八ヶ岳ゆるふわ日記

八ヶ岳ゆるふわ日記

八ヶ岳南麓大泉と東京を行ったり来たりの毎日。日々のよしなしごとを綴ります。


(清里アーリーバードゴルフコース10番ホールから八ヶ岳を望む 

 同コースは当日付けで2024年平均スコア算出対象ゴルフ場から除外されました)

 

 この日万願寺唐辛子の状況を確かめようと庭に出ると、どこから飛ばされてきたのか1mほどの枯れ枝が通路におちていた。

 

 どれどれと拾おうとしてよく見るとアオダイショウではないか。

 昨年は一度もヘビに遭遇していないので、実に2年ぶりの対面である。

 

 

 

 思わず固まってじっと様子を窺っていると、彼奴はソロソロと移動してツルニチニチソウの密生の下に潜り込んでしまった。どうやらここいら辺でトグロをまいてカエルが来るのをじっと待とうという算段らしい。

 

 

 八ヶ岳南麓の我が家でこれまで出くわしたヘビはアオダイショウ、シマヘビ、マムシ、ヤマカガシの4種。見かける頻度が高いのは昼行性のアオダイショウである。

 

 このうち毒蛇はマムシとヤマカガシ。マムシは年間10件ほどの死亡事故が発生しているといわれている(正式な統計はない)からスズメバチの次に危険な生物だ。

 一方ヤマカガシはマムシ以上に毒が強いそうだが毒牙の構造上人間サマを咬むのは大層苦手らしく、1972年に初の死亡事故が起きるまでは無毒のヘビだと思われていた。以降この50年で5件の死亡事故が報告されている。

 

 どちらの毒蛇も派手な紋様がある(八ヶ岳南麓に生息するヤマカガシには特徴的な赤い斑点がある)ので見分けるのは簡単だが、ヘビの種類なんぞ見分ける必要はない。見かけたらただちにその場を去ればよいのである。

 

(いったんヘビに遭遇するとしばらくはなんでもヘビにみえる)

 

(迎えに行ったゴルフ友の庭でギョギョ ったくこういう模様のホースは八ヶ岳南麓では販売しないでほしいのだが) 

 

 今年(2024年)はどういうわけだか例年よりカエルが多い。

 きっとヘビを見かける機会も多くなるだろう。

 

               

(低い雲と地を覆う霧 ミルフィーユ状でなんだか旨そうな今朝の北岳)

 

 ブログ友の nobu さんに教えていただいたカツカレーの店「ふらい屋杣(そま)」に行ってみた。場所は小淵沢「女神の森」のすぐそば。

 

 12時を若干過ぎていたこともあり、駐車スペースはほぼ満車状態。ちょっと待たされるかもなあと中に入ってみると先客はゼロだった。

「ごめんね~、あれは全部ウチのクルマ」

 元気はつらつの女将さんは60歳前後だろうか。笑顔で我々一行を迎えてくれた。

 

「こっちと」

 

(年季の入ったメニューがカウンターに)

 

「あっちも見てね」

と、指さす方を見ると黒板にお品書きが。どうやらこれがメインメニューらしいが、メンドウなので手近の方から紹介しているようだ。 

 

(「おまかせランチ」というのが先に見せてもらった「おまかせ」のこと)

 

 う~む。

 ハナからカツカレーに決めていたのだが、好物のエビフライも捨てがたい。

「半カツカレー+エビフライじゃ多いですかね」

「多いね。半カツカレーはカツが半分になるけどカレーはまるまる一人前あるから」

 

 困っちゃうナ、カレーが多すぎて

 どおしよお、まだまだ食えるかしら

 う~ん、う~んと黒板をねめつけながら呻吟していると、見るに見かねた女将さんが助け舟を出してくれた。

「半カツカレーにエビフライ1本つけようか」

「それでお願いします!」

 

 人間心理の不可思議なところ、それは決断した途端に後悔が始まることだ。

 5000日のカウントダウンもいつの間にか残り4930日になった。

 私はこれから先の4930回の昼メシでカツカレーを何回食えるのだろう。そして「杣」に再び足を運ぶ機会が果たしてあるのだろうか。

 

