黒柴スポーツ新聞

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カッコいい背中見せた!東浜のノーヒットノーラン

東浜巨ノーヒットノーランを達成した。いつも帰宅がナイター開始に間に合わないため、帰りの車内ではradikoRKBまたはKBC)、帰宅後はDAZNで擬似生放送を楽しむわけだが、今時、リアルタイムで情報を「入手しない」のは大変である。スマホのプッシュ通知、テレビ、ラジオのニュース速報。筆者は新聞社員だから、フロアで編集情報をゲットしてしまうかもしれないし、何より新聞社員は人に「伝えたい」気持ちがものすごく強い。今季もパイセンたちから何度か不意打ちのネタバレを食らっており、この日も「大変なことが起きている」とガヤガヤしだしたので店じまいして帰宅した。

急いでradikoで聴くと東浜が西武の隅田と投げ合っていた。柳田悠岐がヒットを打っていたから隅田のノーヒットノーラン完全試合の線はない。とすると東浜か? 帰宅してDAZNで追いかけ再生スタート。その後なんやかんやありまして、試合はとうとう9回に突入した。一応、試合終了前には会社を出てきたから結果までは知らない。この前の中日・大野雄大の例もあるし、最後まで気は抜けないぞ。お、ついにあと1人。金子侑司か…最後にしぶといのがきてしまった。

そして打球が東浜を襲った。グラブが弾かれて…え、まさか終わった?未遂?お、三森!アウト!やったーっ!追いかけ再生だったため、22時台に家の中で絶叫してしまった。

何とか「生」でノーヒットノーランを体験できた。実は前回、千賀滉大の時は会社を出る直前にスマホを開いてしまい「千賀ノーヒットノーラン」のプッシュ通知を見てしまっていた。今回はリベンジできた。

しかし、ノーヒットノーランの喜びは翌日じわじわ来た。昼休み、スマートニュースでホークス記事をチェックしていたらある記事のサムネイルが目に止まった。川瀬晃が東浜と抱き合っていたのだ。他にも、三森大貴が東浜と抱き合っているのがあった。いいなぁ。今季は佐々木朗希がほぼ2試合連続完全試合をやってしまったため、恐らくこれ以上の偉業は難しい。だが、30代の東浜が20代の後輩と抱き合って喜びを分かち合うこの感覚は、佐々木朗希にはない。いいなぁ、先輩がかっこいい背中を見せるって。この日は風間球打ら未来のホープが観戦した。先輩の偉業に感じるものがあったに違いない。

ドラフト1位の東浜は16勝で最多勝に輝いた年もあったが昨シーズンまでの9年で53勝。もっと勝っていても…と思ったが故障でうまくいかないしんどさもあったことだろう。千賀滉大や石川柊太が台頭し、エースの座からは遠ざかってしまった感がある。

だが、元々内に秘めた闘志はあるはずだ。筆者が忘れられないのは2020年シーズン。勝率わずか一厘差に追い上げてきたロッテとの直接対決で東浜は8回1失点の気迫のピッチングを見せた。8回、ランナーを背負いながらも三振で切り抜けた瞬間、東浜は吠えた。こんな東浜を初めて見た。いつもクールに見えるが、こんな一面もあるんだなと思い、うれしくなった。東浜にはそのあたりの物足りなさを感じていたからだ。

ノーヒットノーランをした夜はその闘志を少し感じた。強い打球に飛びついた時に。そして、甲斐拓也のリードに何度も首を振る表情に。オレはこれで行くんだと、強い意思を感じた。

東浜は18日に、地元沖縄で登板機会があるという。ノーヒットノーラン達成後という、この上ない話題性である。沖縄的には盛り上がることだろう。今年は本土復帰50周年という節目の年でもある。打者では山川穂高がホームランを量産中。必要以上に本土復帰と絡める必要もないが、2人とも地元の励みになることはうれしいに違いない。

ちなみに沖縄球界のレジェンド、安仁屋宗八の記事がデイリーに出ていた(【野球】ソフトバンク・東浜 沖縄本土復帰50周年に沖縄の星・安仁屋宗八を超えたノーノー)。安仁屋は9回ツーアウトまでノーヒットノーランだったことがあるという(阻止したのは巨人の黒江)。「わしは沖縄でオープン戦しか投げたことがない。東浜には故郷で最高のピッチングをしてもらいたい」。18日の相手はまたしても西武。ノーヒッター東浜対ホームランキング山川というだけでも盛り上がることは間違いない。この日も思わぬネタバレを食らわないよう、早めに帰ることにしよう!


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