2018年3月10日土曜日

MARCH対決:青山学院大国際政治経済学部VS立教大異文化コミュニケーション学部


 今回の比較対象は、MARCHの中のオシャレ大学、そして共にミッション系大学として知られる、青山学院大と立教大。両大学の国際系学部である「青山学院大国際政治経済学部」と「立教大異文化コミュニケーション学部」について比較していきたい。


※各指標の定義・根拠・出典等については、こちらのページをご覧ください。

 また、スマートフォンで閲覧する場合は、画面を横にすると各指標が見やすいです。


「入学段階では、どちらが優秀な学生が集まっているか」

項目名数値単位数値年度青山学院大学
国際政治経済学部
立教大学
異文化
コミュニケーション
学部
大学全体の学部生数(人)大学20151760119481
学部の学生数(人)学部20151284535
入試難易度(河合塾)学部201662.565
入試難易度(駿台)学部20165757
入試難易度(ベネッセ)学部20167275
入学者数(人)学部2016297124
競争入試での入学者(人)学部201620746
競争入試の割合(%)学部201669.70%37.10%
入試方式の数(競争入試)学部201555
現役入学者の比率(%)学部201682.8数値なし

 入試難易度は、駿台のみ互角で、河合塾とベネッセは立教大異文化コミュニケーション学部が上の数値を出している。しかし、差は大きくなく互角に近いと言っていいかもしれない。
 さらに、「競争入試の割合」は青山学院大国際政治経済学部の方が有意に高く、逆に立教大異文化コミュニケーション学部の割合は低すぎる印象がある。実際の偏差値の差はないとみても良いかもしれない。
(MARCHクラスの大学では、競争入試(一般入試、センター試験利用入試)で入学する学生の方が、推薦入試や附属高上がりの学生よりも学力が高いケースが多い。その意味で、競争入試で入った学生の割合が多いほど優秀と言えるのだが、競争入試の割合を高くすると、間口が広がってしまうことで入試偏差値が下がる恐れもある。)
 したがって、「入学時点でどちらが学力が高い学生を集めているか」は、見かけほどの差はなく、互角に近いとみていいだろう。


「費用対効果はどちらが高いか」
項目名数値単位数値年度青山学院大学
国際政治経済学部
立教大学
異文化
コミュニケーション
学部
4年間でかかる学費(万円)学部2015452459
学生還元率(%)大学201531.80%38.40%
奨学費(円)大学2015385,868,990680,670,582
学生一人当たりの奨学費(円)大学20152192334940
卒業率(%)学部201471.485.3
最寄駅の平均家賃(万円)20169.5~106.5~7

 4年間でかかる学費については、青山学院大国際政治経済学部の方が7万円ほど安い。ただし、立教大異文化コミュニケーション学部は留学が必須となっていようなので、注意が必要だ。学科や専攻によって学費が違う可能性があるため、詳細な比較は各大学のホームページをご確認いただきたい。
 一方で、学生還元率や一人当たりの奨学費は立教大が勝っている。
 一人暮らしをする場合、キャンパス周辺の家賃を考えてみると、コスト的には立教大の方が割安となることが予想される(両大学の場合、徒歩圏内に住むケースは少ないであろうが、大学と住居が近ければ利便性も高く、充実した学生生活になる可能性が高いという考えからこの家賃相場を比較している)。
 留年リスク(4年間で卒業できない比率)については、青山学院大大国際政治経済学部の方が14%ほど高い。これは結構な差と言える(言うまでもなく、留年した場合には余計に学費がかかる)。
 以上の通り、コスト面では、以上の評価項目だけでみると、立教大異文化コミュニケーション学部の方が優位といえるが、留学費用も含めたトータル費用だと、青山学院大国際政治経済学部の方が安くなりそうではある。


