人は生物と暮らすことが精神安定上不可欠なのである。 伴侶犬と躾
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「人は生物と暮らすことが精神安定上不可欠なのである。」
映画などに「脱走」をテーマしたものは多い
そしてそれらは脚色はされてはいるものの、実話を基にしたものだ。
脱走が成就するか否かは、練られた企画、周到な準備、そして天の時であろう。
熊楠は仲間由紀恵(白蓮)のフェロモン臭に誘われ、台風5号という天の時を得て
熊楠の犬舎から脱走した。
私は何か奇妙な鳴き声に白蓮の犬舎に向かった。
すると白蓮の犬舎の外側で熊楠が啼いているのだ。
私は熊楠を捕縛した。
そして熊楠の壊れた犬舎に応急措置をして熊楠を戻した。
熊楠の企ては5分あまりで終わった。
台風前の朝焼け
さて「犬のしつけ」には様々な意見がある。
何が正しいかが、犬に聞いても、その様子を見ても答えてはくれない。
人間の育児であれば、かつてはベンジャミン・スポック博士の育児書が、バイブルように持て囃された。
NHKの朝ドラにもなった「暮しの手帖」社がその翻訳を担ったこともその理由の一つであろう。
しかし今では時の経過だけでは説明できない程、この書物は支持を得ていない。
沢山の育児書が出版され、今我が子に何が必要かつ適正かを、選択できるようになったからであろう。
犬のしつけや訓練についても同様で、さらにこちらはカリスマ訓練師シーザー・ミランに象徴されるように
YouTubeなど動画サイトへの投稿も多い。
犬のしつけや訓練について読んだ書物は、気が付けば20冊以上なっていた。
リテラシー、情報リテラシーだと言えば一言だが、ことはそれ程簡単ではない。
1冊の本には見解を同じくするところもあれば、異にするところもあり、
中にはこれはどう考えても誤りと思えるような表現や言葉足らずもある。
また欧米人の犬に対する考え方は物の延長線上にある、そのためしつけや服従などにも特別な違和感が少ないが、
日本人には身体にいつの間にか染みついたような、宗教的道徳観のようなものがある。
例えば日本犬愛好者の多くは散歩位は自由にさせてやりたいという想いが強いように思う。
散歩でしつけを実施しにくいのである。
ブリーディングに於ける宗教観
本にはまったく相反する結論に至るものまである。
「犬はしつけで育てるな」堀明著
ゴールデンレトリーバーを八ヶ岳の麓で、「犬の牧場」として100頭以上を飼育した体験に基づいたものだ。
期間は500日と短いものだが非常に貴重な体験といえる。
ただ多くの犬の生態を研究する学者がそうであるように、オオカミや原始犬を研究する。
抑制の効いた進歩的な犬では、その現象に遭遇することが少ないからだ。
改良を施された犬たちも、時に不明な行動を起こすため、その理由を突き止め、今後の犬の飼育や犬との共生生活をより有効なものにするためだ。
ゴールデンレトリーバーはかなり抑制の効いた犬で進歩した犬だからである。
つまりここまでくれば
これは「あなたにとって犬とはなんですか?」という哲学的問いとも言えるだろう。
理解を進めるには自分自身が切り口を持つことも解決策だ。
つまりオリンピックの乗馬競技の競技用の馬を考えれば分かる。
私は乗馬用の馬に乗ったことはあるが、育てたことはない、オリンピックの乗馬用の馬ともなれば、
その目指すミッションが明確で「しつけ」うんぬんと今更考えるレベルではない。
山の頂上を目指すには当然幾つかのルートがあり、「しつけ」を優先するルートもあるだろう。
しかしそこには限られた期間という明確なしばりがある。
オリンピックの乗馬競技用の馬には時間的な制約があり、「しつけ」による迷いなどを許さないのだ。
人類は原始の時代から、動物たちと共存しながら時に人間が持たないその能力を上手く活用して共に生きてきた。
ホルスタイン種の牛はオランダのフリースラントでその品種が確立された。
日本では乳牛と見られがちだが、オスは肉牛となる。
ドイツやオランダでは肉乳牛という位置づけである。
このホルスタイン種の牛では牛舎のほうが放牧よりストレスを感じないという。
彼らがオオカミなどの危険にさらされた永い歴史があるからだろう。
(搾乳量や乳質は別)
そしてその牛たちを守る仕事をするイヌ(牧畜犬)としてシェパードやコリーが誕生したわけである。
人とホルスタイン種の牛はまさに共生関係なのである。
犬との共生関係を築くには、その犬へのかかわり方が重要だ。
従って犬の「しつけ」はあなた自身の犬へのかかわり方が問われている。
今日本犬はその高い忠誠心から欧米で高い人気を誇っている。
この高い忠誠心はまさに「伴侶犬」として相応しいからだ。
日本を含め欧米の先進国は何れも社会の高齢化に直面し、「伴侶犬」のニーズは高い。
「伴侶犬」とは人間は古代から様々な生物がいる環境で生きてきた。
そのため生物と暮らすことが精神安定上必要不可欠であり、その生物が生き生きと暮らしている姿に、
人は精神の安定を得ることができるからである。
従って「伴侶犬」には生き生きと暮らしている姿が必要なのだ。
アメリカンアキタが「伴侶犬」として相応しい素養がある。
紀州犬もまた「伴侶犬」に適した素養がある。
紀州犬がよりその資格を得るには、室内飼いに対応し、留守時不満を爆発させて周りの物をあまり壊さないように躾る必要があるだろう。
さらに躾の中でも犬が大型化すればする程、「コンタクト」が重要になる。
なぜなら犬は権勢症候群という病の予備軍を常駐しており、変に甘やかしたり、暗い部屋に閉じ込めたり、散歩もせずにストレスをためれば、この予備軍は戦闘準備を始め、
オオカミのように変貌する犬が稀にいるからである。
これこそが動物生態学者がつきとめたい事項なのだ。
この症状をフェーズ1~5段階に症状を分け、どの段階までが躾で改善できるのか
あるいは症状が現れたものには、どのような躾の方法が有効なのか
といった、経験や知識の集約が求められているのだ。
アメリカミネソタ州 ミネアポリスセントポールに住むロクサーヌさん
柴犬を見事にコントロールし今ではドッグトレーナーとなった。
白蓮 体高 48.2cm 体長54.8cm 体重14.5kg 体長/体高 113.69 7.5ヵ月齢
体高と体重が伸びない。
熊楠 体高 54.5cm 体長60.5cm 体重22.2kg 体長/体高 111.01 2歳10ヵ月齢
体重の減少が著しい