 明日ありと思う心のあだ桜、だ。

「スミマセン、半カツじゃなくてフルカツカレーにエビフライでお願いします」

「(よく食べるね~)エビフライは1本でいいのね」

 

 無事注文も決まってやれやれ。食べ放題のキャベツ、サイドのゼンマイの煮しめなんぞをいただく。

 

(客が二人だから小さなボウルに盛られていた)

 

 ご主人が調理をしている間女将さんと四方山話をした。

 聞けばこの店は今年で18年目。富士見高原ゴルフコースの料理長をしていたご主人が定年退職されたのを機に始められたよし。

「するってえとご主人は、二一天作の五で・・・」

「82歳ですよ」

 ずいぶん歳の離れたご夫婦らしい。

 これはひょっとして避暑地の夏にゴルフ場のレストランでバイトしていた女将さんにご主人がちょっかい出したのかも、と思ったが初対面でそこまで聞くのは気がひける。

 

 以前は酒も提供していたそうで、女将さんの背後には古びたボトルが並んでいた。

 よくみると煤けたカンパリのボトルが2本。 

 

 

 CAMPARIの氷が かすかな音立てて

 とけるグラスの中 淡い夕映え

 私のハートをひとりじめして

 あなたは遠くで微笑んでるだけ~

 

 ユーミンの「避暑地の出来事」がリリースされたのは1976年。

 その後カンパリはバブル期のリゾートを象徴する飲み物のひとつとなったがそれも今は昔。このボトルは「杣」開店の時から同じ場所で店の栄枯盛衰を見守ってきたのかもしれない。

 

 そんなことをボンヤリ考えていると「カツカレーエビフライ1本つけ」がやってきた。

 

(1300円+エビフライ300円)

 

 大ぶりのカツ6切れの上にこれも大ぶりのエビフライが屹立している。

 

 カツが旨い。

 さすが「ふらい屋」だ。

 サイズ、柔らかさ、脂の少なさからヒレのようだが定かではないが、ヒレもロースも同じ値段だからお店の都合で都度どちらかを使いわけているのだろう。

 エビフライもイケる。

 画竜点睛を欠くのはカレーで、イマイチパンチ不足。まあ「ふらい屋」だからカレーに多くを望むのは酷というものだろう。

 

 私の勝手な評価は、カツの旨さは八ヶ岳南麓カツカレー界の白眉だが総合力では野辺山「最高地点」がわずかに上だ。

 

(「最高地点」カツカレー1250円 2023年10月撮影)

 

 腹が苦しい。

 それにしても八ヶ岳南麓のカツカレーはどうしてこう押しなべて量が多いのだろう。「カツカレー=ガテン系の食い物」という偏見があるのだろうか。

 

 次回はハレの日を選んで「シーフードミックスフライ」を食ってみよう。

 

 

(DIY感に溢れた看板 分かりやすくて「ラーメン一休」より格段にマシ)

 

               

(五里霧中 丘の公園清里ゴルフコース駒ヶ岳コース1番ティーグラウンドより)

 

 この日ゴルフ友のAさんと久しぶりに丘の公園清里ゴルフコースに行くことになったのだが、朝起きると霧模様のぐずついた天気だった。

 

 Aさんの日頃の行いのせいだからしかたがない。気をとりなおして顔を洗うと右手にピリリと痛みが走った。

 なんと掌に「聖痕」が現れているではないか。

 

(これだ!)

