ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

ちょっと文法の勉強でもしてみませんか?

2021年11月26日 | 俳句

 私にとって月末の1週間はいつも地獄!先延ばしにしているものが溜まりまくって、締切りというピンチに追い込まれるんです…。だからブログに割く時間も無くなるし、フォロー様の記事にも目を通すことが遅れ遅れになって…失礼をしています。ゴメンナサイ!

 でも、私もブログあまり空けすぎずにちょっとでもいいから書いておかないと、忘れられそう…。

 それでは、今日は何にしましょうか。そうだ、先日の句会に次のような句がありましたので、それについて書きましょう。〈黙々と枝豆食べり夜の更けて〉という句。俳句としての良し悪しは別にして、皆さんはこの句の間違いがすぐに分かりますか?

 この間違いは、初心者…いや中堅どころでも結構ありますよ。日本人なら日々日本語を使っているのですから、改めて文法など考えたりしませんよね。ところが、俳句を始めた途端に文法が立ちふさがるのです。それも口語文法ではなくて文語文法が。

 この文語文法、恐らくどなたでも高校時代に習った覚えがあるでしょう。が、余程のことがない限りそれ以後使うということがなくて、殆どの人は忘れています。それが俳句を始めるとすぐに必要になるので、慌てて勉強するも戸惑うばかり…。だから俳句を始めた頃に良く言われました。〝いいわねえ。国語の先生なら文法はお手の物でしょう〟と。確かにその方面に携わってない方からすると、多少は違うでしょうが、教えるのと自分で使って表現するのとでは大違い。やはり勉強し直さないと、そうそう〝お手の物〟という訳にはいかないのですよ。この表現はおかしいのでは…ということはいち早く気がつきますが、じゃあどこがどうおかしいのか、どう直せばいいのかなどということは、しっかり調べてからでないと断言できません。だから私も俳句を始めて、いい勉強をさせてもらいました。まさに日々勉強するのみ…でしたよ。(^0^)

 さて、この前出の句、どこがおかしいかというと〈食べり〉です。すぐに気がつかれたと思うのですが、じゃあどこがどうおかしいのか?

 「食べる」は口語で、文語でいうと「食ぶ」という下二段活用の動詞になります。その未然形・連用形が「食べ」。それに「り」という完了の助動詞が接続しているのです。ところが、この「り」という助動詞は四段活用の已然形・サ変活用の未然形(四段・サ変の命令形に付くとする説もある)だけに接続するのです。もうお分かりでしょうか。下二段活用の「食ぶ」には付かないということが。

 ちなみに、前出の句の季語は「枝豆」で秋。〝ものも言わずに黙ってただ枝豆を食べている。それも夜更けに…〟という意味でしょう。難しい言葉はありませんから一応意味は通じます。だからそれでいいというのではありませんからね。間違いは正さなくては…ね!

 じゃあどうするか?そういうときは同じ完了の助動詞「たり」を使う。すると「たり」は連用形に接続するので「食べたり」となる。そこでまた問題発生です…8音になるので字余りと。さあ、どうしましょうか。

 「食べる」という語は、そもそも敬語ですから上品ですが、もとは「食う」です。これだったら四段活用で「り」が使えますので、「食へり」でOK!

 このように「食う」はちょっと下品だからと、「食べる」を使って文法を間違うより、正しく表現した方がいい。ちなみに俳句ではできるだけ必要がなければ敬語は使いませんので、気をつけましょう。上品ぶって「お茶」とか「お味噌汁」などと言わずに「茶」「味噌汁」でいいんです。いやそれの方が却っていいんですよ。これも俳句の作句法としては大切なことですので覚えておきましょう。

 写真は、〝秋明菊〟シュウメイギク、〝貴船菊〟キブネギクとも。晩秋の季語です。桃色は先に咲きましたが、白がやっと咲きました。やっぱり何だかおかしいですね。この白の裏がほんのりと薄紅に…これが魅力的! 

 


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16 コメント

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Unknown (信州人)
2021-11-26 22:44:45
師匠、ふたたび今晩は。

文法は大事だと今更ながらおもっています。
自分は詩心はないので、せめて文法の瑕疵は避けたく。
完了の助動詞であれば、「ぬ」はどうでしょうか。
<黙々と枝豆食ひぬ夜の更けて>
完了の助動詞の微妙な違いがわからなくて。
面倒言ってすみません。
タックの庭仕 (ticktack946)
2021-11-27 05:22:23
勉強になりました。
Unknown (ちわき)
2021-11-27 06:56:08
信州人さん、お早うございます。
よく気がつきましたね…ということは、信州人さんは古典文法にかなり…いや、相当通じていらっしゃるのでは?すぐに「ぬ」が出てくるなんて!
詳しく説明すると却って分らなくなるでしょうから、単純に…
完了の助動詞には「つ」「ぬ」「たり」「り」と4つありますが、前3つは連用形接続、「り」だけが違うので間違ってしまうのです。
意味も多少ずつ違うのですが、そこまで考えて使うのは難しいので、何となく感覚的に見よう見まねで使っている人が多いようですね。
概ね「つ」「ぬ」と「たり」「り」で使い分けます。前者が完全に動作などが終結したような状態の完了。後者は完了と言っても動作などがまだ続いている状態、存続といいますがそれに使う。
以上は高校生に教えるレベルですので、もっと深くとなると…書ききれません。
とにかく「食ひぬ」はもう食べ終って何もないが、「食へり」はまだ枝豆を食べ終わってはいないのです。そのどちらがいいかは個々人で判断するしかないでしょう。
まだいろいろ言いたいことはありますが…勉強して下さい。
Unknown (ちわき)
2021-11-27 07:04:10
ticktack946さん、お早うございます。
初めてのコメントありがとうございます。
タックさんは俳句をされていませんのに、勉強になりました…なんて!とってもうれしいです。
私もお庭の様子など何時も感心して拝見していますし、ご夫婦での釣と茸…スゴいです。
また、冬になると餌台に来る鳥たちの様子がとっても面白くて…愉しませて貰っています。北海道は寒いでしょうからガンバッテ下さい。
Unknown (ミルク)
2021-11-27 09:36:17
ちわきさん・おはようございます。
地獄の月末ブログ更新、たいへんでしたね。
文法なんて、頭の隅に全く残っていません!(キッパリ (笑) )
口語での俳句も見かけますが、やはり邪道?なのかしら。
俳句に、興味を持ったとしても、文法が難しすぎて
自分には向かない!と思ってしまいます(^^;