「どちらの大学が充実した学生生活を過ごせるか」
項目名数値単位数値年度青山学院大学
国際政治経済学部
立教大学
異文化
コミュニケーション
学部
キャンパス学部2016青山【都市型】池袋【都市型】
1年以内退学率(%)学部20140.71.6
4年間退学率(%)学部20146.12.3
入学者の地元占有率(%)学部201644.8数値なし
大学全体の首都圏出身比率(%)大学20156673.3
女子入学者の割合(%)学部201659.373.2
大学全体の女子学生数(人)大学2016870710377
大学全体の男子学生数(人)大学201690279069
大学全体の女子学生比率(%)大学201649.10%53.40%
女性ファッション誌
登場人数(人)
大学2011277120
受入留学生数(人)学部20153224
留学生比率
(留学生数/全学生数)
学部20162.50%4.50%
長期留学派遣学生数(人)大学201584121
長期留学派遣の割合(%)大学20151.90%2.50%
ST比(人)学部201528.511.9
専任教員数(人)学部20154545
一人当たり貸出冊数(冊)大学20159.710.3

<キャンパスの立地>
 青山学院大は、巨大ターミナル駅の渋谷、ハイセンスな街として知られる表参道から徒歩圏内の抜群の立地にキャンパスを構える。表参道周辺の物価は高いだろうが、若者の街・渋谷にも近いため、キャンパス立地の利便性は極めて高いといえる。
 一方の立教大も、巨大ターミナル駅である池袋駅から徒歩7分の抜群の立地。立教大のイメージと違い、池袋にオシャレなイメージはあまりないが、その分、物価面などで学生にとっては過ごしやすい街かもしれない。
 キャンパスの立地については、はっきり言って甲乙はつけがたい。違ってくるのは街のイメージくらいで、池袋の渋谷のどちらが好きか、という判断になるだろう。

<ドロップアウトリスク>
 続いて、誰しも避けては通れない、ドロップアウトのリスク。せっかく頑張って勉強して大学に入学したのに、退学してしまっては元も子もない。双方とも大規模大学であるため、退学率は注視すべきデータであるが、1年退学率は青山学院大国際政治経済学部、4年退学率は立教大異文化コミュニケーション学部の方が低いことがわかる。トータルで見ると、立教大異文化コミュニケーション学部の方が数値としては低そうである。
 なお、大学通信社による2016年度「面倒見が良い大学」ランキング(進学校の進路指導教員にアンケートを行って選定)においては、青山学院大は27位(26ポイント)、立教大が23位(28ポイント)となっており、高校教育の現場においては、立教大の方が「面倒見が良い」という印象があるようだ。

<学生の属性>
 学生の属性を比較していくと、オシャレなミッション系大学という共通項からか、似ている部分が多いが、立教大異文化コミュニケーション学部の女子学生比率は特に高く、7割を超えている。ただし、青山学院大国際政治経済学部も6割近くあるため、気になる差ではないだろう。
 なお、留学生比率については、立教大異文化コミュニケーション学部の方が多く、国際色豊かな教育環境という意味では、立教大異文化コミュニケーション学部が優れているといえる。

<教育面>
 教育面を比較していくと、現在、各大学が競うように力を入れている「留学」については、立教大が優勢である。立教大異文化コミュニケーション学部は留学が必須とされており、その数値は高めに出がちであるから当然と言えば当然である。
 一方、専任教員一人当たりの学生数(ST比)は、立教大異文化コミュニケーション学部大の方がやや低い。立教大異文化コミュニケーション学部の方がより「少人数教育」の環境が整っているといえる。
 なお、学生がどれだけ勉強しているかの指標の一つである「一人当たりの貸出冊数」については、ほぼ互角という数字が出ている。

 実際の教育効果については、比較が難しいが、大学通信社が進学校の進路指導教員に「進学して伸びた大学」と「進学して伸び悩んだ大学」をアンケートしている。
 2014年10月に実施したアンケートでは、「進学して伸びた」と答えた数は、青山学院大が9人、立教大が16人、一方で「進学して伸び悩んだ」と答えた数は、青山学院大が9人、立教大が4人であり、高校側の印象では、立教大の方が勝っているようだ。
 その他の比較としては、同じく大学通信社による2014年度「入学後、生徒の満足度が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)において、青山学院大は21位(24ポイント)、立教大は13位(47ポイント)となっている。こちらでも立教大がやや優位のようだ。