 

 聖痕(stigmata)というのは敬虔なキリスト教徒に稀に起きる現象で、磔刑に処されたイエスキリストが釘で十字架に打ちつけられた両手の掌、両足に釘の跡が現れるという奇跡のことをいう。

 聖痕のことは新約聖書(紀元1世紀頃編纂)ですでに言及されているというから、キリスト教の奇跡の中でもイエスの復活と並んで最も由緒あるもののひとつといえよう。

 

(ジョット「聖痕を受ける聖フランチェスコ」1325ルーブル美術館蔵)

 

 聖痕が現れるのは両手足だけでなく、荊を被せられた頭、ロンギヌスの槍に貫かれた脇にも現れることがあるという。

 

(ルーベンス「キリストの磔刑」1611アントワープ王立美術館蔵 ローマ兵ロンギヌス(のちキリスト教に入信死後聖人に叙せられる)がイエスの右わき腹を突いてとどめをさしている)

 

 現代でも時折聖痕の出現がニュースになるそうだが、近時に至って「解剖学的に掌の釘で身体を支えるのは不可能。イエスは手首に釘を打たれたはず」との見解が定着し、以降聖痕は手首に現れることが多くなったというから心理的な要素が大きい奇跡なのだろう。

 

 私の場合はどうか。

 不信心者の私に奇跡など起こりようがないから、単なるケガに違いない。

 ところがいくら考えても原因が思い当たらない。

 前日の夜寝る前にはきれいな掌だったから就寝中の8時間の間に生じた傷なのである。いつもベッドを共にする愛犬そらが寝ぼけて咬んだ、ひっかいたなんてことはこれまで一度たりともないし、だいいちそういう形状の傷ではない。

 

 ことによると前日の夜というのが勘違いなのだろうか。

 昼のうちにゴルフの練習とか庭いじりとかで掌をすりむいたのに、その時はち~っとも気がつかなったのだろうか。

 だけどこれだけ深くすりむいて風呂に入れば(「たかねの湯」にわざわざいったから間違いなく入浴している)湯が沁みて痛みがあるはずだ。

 

 う~む。

 真相はまさに五里霧中である。

 

(頭の中もこんな感じ)

 

 ボケの予感 そんな気分

 いつもとちがうでしょ~

 春に誘われたわけじゃない(わけじゃないって、ほんとに)

 だけど気づいて(気づかないんだよ、ほんとに)

 I've been shallow~

 

               

(4月だというのにハナミズキが満開に)

 

 今年の八ヶ岳南麓はいつもとどうも様子が違う。春が凄い勢いで過ぎ去っていこうとしているようだ。

 

 桜が散る前に満開になった庭のジュンベリーは早くも花を散らし始めた。

 

(4月21日撮影)

 

(翌日にはスカスカになって)

 

(芝生は花が咲いたかのよう)

 

 調べてみると今年の八ヶ岳南麓は確かに例年より暑い。

 アメダス大泉の4月平年値を見ると、1日の平均気温が10℃以下の日がほぼ半分の14日あるのだが、今年はわずか5日だけ。ここまで最高気温が20℃を超えた日が7日もある。

 私のおぼろげな記憶では4月にハナミズキが満開になった年はないはずだ。

 

(夏の花カサブランカも遅れてならじと姿を現した)

 

 春が駆け足で過ぎようとしたり、沿岸ではブリやイワシやホタルイカ、北寄貝が大漁になったりと、日本列島はどうもおかしい。

 

 大地震がやってくる前兆でなければよいのだが。

 

               

 

 東京からとんぼ帰りに八ヶ岳南麓に戻ったその日、万願寺唐辛子の苗を入手すべく綿半へ向かった。

 あまり早く行くと苗業者のトラックが着いていないこともありうるからわざわざ夕刻に行ったあたり我ながら芸が細かいが、野菜苗売り場に件の苗は見当たらなかった。

 早くも完売してしまったのか、それともトラックが遅れているのか。

 野菜苗売り場をウロウロしている店員さんに訊ねると、

「あ~万願寺。まだ売り場に並べてないけどありますよ」

ということで無事4株をゲットした。どうやら翌20日の土曜日に開店と同時に売り場に並べようという算段らしい。

 

 合わせて購入したトマト(アイコ、スイートミニイエローやキュウリ(夏すずみ、スーパーつよっしー、頑丈(←これって名前か?))とともに翌朝畑に植え付けた。

 

(今年の夏野菜はこれだけ+パセリ2株)

