指値オペとは経済や投資家にどのような影響を与えるのか

指値オペとは経済や投資家にどのような影響を与えるのか

指値オペとは経済や投資家にどのような影響を与えるのか

指値オペとは?

指値オペとは、簡単に言えば「国債を無制限で買い取りします」という状態です。

英語で言えば指値オペはfixed-rate purchase operationsと呼ばれます。

指値オペという言葉はよく聞きますが、実際に現在の円安・インフレ・国際競争力などに影響し、結果として株式投資はもちろん、FXや債権投資の世界でも大きな影響を与えています。

個人投資家はチャートで起こった後付け事象への理由づけをしがちですが、指値オペの動きで相場の予想ができたら、もう少し中長期的な投資の戦略が立てやすくなるはずです。

今回は指値オペが私たちの生活にどのような影響を与え、メリットやデメリットはどうなのか。

儲ける術や今後の日本と現在の世界規模での金利動向をまとめて解説していこうと思います。

➡︎政府による金融・経済の介入にも負けない機関投資家の強さは何か

なぜ指値オペを日銀は行うのか

指値オペの目的は長期金利の抑制

指値オペはなぜそもそも必要なのか

そして、日銀が指値オペを実行する理由は何なのか

金融緩和を推し進める日銀にとって、想定外の金利上昇は避けなければなりません。

そのため指値オペの目的は金利の上昇(債券価格の下落)を抑えるためだと言えます。

その部分をしっかり理解すると円という法定通貨の立ち位置なども見えてきます。

指値オペの仕組みと方法

日銀は指値オペを実行する際、国債を指定した利回りで無制限に買い入れることで行います。

日銀の理想値にするために、これまでは口先介入をしてきた政府ですが、実弾介入として強制的に金利上昇を抑制するのが指値オペです。

指値オペは通貨マフィアも敵わない

『通貨マフィア』とは証券用語でもポピュラーで財務省の財務官・為替政策の担当・責任者を言います。

指値オペの実行は通貨マフィアが得意とする口先介入では金利の抑え込みがしきれなかった状態とも言えます。

通貨マフィアたちは、外交ルートを使って間接的に自国通貨と為替のバランスを軌道修正するクローザー的な役割を担っていますが、指値オペという実弾(現金)の動きには敵わなかったと言えます。

指値オペとイールドカーブコントロール

指値オペを行うかどうかのガイドラインは21年3月に発表した長期金利の変動幅の許容は「プラスマイナス0.25%程度」という部分です。

日銀の指値オペによる介入は10年国債です。

10年国債の金利を必死で抑制している中、10年以下の国債利回りが逆イールド状態になっています。

出典元:財務省

ここで言えるのは逆イールド状態を順イールド化させるためのイールドカーブコントロールに限界を示唆する声がでています。

イールドカーブコントロール(YCC)と逆イールドの関係

逆イールドが金融や経済の不循環と捉えると、長期金利と短期金利のバランスを整える(コントロール)ことで強制的に順イールド化させることがあります。

この時には基本的に、国債の買い入れ等を行い、市場操作・介入をし長期金利を上げていきます。

そして短期金利は長期へ流入しやすいように金利を調整させることを行います。

これがイールドカーブコントロールで、長短期操作とも呼ばれます。

簡単に言えば、自然にイールドカーブが逆イールド化しそうになったり、逆イールド状態になった場合、強制的に順イールドになるようにします。

ここで言えるのは、

イールドカーブコントロールが行われるということは、景気動向事態に不安視している経済や金融があるということです。

=逆イールドは景気後退を判断するトリガーとも言えるのです。

▷▷▷【初心者もわかる】イールドカーブと逆イールドの事実、景気後退・リセッションとの関係

なぜ日銀は長期金利を0.25%以上に上げたくないのか

そもそもなぜ日銀は長期金利を0.25%以上上げたくないのか、という疑問に関しては金利と国債に関わります。

  • 国債が売られると金利が上がる
  • 国債が買われると金利が下がる

という関係性があるためです。

指値オペ=金融緩和の手段ならいつ終わる?

イールドカーブコントロールは継続する=指値オペはまだ続く?

