愛知県長久手市は今年市制施行10周年を迎えました。また、長久手市にある名都美術館は開館35周年になります。それらを記念して、名都美術館では、さまざまな企画を組んでいて、その第一弾が先月から催行されています。
明治、大正、昭和の京都画壇で活躍した女流画家、上村松園と伊藤小坡の展覧会です。
私はギャラリートークのある日に合わせ、前期と後期の2回、行ってきました。
私の交通手段はいつものように名古屋市営地下鉄藤が丘駅に隣接するリニモで、藤が丘駅では鉄道娘の「八草みずき」とリニモ駅長「コア」が見送ってくれます。
藤が丘を出て、最初に停まる駅ははなみずき通駅で、前期の4月24日には車窓からハナミズキを眺めることができましたが、後期の5月8日には葉桜ならぬ葉ミズキになっていました。
そして、下車する杁ヶ池公園駅では名都美術館の掲示板が迎えてくれます。
高架を走るリニモの駅から東を望むと、そこは愛・地球博記念公園で、大観覧車が見えます。
2020年における住民の平均年齢が40.2歳で、福岡県新宮町と並んで日本の市町村で最も若い長久手市は高齢化率も17.2%(低い方から全国10位;日本全体では28.4%)で、高齢社会ではあるものの、超高齢社会(高齢化率21%以上)にはなっていません。写真左手のショッピングモールへ出入りする人たちをみても、とにかく子ども、若者が目立ちます。
駅からはこれから行こうとする名都美術館がすぐそこに眺められます。
そして、美術館です。
この展覧会では名都美術館が所蔵する松園作品の16点全てと他からの借用も含め29点の小坡作品が前後期一部入れ替えで展示されています。そのうち松園作品4点、小坡作品3点は名都美術館が新たに収蔵したものです。
ギャラリートークでは鬼頭美奈子学芸課長が、いつもにも増して熱心に、そしてわかり易く解説してくれました。とりわけ、松園の「汐くみ」は、それまで存在が知られてはいたものの、所在がわからず、苦労の末、ようやく入手したということで、感情をこめて、特に熱が入っていました。
後期1回目のギャラリートーク参加者ははざっと数えて70人を超えていました。
蜜にならないよう気を遣いつつ・・・
鬼頭さんは前任地で「名都さんは松園作品をあんなにたくさん持っていてうらやましい」と思っておられたそうで、今、その名都美術館で勤務していることが喜びでもあり誇りでもあるように感じられました。
前後期で作品の展示スタイルが変更されていて、特に後期では松園と小坡の類似テーマの作品の夫々3点がペア(松園「汐くみ」vs小坡「汐汲」、松園「詠哥」vs小坡「春のよそほい」、松園「男舞之図」vs小坡「鶴ヶ丘の舞」)になって展示されていたのは面白い工夫だと思いましたし、後期展示の2点で細かい部分の拡大写真が添えらえているのはありがかったです。
また、この展覧会ではよくある分厚いハードバックではなく、もっと手頃な図録が販売されていて、中には展示会のキャプションと同じ解説が載っているので買ってきました。
この展覧会は5月29日まで開催され、他会場への巡廻はありません。
松園、小坡の作品がそろってこれだけ展示されるのは、東京でもまずないと思いますし、松園の「汐くみ」は恐らく本邦(もちろん世界でも)初公開でしょう。
近隣の美術愛好者にとっては「行かなきゃ損」だと思います。
そして、もし平日に時間を取ることのできる人は14時から後期2回目のギャラリートークがある5月18日(水)がよいと思います。鬼頭学芸課長の、これぞ学芸員というアクティビティががんがん伝わってきますよ。
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