 

 昨年(4月25日0.6℃)、一昨年(5月2日0.8℃)、2021年(5月3日0.7℃)と3年続けて遅霜にやられたのでできればGW明けに植えたいところだが、我が家より標高の低い綿半ではGW前には主要な野菜苗を売り出してしまうのでそんな悠長なことを言ってはいられない。

 

 今年の春はいろんな植物がよーいドンで一斉に活動を始めている。

 キウイもきれいな若葉がつきはじめた。

 

(早生種「紅妃」)

 

(雄木がテッポウムシでやられてしまったので急遽綿半で雄木苗購入)

 

 綿半の万願寺唐辛子の次の入荷予定は4月26日。

 おそらく翌27日まで売り場には陳列しないのだろうが、当日はGW初日とあって野菜売り場は阿鼻叫喚となるだろう。

 

 どうしても万願寺が欲しい方は26日午後に訪れて店員さんにせっついてゲットすることをお勧めします。

 

(どうか遅霜が来ませんように)

 

               

(西荻窪ワインバー「CORKS」)

 

 八ヶ岳南麓から東京・杉並の家で2泊して再び八ヶ岳南麓に戻ることになった。

 

 今回の東京ショートステイでは、

・かかりつけ医で血液検査の結果を聞き、ついでに2か月分の薬をもらう

・いきつけの床屋(カットのみ2800円)で散髪してもらう

・ゴルフのレッスンを受ける

・アルトサックスのレッスンをうける

・新規開店のワインバーに行く

とまる2日間で行事がもりだくさんだ。

 

「じゃあもっとゆっくりすりゃあいいじゃないの自分の家なんだから」、というのはごもっともなのだが、八ヶ岳南麓で中々手に入らない万願寺唐辛子の苗が4月19日に綿半に入荷することが分かったのでどうしてもその日に帰らざるを得なかったのである。翌20日は土曜日でおそらく苗は即日売り切れてしまうだろう。 

 

 この日午前中はゴルフのレッスンに吉祥寺へ。

 私がお世話になっている「吉祥寺ゴルフ倶楽部」は会費で月に4回レッスンを受けられるので何がなんでも4回通わねばならない(5月~10月は休会するつもり)。

 1時間のレッスンと1時間の自主練習をこなすともうヘトヘト。

 入会時に「ちょこっと直すだけにするか、根本的に改善するか」問われて「根本的に」とお願いしたので敵も容赦がない。生まれてからこっち使ったことがない筋肉を駆使するせいで想像以上に難行苦行なのである。

 

(レッスン風景 曜日によって先生は違う 同倶楽部HPより)

 

 昼メシを食ってちょっとゴロゴロしているとアルトサックスのレッスンの時間だ。

 これも吉祥寺の貸スタジオで1時間みっちり。

 

 今日で5回目になるレッスンは、

月曜日に市場にでかけ~ とか、

プププ~ププププ プププ~プ~プ~(←アメージンググレース)

なんかは終わり、課題曲は「君の瞳に恋してる Can't take my eyes off of you(1967フランキーバリ)」となった。

 

 

(1982年ボーイズダウンギャングのカバーで大ヒット)

 

 難しい。

 全く曲にならない。まるで豆腐屋のラッパだ(ここ数十年耳にしないけど)。

 たしかにレッスンの冒頭「いつかは『君の瞳に・・・』とか吹いてみたいです」と言ったことはあるが、こんなに早くやらされるとは思いもしなかった。

 

 欠点だらけの私の演奏で特に悪いのが指使いらしい。

 指を柔らかく保ちながらそれでいて力強くボッチをおさえて、と見本を見せてくれた三浦みずきセンセイの手元からはあ~ら不思議、吹いてないのに美しいメロディがほの聞こえてくるではないか。

 

(私の愛機で見本をみせてくれる三浦センセイ)

 

 う~む。日暮れて途は遥か彼方だ。

 

  

(「キャノンボール・アダレイ風に撮って下さい」とセンセイお願いしてパチリ)

