おはようございます。

 
 
"ブラジルミッショントリップ2018日記16"
 
窓の外から、波の音と鳥の鳴き声が聞こえてきた。僕は目を覚まし、早々に水着に着替え、外に出て、裸足になって砂浜を海に向かって歩いた。太ももくらいまで海に浸かったところで、暗い雲が立ち込める空の下、大西洋からゆっくりと太陽が登り初めていることに気が付いた。繰り返す波の音、冷たい海水とやわらかな砂の感触、遠くの方からやってくる少し肌寒い風。
 
この旅の最中、海は僕の一部となっていた。目を覚ますと海に入り、海の見える場所で一日を過ごし、そして、一日の終わりに海に入り、波の音を聞きながら眠りにつき、波の音で目を覚ます。海が僕の一部になっていたのではなくて、僕が海と同化していたのかもしれないなと思い直した。
 
海はすべてを流してくれるとルー・コレートは言っていた。海はすべてを流し、そうして、最後に残された結晶のようなもの、それが今の僕なのかもしれない。すべての不純物が取り除かれた純粋な結晶。感覚は研ぎ澄まされ、深い静けさに包まれたとき、指揮者のタクトが見え始める。
 
それは、この宇宙を指揮するタクト。魚も鳥も海も風も太陽も、この宇宙に存在するすべては流動する純粋なエネルギーで、そして彼らは、そのタクトに従って流れている。生まれ、成長し、成熟し、死ぬ。そして、また生まれ・・・。それは宇宙が奏でる、太古から続く無限のループ。純粋な結晶だけになった僕という存在は、今そのシンフォニーの一部となり流れていた。
 
水平線の向こうに一羽のかもめの姿を見た。
 
"Open heart"
 
言葉にする必要はなかった。そして、自分がそれを許せば、ずっとそれができることを理解した。僕は今、自分に感謝していた。よく、ここまで来てくれたと。
 
ふと周りを見ると遠くの方に、砂浜を歩いているはるかさんを見つけた。同時に砂浜と海沿いの歩道の境にある、コンクリートの低い突堤に座って目を閉じている高井さんも見つけた。
 
空を見上げると Urubu(ウルブー)が数羽舞っていた。Urubu は色が黒くてカラスのようにみえるが実際は黒コンドルだ。ブラジルではポピュラーな鳥でウバチュバに着いてからは毎日のように、その姿を見ていた。
 
ある日ルー・コレートが言っていた。
Urubuは黒くて醜い鳥だと皆から言われているが、彼らは純粋で美しい存在だ。
 
U , r , u , b , u .
You are you be you.
 
「あなたはあなた、あなたになれ。」
 
 
10/5。
ミッションの最終日が始まった。
 
 
 
 
 
 
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
 
 
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