サイレント映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」(1922年)は、ブラム・ストーカーの怪奇小説「吸血鬼ドラキュラ」を原作にしたF・W・ムルナウ監督によるドイツ表現主義の名作です。
伯爵の影が迫る表現や、棺からバ~ン!と仰向けのまま起き上がるシーン。
「ジョジョの奇妙な冒険」でも、ヴァニラ・アイスのエピソードだったかな?オマージュされていた記憶があります。
伯爵のルックスは、よく知られるイケオジ紳士ではなく、モンスターなデザインですね。
ドヨドヨドヨ~とした、もうひたすらおどろおどろしい不気味さが特徴の演出。
それを造形だけでなく、影などでもって心理的に迫る表現で描いていますね。
当時の観客は本作を観てかなり怖かったんじゃないでしょうか。
"nosferatu-eine-symphonie-des-grauens-dies-death-sunlight-ending-count-orlok-max-schreck-vampire-german-expressionism-dracula-classic-review" Photo by loewsjersey
soiurce:
しかし、ヒロインの策にまんまとハマって、彼女に没するあまり、朝陽が昇るのを忘れる伯爵…。
そんな伯爵は、美女の魅力に夢中になって貪るようにのめり込み、気づいた時には破滅している、という哀れな男にも見えてきます。
そう観ると中々考えさせるものがありました。
とにかく、1922年にこのクオリティーの高さに驚きなんですよ。
一方、フランシス・F・コッポラ監督の「ドラキュラ」は、亡き愛妻の生き写しの女性を追ってロンドンに渡ったドラキュラ伯爵が、永遠の痛みを抱える男として描かれていました。
こちらは孤独や喪失感、恋愛といったもっと人間的なドラマでしたね。