 

 腰、膝、肩(以上ゴルフのせい)、口、腹、指(同サックスのせい)がボロボロ、すっかり尾羽打ち枯らした私がその夜向かったのは西荻窪。

 ご近所の犬トモAさんの息子さんが西荻窪でワインバーを開業することになり、オープン初日のこの日さっそくお祝いがてらかけつけたのである。

 

(「CORKS」カウンター8席、テーブル席1のこじんまりした佇まい)

 

 マスター厳選の赤ワインが身体に沁みていく。

 ロケーション的にも「戎」や「よね田」といった猥雑な一画で飲んだ後に軽~く仕上げるのに幸便だ。

 

こういうとこ(「戎」の路地 乳母車にいるのは豚の赤ちゃん!)や、

 

こういうとこ(「よね田」近所の飲みトモと)ばっかじゃねえ

 

 あわただしい東京の最後の夜はワインとともにやさしく更けていった。

 

(自家製ムースおいしゅうございました)

 

               

(八ヶ岳が夏山になるまでもうひと息)

 

 春爛漫を迎えた八ヶ岳南麓。GWを前にしたこの時期の平日は桜のスポット以外は殆ど無人である。

 この日丘の公園清里ゴルフコースの練習場に行くと文字通り貸し切りだった。

 

(だ~れもいない)

 

 ドカ(ダフった音)、ドカッ(同左)と禍々しい音があたりに響くが、誰もいないので思う存分ダフれる(←負け惜しみ)。

 そんな中、突然バラバラと轟音が響きわたった。見上げると赤岳の手前でヘリコプターが旋回していた。

 

(練習場の右方向 川俣川渓谷沿いか)

 

 ヘリコプターはやがて視界から消え、しばらくすると機首を南に向けて甲府方面へと飛んで行った。八ヶ岳山域で遭難事故があったのだろうか。

 長野県警のレポートによると、2024年の八ヶ岳周辺での救助要請はのべ17件、うち3人が死亡している。春めいたとはいえ、山はまだ危険なのだろう。

 

 このヘリコプターは長野県警の「やまびこ」だろうか、それとも我が山梨県警の「はやて」だろうか。

 山梨県住民としては釈然としないが、どうやら八ヶ岳の遭難に関しては所轄は長野県警茅野警察署らしい。「赤岳頂上山荘」の住所が長野県ということもあって領有権はともかく緊急通報は茅野署に入るようだ。

 

(赤岳山頂は山梨県・長野県の共有ってこんずら)

 

 家に戻ってから調べてみると、我が山梨県警山岳警備安全対策隊のヘリコプター「はやて」は米国ベル412型。同型機を2019年からSUBARUがライセンス生産しているが、山梨県警のそれは米国製のようだ。

 

(はやて 回転翼4枚)

 

 一方長野県警は伊アグスタ社レオナルト式(どんな式だ?)139というモデルである。

 

(はやぶさ 回転翼は5枚)

 

 件のヘリコプターは自称所轄の長野県警の「はやぶさ」か、それとも我が山梨県の誇る「はやて」か。

 写真を拡大してみると、どっちも違うようだ。回転翼が3枚に見えるのである。

 

(4枚ぽくも見えなくはないが胴体に赤線がない)

 

 するってえと、たまたま両県の遭難ヘリは用務中で、急遽民間のヘリコプター会社に救援要請があったのかもしれない。

 

 この場合遭難者は1時間50~60万円のヘリ代を請求されるらしい。

 110番通報を受けて県警のヘリが救援するとタダなのに、民間のヘリだと数十万円というのもいささか衡平を逸している感がある。

 

 一方で昨今の遭難にはいい加減にしろ、と言いたくなるような事例も多いらしい。曰く、

・ハイヒールで登山して足をくじいちゃったの

・疲れたので迎えにきて

・懐中電灯がないので方向がわかりましぇん

 

 何故こんなおバカさんたちのために我々の血税を注がねばならないのか。

 ヘリだけではない。

 ただでさえなり手不足で苦しむ地元の消防団も遭難事故のたびに安い日当でこきつかわれているのである。

 

