あなたへ
実はね、昔、
愛のカタチについてを一晩中考えていた頃があったよ
なんて、もしも今、
あなたにこんな話すことが出来たとしたのなら、
あなたはどんな顔で笑うのだろう。
あの頃の私は、愛についてを深く考え続けながら、
文字を綴ることが、とても好きだったんだ。
家族が寝静まった夜になると、ノートとペンを準備して、
思いのままに、愛のカタチを書き綴ってさ。
本当は、愛が何であるのかだなんて、
よく分かってはいなかったけれど、
あの頃の私が綴った文字は、あの頃の私にとっての愛のカタチだった。
誰に見せる訳でもなく、ただただ愛のカタチを書き綴る夜は、
あの頃の私にとって、一番大切な時間だったような気がするよ。
時々には、寝不足のままで友達に逢いに行ったりしてさ。
どうしてそんなに眠そうなの?
なんて聞かれても、愛についてを考えていただなんて、
誰にも言えないままに、はぐらかしたりしてさ。
そう。あれは、大人になることを何処か拒みながら、
このままでいられたら良いのにと、皆で笑い合っていた頃の私でした。
あれから先で、私は、あなたと出会い恋をして。
やがて家族になって、あなたと共に歩んだ人生の中には、
ゆっくりと文字を綴る時間は見当たらなかったけれど、
文字を綴ろうとも思ってはいなかったのは、今思えば、
私が探し続けていたカタチの中を、
歩むことが出来ていたからだったのかも知れません。
ねぇ、あなた。
人生って、とても不思議だね。
あの頃、誰に見せるでもなく文字を綴っていた頃の私が、
こうして、インターネットという世界を通して、
そちら側のあなたへの手紙を綴るという未来へと辿り着くだなんてさ。
こうして思い返してみれば、
家族が寝静まった夜に、こっそりと、
愛のカタチを綴っていた頃の私は、ずっと練習をしていたのかも知れません。
こうして、あなたへの想いを綴ることを。
あの頃の私には、分からなかったものが分かるようになって、
あの頃の私が思い描いたカタチの文字を、綴れるようになったのにさ。
あの頃の私が探し続けたものを知ることが出来た筈なのに、
それに気が付いた今日の私は、なんだかとても苦しいんだ。
なんて、こんなことを言ったとしたのなら、
あなたはどんな言葉をくれるのかな。
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