さすがちわき先生! 丁寧な解説、勉強になりました。
<食べり>は、ちょっと?と思いましたが、じゃぁ
どうするかは、わかりませんでした(^-^;
Unknown (ちわき)
2021-11-27 09:51:28
ミルクさん、お早うございます。
まあ、解説するとこういう具合になって…却って難しく感じてしまうでしょう。
でも、これが面白いという人もいるのよ。学生時代に戻ったみたいで…
普通はあまり考えないで、日頃使っている言語感覚でいいですよ。そのうちに馴れてくると…ああ、文語っていいなあという韻文の良さが分るようになるのです。
意味が同じなら口語でもと思うかも知れませんが…文語でなくては出せない味があるのです。
それが短い詩ほど生きるということも。
ミルクさんは、殆ど口語自由詩でしょう。たまには文語で書いてみたら…面白いかもね。(^▽^)
Unknown (信州人)
2021-11-27 22:05:19
ちわきさま、こんばんは。

月末のお忙しい中恐縮です。
完了の助動詞、とても勉強になりました。
接続を間違えないように使えば、そう厳密にならなくとも、OKかなあ。
あとは俳句の内容ですね。

葛根湯は散剤は苦手なので、錠剤を飲んでいます。
1回4錠なのですがいつも最後は瓶に余るのですよ。
4の倍数が入っていないのか、いや、多分酔って落とすのでしょう。
<寒柝や葛根湯の苦からず>
のうのうと苦いなどと夜回りの人には言えません。

とうとう初雪です。
いやー、勤労感謝の日に秋を収めておいてよかったです。
眼科受診待ちの間にちらほら、降りはじめました。
<影の無きランドルト環初雪す>
また変なつぶやきです。いよいよ遠近両用の眼鏡です。
歳時記で初雪を調べ、普羅の句を真似て
<うしろより初雪の来検眼す>
<検眼のうしろより初雪の音>
勉強中なのでこうした先達の応用もも多くなりますが、お許しください。
そんな感じで多作多捨してみます。
Unknown (ちわき)
2021-11-28 00:19:02
信州人さん、こんばんは!
そちらはとうとう初雪ですか。
でも例年からすると少し遅いのでは?
ただ暖かな小春日があるかと思うと急に寒くなって…という気温の差の激しさが年々ヒドくなっているような気がします。これは年寄りの身体には堪えますからね。できるだけ緩やかに変化して欲しいものです。
<影の無きランドルト環初雪す>…
ランドルト環って何?って調べたら、視力表のあの切れ目のある黒い環なんですね。初めて聞く言葉でした。だったらなぜ影がないのか?却って意味不明になりますよ。難しい言葉より視力表の環でいいのでは?
<うしろより初雪の来検眼す>…
<検眼のうしろより初雪の音>…
これらの句ちょっとストップ!普羅の句をパックってはいけません。
〈うしろより初雪降れり夜の町〉が名句になっている一番いいところ…即ち発想を盗むのは絶対いけません。要するに〈うしろより初雪〉という把握が誰も言わなかった…いや言えなかった表現でしょう。それがこの句の命なんですからね。その命を盗むなんて…
自分が知らなかった言葉を知って、それを使うのと発想そのものを使うのとでは大違いですからね。
同じ発想…それを類想と言いますが、それをしないために俳人は日夜頭を悩ませて詠んでいるのですから。
だから自分が生みだした発想でないかぎり、ボツですからね。
これだけはしないように…癖になったらオシマイです。
創作というものはそういうものなんです。これは音楽でも文学でも同じですよ。
おはようございます (ころころ)
2021-11-28 08:16:35
ちわきさん、おはようございます

いつ来てもちわきさんの後ろに黒板がみえます
とても勉強になります
本当に長い句歴の中で恥をかいたのが文法でした、中でも音便です
今でも音便には過敏(?)かつては
評を任されてもそこは通らないように、そこはベテランでした
でも帰宅後早速調べていました

句会の皆さんにお薦めなのがNHK出版から出された「NHK俳句 俳句文法心得帖」初版が平成23年ごろですからもう古書で有るでしょう
今でも私の大切な指導書です
句会の皆さんとご一緒に勉強致しましょう 難しいから楽しいですよ
Unknown (ちわき)
2021-11-28 13:38:14
ころころさん、コメント有り難うございました。
ころころさんは選評とかも任されるほどの実力者だったんですね。そりゃあ、私なんか及びも付かない句歴を持っていらっしゃるんですものね。
私のブログが勉強になったと言ってくださって、書いた甲斐がありました。
音便なども間違いが多いですね。
気がついたら指摘して説明しますが、皆さんなかなか覚えられないらしくて…また、何度も間違いますね。
「NHK俳句 俳句文法心得帖」…これは知りませんが、いろいろ俳句のための文法本が出回っているようですね。生徒さんに聞かれたときはこれを勧めましょう。有り難うございました。
また、何かありましたら教えて下さいね。

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