 ではどうすればいいのか。答はかんたん、山岳救助を有料化すればよいのである。

・有料化によっておバカの件数自体を減らす

・万が一に備えてあらかじめ山岳遭難保険に加入する習慣の定着化を図る

 これで十分のはず。

 

 全国都道府県警で遭難ヘリの有料化に踏み切ったのは現在埼玉県警だけ。後につづく動きも今のところそれほど活発ではないようだ。

 巷間噂されるところによれば、救急車をパトカー代わりにするお年寄りもちらほらいらっしゃる由。もはやそういったツマミ食いに耐えられるほど我が国は豊かではないというのに。

 

 遭難ヘリですら有料化が進まないご時世、諸外国並みの救急搬送有料化には残念ながら日暮れて途遠いようだ。

 

 

(庭のハナモモが満開に)

 

               

(桜の木の下には死体が埋まっている?)

 

 税務署からの不幸の電話の翌日、小野寺センセイから連絡があった。

「幸いお父上は『買い替え特例』は使っていなかったようです」

「じゃあセンセイの屁理屈、いえ高邁な理論が問題だったんでしょうか」

「いろいろ聞かれましたが、明確に否認はされませんでしたね」

 その場のやりとりでは連中もはっきりと断言せず、追って沙汰する、ということになったのだそうだ。あ~辛気くさ。

 

 それから2日後再びセンセイから連絡があった。

「本件これで終了だそうです」

「ということは・・・」

「これにて、一件落着~」

 やった~。おカミにも、血も涙もあるらしい。

 

(凛々しいお姿 悪を許すな!がんばれ国税専門官)

 

 ここからはセンセイの推測だが、土地の取得価格を証明する書類が存在しない今回の申告は所轄の税務署サマでもおそらく初めてのケースだったので慎重に対処なさったらしい。

「大切な売買契約書は皆さんきちんと持ってるでしょうからね~」

「よほどのおバカさん以外は、いえ、そうですね」

 

 2024年3月現在我が国には8万1280人の税理士がいるが、その多くは法人税、所得税が専門で、小野寺センセイのように資産税(相続税・不動産譲渡所得税など)を得意とする税理士はごくわずからしい。

 仮に今回のようなおバカがいたとしても、多くの税理士は機械的に「5%ルール」を適用するでしょう、とのこと。

 

 5年前にたまたま小野寺センセイに巡り合った私は運がよかったのだ。

 あ~ありがたや、税理士トモ(友じゃないって)。

 

「先生、次回は私が死んだ時ですから。エンディングノートに『相続手続きは小野寺先生に頼め』って書きましたから、よろしくお願いします」

「いや~(←照れてる模様)、ブログを拝見するとサックス始めたりお元気そのものじゃないですか」

「私に残された4940日、毎日モトをとろうと考えているんです」

「まさにメメントモリ(memento mori ラテン語で「死を忘れるな」)ですね」

 

(ピーテルクラース「ヴァニタス(=メメントモリの寓意画)」1630オランダ・マウリッツハイス美術館蔵)

 

 やがてくる不可避の死にどう臨むか。

「メメントモリ」も古代ローマ期にはもっと享楽的な意味合い、つまり「生きてるうちに楽しまなきゃ(=私)」というニュアンスがあったらしいが、やがて「来世に備えて信仰を深める」という宗教的なプロパガンダに飲み込まれていった。

 時を措かず我が国でも浄土教が普及し始めた平安期からその傾向が顕著になったことから、宗教が個人の信仰から宗教業へと変貌していく世界共通の過程が垣間見える。

(徒然草は悲観的メメントモリの集大成)

 

 残り4940日を存分に楽しむために必要なものの第一は健康、それと同じくらい大事なものがカネである。センセイのおかげでこれからも毎日モトをとる生活がどうにか続けていけそうだ。

 

 明日ありと 

 思う心のあだ桜

 夜半に嵐の

 吹かぬものかは 

(メメントモリを追求する私の座右の銘)

