「羽鳥慎一モーニングショー」でやっていた「80歳の壁」を読んでみた。
(和田秀樹著 幻冬舎新書)
著者の和田先生は御年62歳。東京大学医学部を卒業し、以来老人医療一筋の医者人生を歩んでこられた方である。
センセイは同書の中で「80歳の壁」を越えた高齢者を「幸齢者」と呼んでいて、幸齢者の医療、生活習慣はそれ以前のものとは断然違うのだとおっしゃる。曰く、
・ 幸齢者は「より長く生きる」より、「より楽しい毎日を過ごす」ことを重視すべき。
・ そのためには身体と心の健康がなにより重要(結果的に長生きもしそうだ)。
・ ガンの切除など身体にメスを入れる手術はやらない方がいい。高齢者のガンは放っておいてもそれほど進行しないし、内臓の一部を切り取ることによって健康は大きく損なわれる(ガン細胞だけをピンポイントで切除できる技術を持った医師は日本で5人くらいとのこと)。
・ 何百体もの検体解剖の結果幸齢者にはほぼ100%ガン細胞がある。脳の萎縮、動脈硬化も同様。
たまたま検査でこういったものが見つかったからといって治療にやっきとなる必要はない。
・ 「数値を改善するための薬」はむしろ弊害が多い(降圧剤なんか典型だ)。
・ 酒は朝昼晩飲む「連続飲酒」でなければオーケー(やった~)。
タバコも喫煙が肺がんを誘発することは事実だがそれを悪化させるというエビデンスは存在しない。むしろ好きなものを我慢するストレスの方が害がある。
・ 「最近のテレビはつまらない」(私だ!)、「メシが不味い」というのはボケのせいではない。人生の道程
で多少のことでは刺激を受けないレベルまで脳が経験値を積んだのである。
・ 脳を常に刺激しつづけることが大切。イヤなことをしても脳は活性化しない。
また「数独」に取り組んでもその技能は上がるが脳全体の活性化にはほとんど寄与しない(たぶん囲碁も同じだ)。
・ どんどん外に出ることが脳にも身体にも重要。毎日30分の散歩は欠かさずに。
う~む。
私が日頃実践している/しようと思っていることはどうやら的外れではないようだ。
問題は年齢である。
私は現在65歳、番茶も出花、花も恥じらう前期高齢者である。「80歳の壁」までまだ15年もあるのに今から幸齢者の道を歩んでもいいのだろうか。
悩ましいところだが、とりあえず男性の健康寿命72歳を中間点として、それまでは降圧剤も飲み続けることにした。
センセイがビートたけしと対談した際、同氏が亡き母上のエピソードを紹介してくれたそうだ。
「たけし、私が寝たきりになったら殺してちょうだい」
そうおっしゃていた母上、実際に寝たきりになったとたん、
「たけし、先生におカネを包んでちょうだい」
君子は豹変する、という。
自分がこう、と決めたことも含めなにごとにも固執せず「まあなんとかなるさ」と、こだわりを持たないのが幸齢者の黄金律だそうだ。
(79歳の囲碁トモに読ませようっと)