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「ろ」(授業面)

ティーチャートーク

「ろ」(授業面)
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ティーチャートーク

 

今日はティーチャートークについて、書きたいと思います。ティーチャートークとは教師の発話を学習者に理解させるために、文法や語彙、表現などをコントロールして、話すことです。

 

例えば、既習の文法や語彙だけを使って話したり、1文の長さを短くして話したり、複文ではなく短文で話したり、ゆっくり話したり、繰り返し話したりするなどです。

 

私も授業中や授業外で学年や個人の日本語のレベルに合わせて、ティーチャートークをしています。学生に話を理解してもらうために、いつも頭の中でできるだけ既習の文法や単語を使って、瞬時に会話を組み立てています。まるで頭の中でプログラミングをしているような感じでです(笑)

 

ただ、そのためか、日常生活においても、知らず知らずのうちに、ティーチャートークをしてしまっている自分がいます。

 

先日、日本人に中国の素晴らしさを紹介したいと思って、スカイプで見ず知らずの日本人を探して、話したのですが、そのときその日本人から「あなたは中国人ですか」と言われてしまいました。

 

その理由はおそらく普段からティーチャートークをしているため、それが習慣となってしまい、その日本人と話す時もティーチャートークをしてしまっていたのではないかと思います。自分ではティーチャートークをしているという意識はまったくなかったのですが。ですから、私は日本語教師の職業病はまさしくこのティーチャートークなのではないかと思いました(笑)

 

ただ、日本語を勉強している外国人とスカイプで話すときはティーチャートークは役立ちます。

 

私はよくスカイプで日本語を勉強している見ず知らずの外国人と話すことがあるのですが、そのときよく言われるのは「他の日本人の話は聞き取りにくいのですが、あなたの日本語はとても聞き取りやすいです。ですから、また今度一緒に話したいです」と言われます。これがまさしくティーチャートークの力でしょう(笑)

 

日本語教育に関わったことがない日本人の場合はその人の日本語のレベルがどの段階なのかわからないと思いますし、ましてやその人が習ったであろう既習の単語や文法なども詳しく知らないと思いますので、わかりやすく話そうとしてもやはり限界があるのだと思います。ですから、学生は聞き取れなくて、難しく感じてしまうのではないかと思います。

 

一方、日本語教師の場合はその人の日本語のレベルを瞬時に把握して、その学生のレベルに合わせて、わかりやすく、話すことができますので、聞き取りやすいのだと思います。

 

また、日本語教師は話すだけではなく、書くのもわかりやすく、書くことができます。これは新聞記者と同じで大きな武器だと思います。

 

ティーチャートークは是か非か

 

では、果たしてティーチャートークは学生にとって、是なのでしょうか、非なのでしょうか。

 

私が以前中国語を勉強していたとき、中国人の先生の話はよく聞き取れていたので、私の聴解の能力はどんどん上がっていると思っていたのですが、しかしながら、実際、外に出て生の中国人とコミュニケーションを取った時、まった聞き取れず、自信を無くしてしまったことがあります。

 

今思えば、中国人の先生もティーチャートークをしていたのでしょう。そのため、私は中国人の先生に魔法を掛けられてしまい、聴解の能力がどんどん上がっているような錯覚に陥ってしまっていたのでしょう。

 

ただ、個人的にはティーチャートークは初級の段階ではとても役立つと思います。なぜなら、学生に話を理解させることができるだけではなく、聞き取れる喜びなども感じさせるることができるからです。ただ、初級の学生に向けて話すには相当なティーチャートークの技術が必要ですが。

 

中級以降の学生であれば、教師が文法や語彙を選ばなくても類推や推測などで理解しようとしてくれますが、初級の段階ではそれは無理ですので、日本語教師の中には初級を教えたくない先生もいます。

 

なぜなら、初級の学生とコミュニケーションを取るのは大変だからです。また、初級を教える場合は教師のほうに類推や推測する力が必要になってきます。なぜなら、学生の話す日本語はまだ拙い段階だからです。

 

一方、私は中級以降にはティーチャートークはしないほうが良いのではないかと思います。なぜなら、教師がティーチャートークばかり行っていると、学生がそれに慣れてしまい、せっかくの聴解の能力を上げる機会を奪ってしまうからです。

 

その大切な機会を奪わないためにも、中級以降では日本語教師はティーチャートークではなく、生日本人トークを行うべきだと思います。例えば、普段の自分の話すスピードよりも2、3倍速く話したり、難しい言葉を多く使って話したりです。そうすれば、それに慣れてきて、自ずと生の日本人のありのままの日本語を簡単に聞き取れるようになるのではないかと思います。

 

ですから、授業では学生の聴解の理解度を一切気にせずに、マシンガントークしたら良いのではないかと思います(笑)。特に聴解の授業ではそうすべきだと強く思います。

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