 

(もうお目にかかれないのもさびしい限り)

 

               

(蕪(かぶら)の桜並木から甲斐駒ヶ岳を望む)

 

 昨年6月にようやく定年退職を迎えたブログ友にして飲みトモの nobu さん。

 せっかく桜に囲まれた別荘をお持ちだというのにお気の毒にこれまで桜をロクに見たことがなかったそうな。

 そんなわけで一緒に桜の穴場巡りをしましょう、ということにあいなった。

 

 運転手はキミだ お客は僕だ

 バスというより こりゃタクシーだ

 出発進行~

 

 nobuさんの運転でまず向かったのは谷戸城址(標高850m)である。

 谷戸城は甲斐源氏の祖源清光(逸見清光)が12世紀に築城したもので、その後甲斐武田家の本拠が若神子(須玉)、躑躅ヶ崎(甲府)に移転する過程で16世紀には廃城となったらしい。

 今でも残る土塁の周辺には400本のソメイヨシノ、枝垂れ桜が咲いている。

 

(今が満開 枝垂れ桜の下には花見客がちらほら)

 

 ここの桜のよいところはヒト気が少ないこと、八ヶ岳がきれいに見えること、それから「ひまわり市場」に近いので食い物の調達が楽チンなこと。

 

(運転しない方はビールをどうぞ)

 

 

(北に八ヶ岳を望む)

 

 続いて向かったのは北の杜カントリーの隣 蕪(かぶら)の桜並木(標高750m)。

 ここは nobu さんの別荘から徒歩圏なのだが、わざわざクルマを飛ばして遠路私を迎えにきてくださった。

 ああ、ありがたやブログ友。

 

(50本のソメイヨシノが道路沿い(私有地)に並んでいる)

 

 ここのよいところはヒト気が少ないことと、富士山、八ヶ岳、甲斐駒ヶ岳をバックに桜を撮影できる絶好のロケーションにあることだ。ただしこの日は前日に地元のテレビで紹介されたとのことで、クルマが10台ほど並んでいた。

 

(八ヶ岳を望む 13歳のラブちゃん(名前忘れた)もお花見中)

 

 蕪は標高が比較的低いこともあっておりからの南風に物狂おしいほどの花吹雪だった。

 この様子ではおそらくここ数日で葉桜になってしまうから、花見に行くなら今日(=ブログ投稿日)、明日が最後のチャンスになりそうだ。

 

(しづ心なく花のちるらむ)

 

 花見を終えればあとは「花よりだんご」、二人は「パノラマの湯」でひと風呂浴び(←nobuさんだけ)、私のいきつけ「心粋」へ。

 nobuさんとはこれまで何回も酒をご一緒させていただいているが、八ヶ岳南麓で飲むのは初めてのこと。

 

(この後二人がどこに泊まったかは言わぬが花)

 

 桜巡りと旨い酒。

 楽しい1日となった。

 

               

(重税の殿堂東京国税局ビル(中央区築地)納税者の目につく地元の税務署だけはショボい建物にするあたりおカミもやることがあざとい)

 

 スマホに不在着信が2件あった。いずれも杉並で最も律儀な税理士として評判の小野寺誠先生からだ。

 

(ホンモノはもっともっと律儀そうな感じ 小野寺誠税理士事務所HPより)

 

 小野寺センセイには、

5年前 父の死去に伴う相続税の申告、

3年前 母の(同上)、

昨 年 土地の売却に伴う不動産譲渡所得税の申告

とこれまでに3回お世話になっている。

 

 先生の方から電話が来るというのはいい話ではないだろう。

 折り返してみると案の定税務署から土地売却の件で照会が来たとのこと。税務調査でなく現段階では「任意の事情聴取」といったところらしい。

 税理士経由で各種納税申告をした場合、税務署は納税者本人でなく代理人たる税理士にアクセスしてくる。

 

