり興味がない話題だから、

というのは分かるのですが、
問題は

日本のテレビがほとんど
この話題を取り上げてない!

ということ。

ただ、私の家では
テレビを設置するのをやめており
テレビを見られないので、

その話は、テレビ好きの友人に
メールして聞いたもの。

日本のテレビでも、めちゃ
取り上げられていたらごめんなさい、、、

しかし、友人の言うように
日本のテレビで取り上げられていなかったら
それは大問題だと思います。

この話題を取り上げると
何か都合の悪いことがあるのでしょうか?

芸能人の不倫や、不必要なまでに
コロナを煽るような報道ばかりで

正直、メディアとしての機能を
完全に放棄して、
数字が取れる話題ばかりを
深堀する今のテレビは

もう害でしかないと言われても
仕方がないことでしょう。

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日本人は、
自分たちが被害にあった場合、

あまり激しく加害者を責めない
習性があるように思えます。

むしろ、加害者をかばうような
ケースすらあるほど。
(今回のひろゆき氏や辻仁成氏)

それが日本人の"大人な対応"
という進んだ精神からくるもの
なのかもしれませんが、

はっきり言って
加害者のマインドの人たちは
それだと
「あー、日本人には何言っても
問題ねーや」と

差別に対して
罪の意識を持つことが無くなります。

なので、このようなケースでは
徹底的に声を上げて
"ゆるせん!"という意思を示すことが
大事なのだと。

そしてそれにはまず
最も影響力を持つテレビが
ちゃんと伝えるべきでは!と。

すでに風前の灯のテレビですが、

ジャーナリズムの精神が
少しでも残っているなら
ちゃんとしてほしいものだと
思うばかりです。