現在『大規模』と呼べる金融緩和を継続中と言える中、そもそも終わり(=目標)はあるのか?

そもそもいつ終わるのか?ということを知らない方も多いでしょう。

無限に国債を買い入れるということをいつまでもしておけないというのは誰しもわかっていることですが、政府や日銀の意見は出口である終わりを模索すらしていません。

=このままだと永続的な円安が想定される

長期金利と金融緩和のバランス

なぜ政府や日銀が金融緩和を継続し、終えることをしないか、終わることができないかと言えば、諸外国の格差が埋まらないという部分があるからだとされています。

政府や日銀は時は消費者物価指数に注目をしており、アメリカは7%の上昇。欧州も5%ほど上昇している中、日本はたった0.5%しか上昇していないのです。

つまり、インフレは悪く変化しスタグフレーションを起こし、賃金が上がらないまま物価だけが上がっていくというサイクルの渦中にあるということが言えます。(=悪い円安)

*スタグフレーションとは、景気停滞を意味する「スタグネーション(Stagnation)」と「インフレーション(Iinflation)」を組み合わせた合成語です。『悪いインフレ』の状態を表します。

悪い円安とは?

輸入依存の激しい日本は、輸入を行うために輸入元の法定通貨への換金(外貨建)をする必要があり、円安が進行すればその分だけ輸入コストが増え、物価が上昇します。

特に、ガソリンや天然ガスは燃料としてだけでなく製品の生産にも必要となってくるため、ほとんどの日用品の価格が高騰します。

しかし、輸入コストが上がることで給料や収入が増えることはないのはもちろんですが、支出自体が物価高で増えるため結果として経済が鈍化するという状態を言います。

指値オペに対するデメリット

日銀の指値オペは円安というデメリットに拍車をかける

日銀の指値オペが実際の経済でどのような影響を与えるか、

という部分ではやはり日銀がどうしたいのか、絶対に今死守したいことが吐露されたとも言えるのは日本の10年金利の±0.25%という数字だと言えます。

しかし、近隣諸国含む世界中が利上げと金融引き締めを行うことで、日本だけが逆方向へ向かっていることは誰しもが気づきます。

  • 日本=利上げさせないで金融緩和
  • アメリカなどの関係国=利上げと金融引き締め

という状態は円が売られる原因として最もな理由だと言えます。

つまり、

日本とアメリカなどの関係国との金利差がどんどん大きくなると、その分だけ円安トレンドは継続し大きく振れるということがわかります。

アメリカなどの関係国の金利は『利上げトレンド』

日本と一番深い経済関係にあるとも言えるアメリカは政策金利を約30年ぶりの0.75%という大幅な引き上げを決めました。

今後ますます、アメリカは住宅ローンを含む、融資サービスのコストは上昇していくと言えます。

それと同時に、日本との金利差が米ドルの保有理由ともなるため、FXで言えば、米ドルの通貨ペアは買いが優勢になり、円の地合が弱くなると言えます。

ちなみに、アメリカ以外にもイギリスのイングランド銀行は短期間で2回の政策金利の引き上げを行い、利上げに躊躇するヨーロッパすらも利上げ姿勢が垣間見れる状態になっています。

つまり、為替市場・FXでは金利面だけで言えばクロス円はすべて円が売られやすい地合が続くと予想できます。

指値オペ関連の影響は私たちの住宅ローンに影響する

長期金利で私たちの生活で一番身近なものは『住宅ローン』です。

住宅ローンは長期金利と連動しているため、住宅ローンの金利は上がり不動産を購入する際、総支払額が増える層が多いのです。

連続指値オペと指値オペの違いとは?

連続指値オペというのは実は、2021年3月以前にはなかった仕組みです。

指値オペの実行は通常1日の単日で終了しますが、連続指値オペは3日間という期間で行います。

その日短日で長期金利の流動性によって、0.25%を上回っていない状態が実行日である場合、買い入れる国債がないということが起こります。

しかし、連続3日間という長期間の指値オペを行えば、抑え込む力がより強固になると言えます、

それに併せて±0.25%までに長期金利を抑え込みたいという政府や日本の意思としても感じ取ることができます。