 上記を総合すると、充実したキャンパスライフという観点から見ると、立教大が優勢のような印象を受ける。


「どちらが幸せな人生を送れる進路に進めるか」

項目名数値単位数値年度青山学院大学
国際政治経済学部
立教大学
異文化
コミュニケーション
学部
主要企業400社への就職率(%)大学201629.828.3
卒業生数(人)学部2015283131
進学者数(人)学部201599
進学率(%)学部20153.20%6.90%
公務員就職者数(人)学部201563
公務員就職比率(%)学部20152.10%2.30%
警察官就職者数(人)大学20151612
国家公務員総合職(人)大学201543
CA採用数(人)大学20145024
国会議員の数(人)大学2015105
上場企業の社長数(人)学部2006数値なし
(5人以下)
数値なし
(5人以下)
社長の数(人)大学201540254023
社長になりやすさ
(社長の数/学生数)
大学20150.230.21
上場企業の役員数(人)学部2006数値なし
(46人以下)
数値なし
(46人以下)
上場企業の役員数(人)大学2015233250
上場企業の役員になりやすさ
(上場企業役員数/学生数)
大学20150.0130.013

<大企業に入りたい>
 大企業社員として就職すれば、身分は安定し、給与・福利厚生などの待遇面での心配も少ない。その意味で、主要400社への就職率を比較材料として示しているが、ほぼ互角という数字が出ている。
 いわゆる「学歴フィルター」の対象としては、青山学院大国際政治経済学部と立教大異文化コミュニケーション学部で差がつくことは考えられないため、いかに充実した(中身のある)大学生活を送るかによって、大企業に就職できるか・できないかは変わってくるだろう。

<公務員になりたい>
 学部単体の公務員就職比率は、立教大異文化コミュニケーション学部が少しだけ高いが、誤差の範囲であろう。

<主要な就職先の比較>

青山学院大学
国際政治経済学部
立教大学
異文化コミュニケーション
学部
三菱東京UFJ銀行日本航空
日本航空日本放送協会
三井住友銀行日本IBM
日本IBM住友倉庫
みずほフィナンシャルグループ楽天
サイバーエージェントイーオン
東京都特別区日新航空サービス
日本生命保険日立製作所
近畿日本ツーリスト河北新報社
大和証券グループグーグル

 主要就職先は、青山学院大国際政治経済は他の文系学部と同じ様に大手金融機関が上位に入っている。一方で、立教大異文化コミュニケーション学部は法学部や経済学部とは違って、金融機関はなく、多様な業種が並んでいる。学歴フィルターの差などは考えられないため、学生の志向の違いであろうが、一種の判断材料にはなりそうな差ではある。

<出世した先輩の多さ>
 先輩がどの程度、出世しているかを比較すると、こちらもまた変わらない。双方とも学部単体での実績はほとんどないが、大学全体としては上場企業の役員をそれなりに輩出している。それでも、「学閥」というほどではなく、「学閥」によるメリットはあまり期待できない、というのが実情だろう。


<どちらの大学が頑張って「改革」しているか>

項目名数値単位数値年度青山学院大学
国際政治経済学部
立教大学
異文化
コミュニケーション
学部
国からの特別補助金支給額
(千円)
大学2015505,391391,199
学生一人当たり
特別補助金支給額(千円)
大学20152920

 大学教育の現場では、随分前から「改革の必要性」が叫ばれている(大手大学ほど、その改革が進んでいないともいわれる…)。その観点でどちらが頑張って「改革」しているかを、最後に見てみたい。ここで比較したいデータは、改革を行っている大学に国から支給される「特別補助金」の額である。
 この数値を比較すると、青山学院大が勝っており、改革で先行しているイメージがある。
 なお、大学通信社による2016年度「改革力が高い大学」ランキング(進学校の進路指導教員が投票することで選定)においては、青山学院大が17位(30ポイント)、立教大が9位(58ポイント)と、高校現場の印象では、立教大がやや優位のようだ。

<まとめ>
 以上、青山学院大国際政治経済学部と立教大異文化コミュニケーション学部を比較してみてきたが、トータルでは立教大異文化コミュニケーション学部が優位の印象である。もっとも、立教大異文化コミュニケーション学部は「国際」に特化しているイメージで、一方の青山学院大国際政治経済学部は従来の学問と「国際」の融合であるイメージである。両方に合格した場合は、是非ともキャンパスに足を運んで自分の目で見てもらうことをおすすめしたいのと、学問分野の違いについても考慮したいところだ。