「連中何ほざいてるんですか?」

「電話では何も言わないのでとにかく明日行ってきます。ところで亡くなられたお父上は売却した杉並の土地を買う際に『買い替え特例』を使ってませんかね」

「いや分かりません」

「もし使っていると結構大変かもしれません」

「ギョギョ」

 

 土地の売却に伴う譲渡所得税の仕組みをおさらいしておこう。

 細かいことを抜きにしてざっくりいえば税金は以下の算式で計算される(詳細は不動産会社各社のHP、国税庁のHP等で確認してください)。

 

 土地譲渡所得税額 =(土地の売却額ー取得額ー3000万円)×20%

 

 例えば20年前に3000万円で買った宅地を7000万円で売ったとしよう(注:あくまで例示で私の売買とは無関係)。この場合は、

7000-3000-3000=1000万円、その20%だから200万円の税額①となるわけだ。

 

 ところが「取得時の売買契約書がない(=私)」、「先祖伝来の土地で取得額なんて存在しない」といった場合は「売却額の5%を取得額とみなす」というルールがあるので、

7000-350-3000=3650万円となるから税額は730万円②となってしまう。

 

 譲渡所得税にはもうひとつ特例がある。

マイホームの買い替え特例」といわれるもので、土地を売って新たにマイホーム用の土地を買い替えた際に「特例」を選択すると、税金が繰り延べされてとりあえずは税負担がなくなるというものだ。

 

 ただしこれは税が繰り延べられるだけで無税になるわけではないから使わないにこしたことはない。

 子々孫々にわたって未来永劫新たな土地に住むならいざしらず、いずれ相続時に兄弟でその土地を売ってカネを分配するようなことになれば上記の税金を支払わねばならない。

 しかもその際には3000万円の特別控除が適用されないので、子供たちが支払う税金は800万円③(売買契約書がある場合)または1330万円④(売買契約書がない場合)となる。

 

 生来の粗忽者の私は亡母が施設に入居した際の荷物整理で亡父が土地を買った時の売買契約書など古文書の類は全て捨ててしまった(アホ)。

 

 だってしょうがないじゃない、税金なんて知らなかったから~

 

(いつもお世話になってます)

 

 その時救いの手を差し伸べてくれたのが天狗のおじちゃん、じゃなくて小野寺センセイである。

「国税庁の通達やらなんやらを調べてみても『取得額の証明には売買契約書が必須』とは明記されてないんです」

「ってことは・・・」

「お父上が土地を購入された額が合理的に推定できればそれが取得額として認められる可能性があります」

「やった~。がんばれおじちゃん!」

 

 契約書がないケースでの税金支払い(上記税額②のケース)を覚悟していた私にセンセイはなんとか税額①になるよう当時の路線価やらを調べ、税理士意見としてそれを添付して申告してくださったのだ。

 

「ことによるとセンセイの高邁かつ崇高、淫靡な理論が彼奴らには理解できなかったんですかね~(←その場合税額は②相当になる」

「もっと深刻なのはお父上が『買い替え特例』を使っていた場合です。その時は交渉の余地が全くありませんから」

 

 亡父が杉並の土地の前に住んでいた練馬区の土地を購入したのは1963年のこと。

「もうすぐ地下鉄が通るから」と楽しみにしていた亡父だがとうとう地下鉄で通勤することはなかったという辺鄙な土地だからそんなに高いものではなかっただろう。

 仮に練馬の土地取得価格が1000万円だとすると、税額は今回の土地の売却額と練馬の土地の取得額に基づいて計算されることになり、事例にあてはめると税額は、

(7000ー1000)×20%の1200万円にはねあがることになる(注:この場合税務署の手元に練馬の土地の契約書があるわけだから「5%ルール」は適用されない)。

 

 う~む。

 幸せになるには多くの努力と時間が必要だが、不幸はいとも簡単にやってくる。高いサックスを買ったり、お調子にのっているからこういう目に会うのだ。

 

 今の私にできることはアルトサックスでプ~スカ冴えない音を出しながらセンセイからの連絡をひたすら待つだけだ。

 

(もっと巨悪を追及しろっての)